========================================食品工場長の仕事とは===

■■    不二家で働く皆さんへ

■■■                            2007年1月13日発行 

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おはようございます。河岸です。不二家さんで非常に大きな問題が発生してい

ます。雪印の時もそうですが、働いている方の意識が変わらないと直らないこ

とだと思います。私はこのメールを不二家さんに送るつもりですが、ホームペ

ージ上ではメールアドレスが公表されていませんので、読者の方で、不二家

さんの関係者の方がいれば是非不二家さんに届けてください。よろしくお願い

します。食品の関係者としては食品工場すべてが同じように作業しているとお

客様に思われることが非常に残念です。

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不二家で働く皆さんへ

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特別に大切なときに食べるものです。

 ケーキをお客様が食べるときは非常に特別なときなのです。毎日毎日ケーキ

が好きで食べる方もいますが、私などの感覚では、ケーキは友人の家に遊びに

行くときのおみやげだったり、誕生日のお祝い、合格祝い、卒業、進級祝いだっ

たり、本当にケーキを食べる時って特別に大切な時に食べるものです。そして

そのケーキが買えないときに、シュークリーム、エクレアなどの洋菓子をおやつ

にたべます。自分の一番大切な子供大切な日に買ってきたケーキを食べて子

供が食中毒を起こしたと考えてみてください。子供の1歳の誕生日に一口食べ

させたケーキが原因で子供が下痢を起こして脱水症状を起こしてそのまま無

くなったとしたらどう思いますか。子供の誕生日会に呼んだ子供達が全員食中

毒を起こしてしまったとか、100歳の自分の母親の誕生日に買って来たケーキ

を食べて食中毒になってしまったとか考えるだけであなた方が行っている作業

の、仕事の重要性が理解できると思います。

 

 

家庭の料理とは違います。

 今回の消費期限を過ぎた牛乳を使用した事について、「自分の家では一日や

二日過ぎた牛乳を飲んでも大丈夫だよ。」と言われる方もいるかもしれません。

何故自分の家で行っていることを工場で同じようにおこなっては行けないのでし

ょうか。「売り物だから」「お客様に食べてもらう物だから」と答える方もいるかも

しれません。たとえ無償で配っている試食品でも、家で作った料理でも食中毒を

起こすことはできないはずです。一度目をつぶってよく考えて見てください。あな

たの一番大切な人はどなたですか。家族の顔を思い出すと思います。家族の顔

を思い出してその中でも自分の母親、自分の子供に対してあなたが臭いをかい

で安全だと思った牛乳を飲ませるかもしれません。しかし、家庭の料理と、工場

での加工はここからが異なるのです。あなたが臭いをかいで安全だったと思う

牛乳はその時点では確かに安全だったと思います。その牛乳をコップに注いで

冷蔵庫で保管して、次の日に子供に飲みなさいと話すことができますか。ここで

気がついたと思いますが、家庭ではその場で子供なり家族が食べます。しかし

工場で加工した商品は次の日もしくはその次の日など時間が経ってから食べ

るものなのです。ですから加工する時点での細菌数は家庭料理より低くしてお

く必要があるのです。一番初歩的な手洗いに付いても、家庭での手洗いと、工

場での手洗いは方法も時間も異なるのは食品を加工してから食べるまでの時

間の差と言えると思います。

 

 

今あなたが行っている作業はだれのためですか。

 いまあなたが行っている作業はどなたのためですか。そのことをよく考えてみ

てください。消費期限を一日過ぎた牛乳をミキサーに投入したあなた、その作業

はどなたのために行いましたか。決してお客様のために行っていないと思います。

いつもよりプリンの消費期限を一日多く付けたあなた、その作業はどなたの顔を

見て行いましたか。その顔を見たその方はプリンを食べていただける方の顔を

見ていますか。一日過ぎたリンゴの加工品を使用した方も捨てたら怒る方、怒る

上司の顔を見ていませんか。ショートケーキに使用するスポンジは前の日に焼い

て一日冷蔵庫で保管した方が美味しいと言われています。私もケーキ、プリンを

製造していた工場にいましたから美味しくするために前の日に焼く必要が有るこ

とは理解しています。しかし皆さんが行っている作業はすべて美味しくするため、

お客様が喜ぶために行っている作業ですか。生産性を上げるための作業で、こう

しないと生産量が間に合わないから。こうしないとコストが合わないからと言って

おこなっている作業はありませんか。一つ一つの作業がお客様のために行って

いるかどうか再度考え直す必要があると思います。片目の猿になっていませんか。

 

