========================================食品工場長の仕事とは===

    郵便局に望むことーこんな郵便局があったらいいな


読者の方からメールを頂きました。

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携帯メールで唐突に失礼いたします。10日くらい前に偶然河岸様のホームペ

ージを拝見する機会を得まして、以来、既刊のご高説と併せ、すぐさま「まぐまぐ」

にも登録し、最新のお話ともども勉強をさせていただいております。私は郵便局

勤めですので、食品工場という製品を産みだす職場とは趣を異にするわけなのです

が、非常に参考になるお話が多く、大いに目を開かされております。また、映画や

読書にも大変造詣が深くていらっしゃるので、そちらの方も参考にさせていただい

ています。加須郵便局の件も拝見しましたが、わが社の風土・意識・文化は、身うち

のことながら、まだまだ情けないものがあります。少しでも民間経営のセンスをわが

社に導入したく、その思いにて、河岸様のお話を拝見している次第です。近い将来、

郵便局に望むサービスの在り方などにつきまして河岸様のご高見を頂戴したいと

思っております。ときあたかも、小泉首相が声高に民営化を叫んでいますが、経営

形態いかにあるべきかといった視点も踏まえつつご教示くださいますと幸甚です。

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読者の方からのメールは本当に元気の基になります。疲れているとき飲んでしまった

週末など、前向きになれないときに、皆様からのメールがぽんと背中を押してくれ

ます。

郵便局、中学生の頃からハム(アマチュア無線)でQSLカード(交信証明書)を

郵便局から着くのを楽しみに毎日ポストに通っていた記憶、そして、毎日手紙を

出し続けた記憶がありますので、非常に昔から関わりがあります。パスポートセンター

のように一生に何回しか通わない役所と違って、便利になればなるほど、改善が

進めば進むほど、結果が出やすい会社だと思います。

工場の改善にも考え方は通じると思いますので、皆さんも是非考えてみてください。

まず、項目で考えてみたいと思います。

 

1 目指すべき方向性

2 建物のあり方

3 サービスについて

4 品揃えについて

5 更なるサービスについて

 

では、項目ごとにお話しします。

 

1 目指すべき方向性

  郵便局は、大きな三本柱で成り立っています。郵便事業、貯金、保険になります。

  今回は、その中の郵便事業で考えてみます。方向性を、封筒、小包、はがきを

  輸送する事業と考えるか、情報を伝える、と定義するかで、大きな違いがあります。

  すでに年賀状についてもメールでの年賀状が増えてきていますし、キタムラ等の

  写真の現像してくれるところに行くと、デジカメ等のデジタル化が思ったより進んで

  います。私もパスポートの写真をフロピィーディスクで持ち込んで、「急ぐので直ぐ

  焼けませんか?」とお願いすると、その場で、コンピューター処理して大きさを合わ

  せて15分程度で、新しく取り直すよりもかなり安価に写真を用意する事ができました。

  ネガを使った写真を現像するという定義づけでなく、大きなくくりで方向性を定めて

  いるのでこのような使い方が、できます。郵便事業も情報を伝えると大きな方向性を

  見てみると、次からの大きな考え方ができると思います。

 

2 建物のあり方

  コンビニエンスに宅急便を出しに行くのと、宅急便の事務所に出しに行く場合、

  郵便局に小包をだしに行く場合色々考えてみてください。車を止めて荷物を両手で

  抱えて、お金を持って郵便局に行こうとすると、駐車場からの距離、階段、自動ドア

  どれをとっても、荷物を抱えて歩くには不便にできています。建物の構造が、何故

  地面から上がっていなければならないか考えてみてください。建物の安全、水害から

  守るためには、確かに地面から上がっていた方がいいかもしれません。私の家の

  近くの新築の郵便局も、昔ながらの建物の構造になっています。

  コンビニのように、地面からそのまま入れる高さにあると、郵便局の敷居が下がります。

 

3 サービスについて

  年賀状をパソコンで作ると言っても、インクジェット専用紙、絵、写真が欲しい等、相談

  できる場所があれば人は集まってきます。パソコンの使い方をちょっと人に聞きたい人は

  思ったより多いものです。年賀状の写真、イラストも必要なイラストを安価で提供できれば

  需要はかなりあると思います。

  一番は、何故座ってお客様に対応しているのか、考えてみてください。建物の構造、

  フロントの構造もいかにも、お役所です。コンビニの対応は立って対応しています。お客

  様が並んでくれば、隣のレジが空きます。もっとも、込む時間帯は事前にレジの空く台数は

  増えています。お客様は、買い物の時間は楽しいのですが、お金を払う時間は辛いものです。

  いかにその辛い時間を短くするかが大切だと思います。現状では郵便局に行くのはついで

  ではいけないくらい時間がかかります。

  利用できる時間、休みの曜日について。最近では大きな町に一つくらい利用できる郵便局が

  有りますが、すべての郵便局でATMと、郵便が土曜日日曜日も利用できるようになれば

  非常に便利になります。コストが上がるようであれば、床屋の様に、平日で休めばいいと

  思います。学生、社会人はサービスを利用するのは、土日が多いと思います。

 

4 品揃えについて

  情報を伝えるために必要なものを、コンビニ、ロフトの様に展示する。小包、フロッピィーを

  送付する封筒、DVD、CDを送付する封筒、絵はがき、グリーティングカード、かわいい封筒

  映画「フル・フロンタル」に出てきた赤い封筒、赤い便せん、ちょっと時代の先を行った品揃え

  をすると、まだまだ、そろえるものが有ると思います。

  同じ切手でも、キティーちゃんの切手は直ぐ売り切れてしまいます。その売り切れは、絵の

  綺麗さなのか、シールで裏をなめることなくはれる事なのかは、考える必要があります。

  

