========================================食品工場長の仕事とは===

   在庫管理について


工場で商品を製造するためには、リードタイムが必要になります。リードタイムは

リードタイム=加工時間+停滞時間+運搬時間+検査時間

の式で表すことが出来ます。

リードタイムを短くする事が出来れば、お客さまからの様々な要求に素早く対応を

する事が出来ます。このリードタイムを10分の1にする事が出来れば、極端な

話、設備も人間も、工場スペースも、運転資金も10分の1で済むようになります。

リードタイムを短くするのに、特に停滞時間を短くすると、半製品庫等がいらなく

なりますので、半製品庫を管理する人、半製品庫のスペースが空きますので

実感としては非常に大きなスペースが産まれることになります。何故、半製品在庫を

持ってしまうのか、そこには大きな誤解があります。製造機械の稼働率を上げると

生産性が上がって、コストが下がるという錯覚です。確かに今日はAの商品、明日は

Bの商品と毎日同じ商品を作り続けた方が、商品切り替えの段取り時間が無くなり

機械稼働率が上がります。しかし、周りの在庫が増えることになります。製品在庫、

半製品在庫などが増えてしまいます。お客さまにとっても、できたてでは無く、製造して

から日にちの経った物を購入してしまうことになります。

 

在庫が何故悪いか、理由を挙げてみると、金利負担が増える、在庫維持費用が増える、

死蔵品、値下げによる損失、場所をとる、ムダな作業の発生、余分な管理が必要に

なる、材料、部品の先食いが起きる、エネルギーの無駄遣いなどちょっと考えただけでも

多くの問題点を上げることが出来ます。

 

生産工場の基本は付加価値を産む事になります。商品を保管、在庫して、付加価値を

産む商品は、お酒、ワイン、発酵商品の用に一部存在しますが、通常は在庫することに

よって付加価値は発生しません。在庫は、先にもお話ししたように、ムダの典型に

なってしまいます。同じように、商品の流通についても、商品を停滞させると、物流センター

では無くて、「物留センター」になってしまいます。流通センターも付加価値を産まない

工程ですので、在庫管理コストを含めてコストを下げる必要があります。

いままでの、お話しを受けて、在庫は少なければ少ないほど、工場の最終目的の

利益に貢献すると言うことが、理解して頂けたと思います。在庫は無いほど良いと

言う前提で、これからのお話しを聞いて頂きたいと思います。

 

工場の在庫には、色々な在庫がありますね。みなさんの工場の在庫管理は 

どうしていますか?

 

完成品、最終商品の在庫

仕掛品、半製品在庫

原材料在庫

包装資材在庫

いろいろ在庫があります。

 

また在庫の取る頻度もあります。

毎日

毎週

毎月

季節毎

 

 

在庫の合わせ方、取り方も色々あります。

帳票の理論在庫と合わせる

実在庫を記録する

 

 

では、最低限どの程度の頻度で在庫管理しなければならないか考えて

見たいと思います。食品と言っても惣菜の様に半日しか持たない物、

日配品、ロングライフ品と色色な物があります。そのなかで共通での

お話になります。

 

●毎日とらなければならない物。

 最終商品、半製品、仕掛品の在庫は最低毎日とらなくてはいけません。

 ここで大事なのは、帳票上在庫をとる前に、半製品はいくつあるはずだと

 理論上計算して、実際いくつあった、少なければロスが多かったのだし

 在庫が多ければ、歩留が良かったか、出荷ミスかなにか原因が有ったと

 思えるような仕組みづくりが大切です。

 

●毎週とらなければならない物。

 原材料在庫、包材在庫、この二点は毎月でもいいと言われる方もいますが、

 出来れば変化が早い時代ですので、毎週をお勧めします。この在庫も

 現場で何がいくつあったと取ってくるのでは無く、外部からの仕入れ量、

 現場への出荷量を差し引いてその結果の一覧表を倉庫に持ち込んで

 その数字との比較が必要です。不足した場合、多かった場合、大騒ぎ

 する必要があります。

 

●毎月とらなければならない物。

 メーカーの在庫、例えば、包材は印刷するときある程度のロットで印刷します。

 メーカーの在庫をつかんでおかないと、数字が跳ねたとき、商品が無くなった時

 対応がとれなくなってしまいますね。包材に限らず、頼んでから出来るまで時間が

 掛かる物は、問屋さんを含めたメーカー在庫を最低月に一回は押さえる必要が

 あると思います。

 

●季節毎とらなければならない物。

 季節しかとれない原材料の在庫。

 魚のすり身。凍結野菜等々が考えられますね。季節にしかとれなくて、その在庫を

 考えながら営業施策を打つ商品は、数多いと思います。残ってしまうと困りますから

 工場長のつかんでおく数字の一つだと思います。

 

 

では、在庫量はどのくらいが正しいのでしょうか? 

在庫の怖いところは、l収支管理には影響が無いのですが、資金繰りには 

大きく影響があります。工場経営と、資金繰りをしているところが、同じであれば 

この在庫の影響の大きさに気がつくのですが、工場の収支管理だけをしている

ところは、この事の大きさには、気が着きにくいものです。 

 

たとえば、あなたの奥さんが、スーパーの新店のセールで、トイレットペーパーと

ティッシュを安いからと言って一年分購入したら、その買った奥さんをよくやったと 

ほめられますか?

まだ、まだ単価が安く、保存も利くトイレットペーパーですが、マヨネーズが100円だったと

言って一ヶ月分の給料を、全てマヨネーズを買ってきたら、奥さんをほめますか??

 

食品工場の場合は、大量に購入して問題の無い商品は無いと思います。

事実、包装フイルムも保管状態によっては、半年は持たないことがあります。 

基本は、一日分以上の在庫は多いと判断した方が、いいと思います。 

たとえば、月間の原材料の使用量が3,000万円の場合は、在庫は100万円を

超えると、多いと判断することになります。 

この事、在庫は何日以内にしなさいと決める事は、大切な点だと思います。 

 

更に在庫が増えてしまうと、工場内の問題を覆い隠してしまうことが有るのです。

池の中に石がたくさん落ちている池を想像してください。その石が工場の問題と

します。段取りが悪い、仕入れ業者の対応が悪い、生産計画がしょっちゅう変わって

しまうなどです。在庫という池の水が濁って上まであふれていると、この工場の

問題点は見えなくなってしまいます。在庫と言う池の水位を下げてこそ、石が見えて

問題点が明確になってきます。

 

工場の在庫はこのようにいいことは一つも無いことが解ってくれたと思います。

 

私のお話が皆さんの工場管理を、耕し続けるヒントになれば幸いです。

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