 

片目の猿のお話。

 

 むかしむかしある猿の村がありました。この猿村は昔から片目の猿ばかり生ま

れていました。理由は不明なんですが。この猿村にある時両目があいている猿が

生まれました。この猿は小さいときから自分は両目が開いていてとてもおかしい、

自分は何で両目が開いているのか悩みました。毎日元気がなく親も変だなーー

となやみつづけました。こんな生活を小さいときから送っていると性格もおかしく

なり自分はこの片目の猿の村では生きていけないと感じ出しました。 

 両目の猿は悩み続けこの片目の猿村を離れました。猿の頭の中にはどこの猿

村も猿は全て片目だと思っていました。しばらく旅を続けると猿村がありました。

不思議な事にこの猿村はすべての猿が両目を開いているではありませんか。よ

く話しを聞いているうちに自分が生活しているうちに両目が開いていることが正常

であることに気がつきました。それからのこの猿の生活ぶりは想像が出来ると思

います。

 

 

笛を吹くことができますか

 今回も11月に内部調査が行われているにもかかわらず、クリスマス、年末商戦

があるために公表しなかったと言われています。有る方が内部告発で報道機関に

告発したと言われています。この内部告発者はホイッスルブロアーとイギリス、アメ

リカでは呼ばれています。直訳では、危険を察知して警笛を鳴らす人のことで、サッ

カーなどの審判をさします。イギリスやアメリカなどでは、自分が働いている企業や

役所の違法な行為などを内部告発した人(ホイッスルブロアー)を保護する法律が

制定されています。サッカー、ラクビーなどのスポーツは一定のルールの中で勝負

をします。そのルールに違反したときは審判が笛を吹き、競技を止めて、ルール違

反をした人を処分します。イエローカード、レッドカードがこれに当たります。試合中

の事だけでもなく、女子サッカーのアジア試合の中で審判不服で審判に蹴りを入れ

た選手にもレッドカードが出されています。そのために各競技はルールブックを毎年

毎年アップデートします。私たちの工場ではルールブックが毎年の法律、社会環境

の基で改訂され、働く人たちに周知する事が必要です。そして、笛を吹く人は、品質

管理部門などの特定の人では無く、共に働いている人たち誰でもが、ルール違反を

したときに笛を吹ける環境を整備する必要があります。初めのうちは笛を吹くタイミン

グ、内容に誤りが有るかもしれません。それでも笛を吹いた勇気を褒め称えることが

出来るかどうかが、これからの企業姿勢になると思います。昔からの職人の世界で

は、技術を教えていただいた先輩を告発するなどと言った事は出来ませんでした。

工場の中でも先輩を告発することはなかなか出来ないと思います。但しここで考え

方を変える必要が有ると思います。工場はそもそも誰の物かと言うことです。一般的

には、株主の物、オーナーの物、地域の物、お客様の物、などっと言った答えが返っ

て来ると思います。働いて居る従業員の方が、工場は働いている方それぞれの自分

の物、自分の工場と思うことが大切なのです。自分の工場と思った瞬間に、いままで

隠していたことをお客様に公表しないといけないと思うはずなのです。いままでは、

従業員の方は給料をもらうだけにきていたかもしれませんが、自分の工場と思うと、

給料をもらいに来ていたときには、問題ないと思っていたこと、例えば期限切れの

牛乳を使用して製品を作ることに抵抗感が出てくると思うのです。

 

工場はあなたのものです。

大切な方の大切な時に食べていただける物を加工しているのです。

 

 

●不二家の社告

●不二家の記事

    

 

 

私のお話が皆さんの工場管理を、耕し続けるヒントになれば幸いです。

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