========================================食品工場長の仕事とは===

■■    賞味期限、使用期限の設定について質問です。

■■■                            2007年2月11日発行 

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おはようございます。

河岸です。「賞味期限と消費期限について」について質問を受けています。

http://homepage3.nifty.com/ja8mrx/syoumikigenn6.htm 

いろいろな問題が含まれていますので皆様の工場も是非、両目を開いて

確認をしてみてください。ご質問をお待ちしています。

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賞味期限、使用期限の設定について質問です。

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読者の方の質問です

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いつも楽しく読ませていただいております。

 今回の不二家さんの問題は、他人事ではないと思っております。1部上場の

企業が「まさかありえない事だと」思っていました。個人的に、不二家の商品の

ファンだっただけに とても残念な気持ちです。私も食品会社で働いている者で

す。不二家さんで出た問題を自分の会社に当てはめてみて、とても弱いところが

浮き彫りになりました。早速、対応策をねり実行しましたが、現実的にどうなのか

とても疑問に思える事がでてきました。それは、果物(ブルーベリー、ラズベリー、

ブラックベリー等etc)及び野菜(イチゴ等)には、賞味期限が設定されていませ

ん。どのように設定してよいのか判らず、メーカーさんにうかがったところ、賞味

期限として明確には答えられないとの回答でした。ただ、鮮度でみてくださいと

いう内容でした。確かに冷蔵保存されている環境とそうでない環境では、まった

く日持ちが違います。社内ルールで、単に入庫日から何日までと決めるのがむ

ずかしく思います。どのようなルールで使用期限をきめればよいのかご教授願

います。果物は、海外からの輸入品 イチゴは、地場産のものです。イチゴは

少し青みが残っているものをいれ、ケーキに飾りつけをし お店に出す頃ベスト

な状態のものを仕入れています。鮮度状態でみるのがベストと思うのですが、

たとえば 仕入れてから2日以内とか決め手しまい 鮮度が良い状態にもか

かわらず、捨ててしまうのは本当に正しいのでしょうか?

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私の答えです。

お早うございます。河岸です。

メール ありがとうございます。先日 レタスの例で お話ししましたが

http://homepage3.nifty.com/ja8mrx/gennryou8.htm

生鮮品の工場内での使用期限の設定は非常に 難しいと思います。具体的に

は イチゴであれば 入荷から何日 例えば2日と設定するのは無理があると 

思います。入荷からでは無く収穫から何日と設定できればいいのですが、収穫

者、収穫農場によって収穫してからの保管状態が異なりますので一概には言え

ないと思います。そこで 入荷時点での入荷基準のハードルを明確にするのと

イチゴの使用時に使用基準のハードルを明確にする必要があります。海外産の

ブルーベリーなどであれば一つの箱の中につぶれた物がいくつ以上あれば使

用はしてはいけない等と設定するといいと思います。果物野菜に関しては保管

状態の温度によって工場で使用できる期間が異なってきますので保管状態も

明確に設定した方がいいと思います。

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読者の方とのやりとりです。

お疲れ様です。河岸です。

メール ありがとうございます。

少しだけ コメントします。これからも よろしく お願いします。

この消費者が感じるところは 何か問題が発生したときは 払拭は難しいと思

います。

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ただ【原料メーカーが表示した期限切れを使用】ということには変わりません

から、【消費者】は【?】となるのでしょうね。

もう一点 加熱工程など 理論的に賞味期限が延びる 理由がないと

包装材料の酸素透過性だけでは 理論武装として 難しいと思います。

あくまでも 小学生の社会見学で簡単に 説明ができることが大切だと 

思います。

よろしく お願いします。

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早々にご指導ありがとうございました。

今回の件につきましては、他食品メーカーの知り合いにも色々と意見を聞きな

がら確認しているところでございます。

河岸様の【原料の賞味期限が製品の賞味期限を越える事はできません。】と

いうことはおっしゃるとおりであると思います。 しかし、各原料メーカーが表示

している【賞味期限】というものは、実際は【それ以上の期間 使用できる=

実際の賞味期限は表示よりも長い】というものが少なくないと思います。

これは、ものにもよりますが、過去保存試験を行った結果からの私の考えです。

他食品メーカーの方も同様のことをおっしゃっておりました。

【食品期限表示の設定のためのガイドライン】の中に下記文面があります。

 

::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

2.期限表示設定の基本的な考え方

(1)食品の特性に配慮した客観的な項目(指標)の設定

オ.なお、食品の特性として、例えば1年を越えるなど長期間にわたり品質が

保持される食品については、品質が保持されなくなるまで試験(検査)を強い

ることは現実的でないことから、設定する期限内での品質が保持されている

ことを確認することにより、その範囲内であれば合理的な根拠とすることが可

能であると考えられる。

:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

特に原料となる乾物類は、1年を超えるような長期間に品質が保持されるもの

が少なくありません。 しかし、各原料メーカーは、【賞味期限1年】という期限に

しているところが多くあります。 ですから、表示されている【賞味期限】について

は、保存試験等で確認した上で、使用する際の【使用期限】が【原料メーカーが

表示している賞味期限よりも長くなる】ということは、あり得ることだと考えます。

実際賞味期限を切れるものの使用はしておりませんが、【賞味期限内のものは、

使用している】のが現状です。 もしも賞味期限切れのものを原料に使用する際

に上記内容が根拠として【理論上】成り立つのではないでしょうか?

 

少し文面内容は異なりますが、下記内容【期限の再設定】もあります。科学的

根拠の上での【期限の再設定=期限延長】なら良いと読み取れます。

:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

加工食品に関する共通Q&A 期限の再設定等 Q26

www.mhlw.go.jp/qa/syokuhin/kakou2/index.html

:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

ただ【原料メーカーが表示した期限切れを使用】ということには変わりませんか

ら、【消費者】は【?】となるのでしょうね。

もう1点

【原料の賞味期限が12ヶ月(原料メーカーの表示の賞味期限)を使用し、製品の

賞味期限が12ヶ月となる。しかし、原料は賞味期限が残り数ヶ月のものも使用

する。】 に対して

【原料に対して、加熱工程等の期限を延ばす加工を行わないと賞味期限が延び

ることはありえない】ということもおっしゃるとおりでございます。

例えば、原料を単に混合した製品でも、原料段階とは異なる包材仕様(酸素透

過度、水蒸気透過度 を抑える)の袋に充填し、保存条件を向上させる。

これにより【製品】としての【期限が再設定される。】というのが私の考えです。

その中で、使用する原料は前述したような【本当の賞味期限】があるという考えも

含まれてきます。

以上長くなってしまいましたが、【根拠】が必要だと考えるのですが、その【根拠】

を各メーカーでどのような方法で【確認】【管理】されているのかというところがお聞

きできればと思います。 しかし、前述したように【消費者】には、【納得できない】の

でしょうか?

そのあたりの啓蒙も必要かとは思いますが、私もおかしいのでしょうか?

【賞味期限】の言葉自体の問題もあるかと思いますし、本当に難しい問題だと思います。

また、ご指導、他メーカーの管理法、ご意見等いただければと存じます。

 

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家族、子供に説明できる賞味期限の設定が必要だとおもいませんか?

 

 

私のお話が皆さんの工場管理を、耕し続けるヒントになれば幸いです。

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