5 更なるサービスについて

  おいしいコーヒーが飲めて、手紙が出せる。

  コーヒーを飲みながら年賀状が作れる。

  CDを持ち込めば、簡単に荷造りして、送付できる。

  情報基地になるような、サービスができれば人は集まります。

  メグライアンの「ユーガットメール」の中の本屋さんはカプチーノを飲んで本を選べるのが

  安いだけの本屋さんの付加価値でした。三省堂もコーヒーを飲みながら本を読めます。

  私は、二三冊さっくり本を、コーヒー一杯で読んでしまいます。よく利用しますね。

 

 

皆さんの、工場も同じように考えると、事業はまだまだ大きくなると思います。

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読者の方からお返事を頂きました。

河岸様 
早速、リクエストに応じていただきありがとうございました。
ご提言いただいた事柄に関して、私の感想などを参考までにお返ししたいと思います。しばし、お付き合いください。m(_ _)m
 
1 目指すべき方向性
 
○ 私が郵便局に就職したのは昭和61年のことでしたが、その後数年たった頃、ひとつの試みがなされました。コンピューター郵便というものです。
 私自身取り扱ったことがないので、おぼろな知識で恐縮ですが、全国に数局(大規模局)受付局があり、ここへDMなどの内容データと送付先リストを電子媒体で送れば、「内容物の印字〜封筒の宛名印字〜内容物の封筒への封入〜差出までを郵便局で実行いたします」というサービスだったと記憶しています。あまり人気(需要)は出なかったようで、私自身その手のDMかな〜という実物をもらった記憶もありません。既に廃止になっているかもしれません。
 これは、河岸様の言われた「情報を伝える事業」としての一つの試みだったかとも思いますが、お客様のニーズに合わなかったのか、商品性(価格、手続きが面倒とか?)に問題があったのかもしれません。
 三井商船から迎えた生田正治総裁はさすがに柔軟な発想をお持ちですので、これからはお客様があっと驚くような新機軸・新商品を打ち出してくださるかもしれませんから期待大です。
 ちなみに、今わが社の喫緊の課題は、ゆうパック(宅配さんの言うところの小荷物)のシェア回復でして、ひとまず10%シェアをとろうとがんばっています。今年の10月1日からお客様により利用しやすいよう制度を変える計画のようです。国内にあっても国外にあっても立派な物流企業になる、というのが当面の本社の示している方向性です。



2 建物のあり方
○ おっしゃるとおりですね。やはりご指摘のあたりが、国営ならではの「サービスをしてやっているんだ」という意識の残滓なんだろうと思います。ただ、最近はバリアフリーを目指した建築を目指しているところであり、ご指摘の部分は予算事情の許す限りにおいてではありますが、漸次改善に向かっているようです。
 


3 サービスについて
○ 今、わが社にはトヨタ方式が大々的に導入されてきつつあります。一昨年から、トヨタさんから専属スタッフ7人を招聘して、埼玉県は越谷局で、全国に先駆けて郵便局なりのトヨタ方式〜これを Japanpost System の頭文字をとって「JPS方式」と呼称しております〜を研究してきました。その成果がいよいよ他の郵便局にもいわゆる「ヨコテン」されようとしているのがこの平成16年度です。近い将来、郵便局の窓口では全ての職員が立って対応するのが当たり前の風景になるでしょう。
 また、お客様の待ち時間を減らすことについても、これまでも取り組んできましたが、更に今後は強力な取り組みがなされると思います。最近はCSが口にのぼらない日はない状況です。ちなみに、私が過去勤務していた岡山東郵便局という職場の貯金課では「お客様お一人様につき5分までにお取扱を終えること、並ばれるお客様は5人様までに抑えましょう」ということで「55(GO!GO!)作戦」と銘打って、職員が連携して対処しておりました。
 平日に休んで、土日に営業というのは、コロンブスの卵ですね。こういった視点でのご提言は初めて伺いました。機会を捉えて、上部機関へあげていきたいと思います。



4 品揃えについて
○ わが社のサービスに付帯するグッズ関係は、ご指摘のとおりまだまだ品揃えが薄いです。最近ようやく、お酒用の箱やCD/DVD用の入れ物などを廉価販売する取り組みが開始されましたが、それとても、まだ販売する局が限られているようです。外国の郵便局ではこの辺りの配慮が進んでいるところがあると聞いています。1番のご提言とも関連するのかとも思いますが、「品揃えは郵便局というオフィスのアメニティーのひとつである」という意識改革がほしいところです。
 郵便局の商品はよく売り切れになります。年賀はがきのインクジェットや50円の記念切手、・・・・今まで何度お客様に頭を下げてきたことか。本当にわが社は需給調整がつたない会社だと痛感します。お客様が買ってやろうといってくださっているのに、ありませんというのは大きな背信行為だと思いますし、そこで失った利益を他で稼ぎ出すエネルギーも必要となり、全くの無駄です。中間管理機関や本社に猛省を促したい気持ちで一杯です。


  
5 更なるサービスについて
○ 最近は、それこそ生田総裁の柔軟な発想(を受け入れる度量と決断・実行の早さ)により、ローソンと大々的に提携、そのひとつの象徴として、郵便局の中にローソンが併設される、という取り組みもスタートしたところです。また、ある郵便局には花屋さんが入っているところもあります。生田総裁は「これから郵便局をワンストップ・コンビニエンス・オフィス〜ひとつの場所でいろんな用事が足せる便利なオフィス〜にしていきたい。」ということをしきりにおっしゃっています。これは河岸様がご提言されているイメージに近いのではないかと思えますがいかがでしょう。

 
 

 

 

私のお話が皆さんの工場管理を、耕し続けるヒントになれば幸いです。

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