========================================食品工場長の仕事とは===
賞味期限と消費期限について
賞味期限の設定は各工場で設定します。
賞味期限と消費期限 (expiration date, use by dates)の言葉は二つありま
すが、この言葉の表す内容は全く同じものです。加工食品の飲食可能な期限を
あらわしたものです。何故異なる表現を使っているかは、賞味期限は5日以上
日持ちする商品の期限を表し、消費期限は5日以内の日持ちをする商品に使用
します。缶詰やレトルトパック商品のように品質劣化が緩やかな食品に対しては
賞味期限が使用され、総菜、弁当などのように製造日を含めおおむね5日以内で
期限になる食品に対しては消費期限が使用されています。賞味期限、消費期限
とも表す内容は同じです。スーパーなどの小売業では賞味期限等の期日前まで
に店頭で売り切らなければならないためより短い期限、販売期限を設定していま
す。この賞味期限の設定は各工場で設定を行います。賞味期限を設定するときに
は、まず細菌検査、官能検査などを行い、その商品が食べることの出来なくなる日
を設定しその0.7倍程度の日数で設定するのが通常です。この残りの0.3倍は
安全率と言って何か不具合があってもお客様に迷惑をかけないために設定を行い
ます。ここで大切なのは食べれ無くなる期間、賞味期限の設定は細菌検査だけで
なく人間の五感を含めた官能検査の結果が必要なのです。細菌検査の結果が問
題なくても見た目で退色していたり、食べた時に食感が変化してしまったりしてい
ては、賞味期限が保障できなくなります。
賞味期限は自由に設定できます。
官能検査、細菌検査結果より安全にたべられる日数が10日間とします。安全0.7
をかけると7日間が賞味期限になります。この7日以内なら各工場で自由に賞味期
限を決めることができます。ここでこの賞味期限を7日に決めた商品を消費期限、4
日間として週に二回製造する事とします。その週二回の製造で消費期限を変更して
毎日製造したように消費期限を設定することも可能になります。ここで大切な事は市
場で最終商品に問題が起きたときに該当商品の使用原料、製造工程がひも付けで
きることが必要になります。このひも付けを英語でいうとトレーサビリティーと言うこと
になります。昭和30年代にお祭りの夜店にあった「ひもくじ」を思い出してください。
ひもくじの紐をひっぱると景品のおもちゃがひもの先に付いてきます。同じように問題
の起きた最終商品を紐の先につないでその紐をひっぱると問題の起きた商品に使用
した原料、製造した製造工程の履歴が紐にぶら下がって見られることが必要です。消
費期限のみを頼りにロット区分を行っていると商品に問題が起こったときに消費期限が
異なるからと言って安心をしていたら、実は製造を4日分まとめて行っていて、消費期
限を4日に分けて設定していたために、4日分を回収しなくてはならないことをしなかっ
たなどということが起きてしまいます。
賞味期限を長くは設定できません。
賞味期限が夏と冬とで変化している商品もあります。大手メーカーの食パンなどは、
夏の賞味期限と、冬の賞味期限の長さは変えて設定しています。当然、夏の方が短
く設定することになります。この自由に設定できる賞味期限を安全率があるからと言っ
て設計段階で決めた7日間の賞味期限を、製造量より、注文が少なく、賞味期限を印
字していない半製品が余ったと言う事で昨日は7日間の賞味期限を印字して、今日は
8日間の賞味期限を印字することは、設計上行ってはいけないことになります。安全
率を設定しているので、保存温度の状態が設定よりあがってしまったり、例えば10℃
の設定の保存温度が、15℃に上がってしまったりしなければ最終商品に問題が出る
ということはありません。ここで大切な事は賞味期限を設定できるのは、設計部門であ
って、製造部門では無いということです。製造現場で自由に変更できるのは設計段階
で決めた範囲であると言うことを徹底しなくてはいけないのです。
期限表示を行うためには社内ルールを明文化する必要があります。
私のお話が皆さんの工場管理を、耕し続けるヒントになれば幸いです。
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