==================================食品工場の工場長の仕事とは==
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■■ 卵を産み終わった鶏はどこに行くのでしょう
■■■ 2009年8月22日発行
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おはようございます。河岸です。
私の本の紹介が「からだにいいこと」に出ています。
http://www.shodensha.co.jp/karakoto/index.html
分かり易いイラストがついています。是非、読んでみてください。
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今週のお勧めの本です。
アニマルウェルフェア―動物の幸せについての科学と倫理 (単行本)
佐藤 衆介 (著)
EUでは当たり前の事が
大学の先生が書いた本です。人間が利用している動物の幸せを考え無
ければならない事が伝わってきます。
”サシ”の入った牛肉が食べたいからと言って生まれてから一度も草原を
走ることも出来ない牛が本当に幸せな一生を送っているといえるでしょうか。
家畜が自らの行動能力をフルに活用して、食べて、寝て、遊んで、恋をし
て子供を育てることが動物にとっての本当のアニマルウェルフェアだと伝え
てくれます。
屠畜するときにも気絶させたあとに、牛の意識が戻る前に放血を行う事
が大切だと思います。
動物の5つの自由を保障しなければならないのです。
1 空腹、渇きからの自由
2 不快からの自由
3 苦痛、損傷、疾病からの自由
4 正常行動発現の自由
5 恐怖および苦悩からの自由
動物を扱うすべての人にお勧めです。
http://astore.amazon.co.jp/koujyou-22/detail/4130730509
★5個です。
食卓の向こう側〈5〉脳、そして心 (西日本新聞ブックレット) (単行本)
西日本新聞社「食 くらし」取材班 (著)
子供の将来を考えると
毎日の食卓、食べ物が子供の生き方に深く関わり合っていると思いま
す。
食べる事とは、生きることの原点であり、愛情の原点であり、家庭の原
点で子供達の精神的な成長の原点になると解説しています。
家庭の食事のあり方を考えさせられるすばらしい一冊です。
子供と食事をされている方にお勧めです。
http://astore.amazon.co.jp/innsyokutenn-22/detail/4816706453
★5個です。
・食品工場の参考になる本
http://astore.amazon.co.jp/koujyou-22/249-0151581-1769102
・中食・外食で参考になる本
http://astore.amazon.co.jp/innsyokutenn-22
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卵を産み終わった鶏はどこに行くのでしょう
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鶏肉の基礎知識
日本の食肉用の鶏肉の処理量は約180万トンでそのうち
ブロイラーが 89%
廃鶏(産卵後の鶏) 9%
地鶏 2% になります。
それぞれの鶏肉の特徴についてお話しします。
・ブロイラー
卵から孵化してから二ヶ月くらいで出荷します。
孵化から出荷まで平飼いで飼われていて、これが暗い中で、餌と水を与
えられてじっとしているといわれている鶏です。
日本のほとんどの食用の鶏がこのブロイラーにあたります。
スーパーで売られている、こだわりの名前の付いた鶏肉も大きな分類だ
とブロイラーにあたります。
・廃鶏(産卵後の鶏)
産卵をしていくとたまごはどんどん大きくなっていきます。
日本の家庭用の卵はL玉が中心で売られています。
L玉よりも大きくなると割れやすくなり、家庭用としては使いづらくなってき
ます。
経済的に採卵用として採算が合わなくなった鶏を食用として処理すること
です。
通常、鶏舎毎出荷するのが普通です。サルモネラ問題、鶏病の予防から
鶏舎毎に出荷して、出荷後に鶏舎を洗浄して、その後新しい若鶏を入れま
す。
オールイン、オールアウトといいます。病気になった鶏、弱った鶏だけを
肉用として出荷することはありません。
・地鶏
地鶏の定義は難しいのですが、ブロイラーが約二ヶ月で出荷するに対し
て地鶏は約三ヶ月で出荷する。その辺が大きな違いです。
もちろん鶏自体の種類等、餌も有りますが、一番の違いは飼養期間の
違いです。鶏肉は長く飼うことによって、肉質は堅くなりますが、肉のこく、
うまさは出てきます。
日本の地鶏は日本古来の血筋が50%以上入っていることが必要です。
・その他
そのほかに、合鴨、アヒル、ウズラ、雀があります。
私は合鴨のすき焼きを冬の寒い日に食べるのが好きです。鴨すきで、
産み立ての生卵をたっぷり付けて食べるときが至福の時になります。
採卵系の鶏の出荷について。
では、採卵系の鶏が具体的にどのように出荷しているかをお話しします。
通常は廃鶏は、ブロイラーと異なった処理業者で処理されます。
ブロイラーは通常は処理場から、飼育場まで一貫して経営していますの
で、ブロイラーの処理場に採卵系の廃鶏が処理に回されることはありませ
ん。
廃鶏の処理業者は、毎日の処理量を様々な鶏舎を回って集めることにな
ります。処理業者がトラックで鶏舎に行き、自分たちの手で鶏の入っている
ケージから鶏を取り出して、配送用のケージに入れて、配送車で処理場ま
で運び出します。
採卵系の鶏は何に使われているのでしょうか。
鶏舎まで取りに行き、食用になるように処理を行うと、鶏肉の値段は最
低200円以上になります。
廃鶏を使用していた、加工肉の業界(ミートボール、ハンバーグ、ソーセ
ージ等)では低コストの原料という優位性で使用していましたが、その優
位性が低価格の輸入肉でコストメリットが無くなってしまいました。
現在、廃鶏の特徴である鶏肉本来のコクが有ることを生かして使用して
いるのは、ラーメンなどに使用するスープの原料としてのみになります。こ
のままでは、処理コストと販売コストのバランスがとれずに、産業廃棄物と
して処理されていくかもしれません。
輸入飼料で育った、親鳥が有効利用されることを望みます。
私のお話が皆さんの工場管理を、耕し続けるヒントになれば幸いです。