========================================食品工場長の仕事とは===
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■■ 何時、設備を更新したらいいか
■■■ 2007年9月8日発行
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おはようございます。河岸です。暑い夏も終わりに近づいています。関東でも
9月の声を聞くと急に温かい物が食べたくなります。本当に人間って現金な
ものです。今週のお薦めの本です。
「反転―闇社会の守護神と呼ばれて 」(単行本)
田中 森一 (著)
「お金がほしい」「身の丈の生活をする」
「自分の背丈にあった生活をする」
お金を持つと人間が変わってしまいます。話では聞きますが、人生の中で大
きなお金を持ってしまってある一線を超えてしまったように読んだ後感じました。
田中さんの人生から自分の人生を考えるきっかけにしてくれる一冊です。少し
ボリュームがありますが是非、読んで見てください。
http://astore.amazon.co.jp/koujyou-22/detail/4344013433/249-0151581-1769102
「医療の限界」 (新書) 小松 秀樹 (著)
医療事故は起きるものと著者はいいます。
東武鉄道の竹の塚駅で発生した踏切事故のようにシステム的に無理な仕事
を作業者に与えて、結果として事故が起きてしまえば、作業者を懲戒解雇にし
てしまうことが、踏切事故をなくすることに何もつながらないと説いています。
事故のあった踏切はいまだに立体交差などの本質的な対応はとられていま
せん。 踏切事故と同じように日本の研修医は閉鎖的な社会で、医学を勉強す
る時間が絶対的に不足し、特に他の大学などと交流がないことを問題に挙げ
ています。医療事故の本質に迫る本だと思います。
http://astore.amazon.co.jp/koujyou-22/detail/4106102188/249-0151581-1769102
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何時、設備を更新したらいいか
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質問は何時でも歓迎です。
私のメルマガ、HPは皆さんの質問で成り立っています。何年も続いていると
だんだんネタがなくなって来ます。ネタ切れの時に皆さんからメールを頂くと新
しい視点で物事を見ることが出来ますので、よろしくお願いします。
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「何時、設備を更新したらいいですか」
今回、質問させていただく事は、機械設備の老朽化に伴なう新規設備への
更新のタイミングです。例えば、こちらの工場の冷却機は取得年月日は1992
年7月20日で、新品購入4,300万円。設備台帳での耐用年数は8年になって
おり、償却計算法は定率法で償却率は0.25。昨期の期首簿価は217万円で、
減価償却費は54万3千円となっています。この数値から、この冷却機を使用し
ている製造ラインのマシン賃率を算出したところ、稼働時間8時間/日として85
円/分でした。
耐用年数は8年ですが、2000年の時点で、まだまだ使えていたので、途中
で何回かのメンテナンスをしながら2007年になってもこの冷却機を使用して製
造を行っています。機械の簿価は年々下がってゆきますから、古い設備を大事
に使いながら製造を行えば、原価が下がり、より利益の取れる生産が行える様
になります。
しかし、この冷却機は内部構造が複雑で、揚物の細かい残渣・コゲカスが冷
却機内のフレーム支持アングル部などに残ってしまうので、CIP設備をつけてシ
ャワー洗浄を行うだけでは、冷却機内の衛生状態を良好に保つ事が出来ませ
ん。毎日、冷却機内全体を泡洗浄し、すすぎ洗いをして、最後にキッチリと残渣
が残っていないか点検しないといけないので、洗浄作業だけで3時間位かかっ
てしまいます。今年の夏は酷暑ですので、作業者の身体的な負担も増えてしま
います。
この冷却機を使用した製造ラインで製造を行った、主力製品からは、今まで起
きた事の無い、カビクレームが出てしまいました。普通、カビの問題については
「冷却機内を疑え」がセオリーです。他ラインのトンネル式冷却機(構造が簡単な
のでCIP洗浄で洗浄してます)でカビの問題が発生したときは、冷却機内の徹底
洗浄でミゴトに問題解決を行う事が出来ました。
今年の夏は今まで以上に、徹底的に冷却機内の洗浄を行ってきましたが、保
存サンプルの状態、カビクレームの再発に変わりはなく、皆、頭を抱え込んでし
まっている状態です。お客様の目から見れば、カビ対策の為にボロボロになった
機械で造られた食品を、口の中に入れるのはタマッタモノデハナイ!!というこ
とになると思います。危害の種類は「金属異物」になると思います。
素人目に見れば耐用年数が決まっているのだから、その年限が来たら必要な
部品はユニットごと交換して、新品と同様の状態にしてから使えば良いんじゃな
いかと思います。また使ってきた機械に決定的な問題点があるのであれば、中
古品としてオークションにでも出せば引き取る会社も出てくるかもしれないから、
古い機械は処分して新しい機械を入れれば良いんじゃないかとも思います。い
ずれにしても修理、更新をする期間は製造ラインは止める事になりますが、製造
は毎日行わなければ顧客のニーズに答えられませんから、そうそう生産を止める
訳にもいきません。代替ラインの能力にも限界があります。
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キャッシュフローが流れていれば設備は更新した方がいいです。
「いつもは品質管理の立場で話しているのに今日はお金が中心ですか」と言っ
た声が聞こえてきそうな回答をします。
設備の更新時期ですが基本は企業の考え方一つです。企業の考え方と言って
も国家機関ではありませんので、お金が無いと企業活動ができません。資金繰り、
キャッシュフローが潤沢で、利益が出ていれば、税金を払うより設備の更新を図っ
た方がいいと思います。キャッシュフローが綺麗に流れていれば、そして設備の
更新をしてもキャッシュフローが流れるようであれば設備は更新したほうがいいと
思います。
設備の耐用年数と何時まで設備が使えるかという質問は、先日扇風機が原因
で火事になったと報道がありました。扇風機の製造は30年以上前だったとの事
です。30年以上使用していると火事になると言うことはありません。企業の最終
目的は、企業の存続のための利益になります。利益を出すためには設備は長く
使用した方がいいのは説明の必要は無いと思います。扇風機も10年毎に新品と
交換するのと、使えるまで使うのでは利益の出方が異なると思います。但し長く
扇風機を使用するためには、毎日の使用前の点検と、使用中に熱を持ったり異音
が無いかどうかを確認する必要があります。
工場の設備も異音があったり、設備が原因で異物が混入するようであれば工場
の利益、キャッシュフローを議論するまでも無く交換が必要になります。
「古い扇風機の火災事故発生とご使用のお客さまへのお願いについて」
http://www.sanyo.co.jp/koho/hypertext4/0708news-j/0823-1.html
何時交換するか大切な所ですが、一日でも長く使うことも選択の一つです。
私のお話が皆さんの工場管理を、耕し続けるヒントになれば幸いです。
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