=============================================================

   そうめんの賞味期限偽装について

                                        2008/06/11


=============================================================

河岸です。

いつも使用しているパソコンが調子悪いので、いつもと様式が違い

ますが、読者の方のメールが無くならないうちに配信します。

奥深いお話が入っていますのでぜひ読んでみてください。

読者の方のご意見です。

先日の森井食品の素麺の賞味期限偽装事件の件で読者の方からご意

見を頂きました。読者の方からいくつかの問題点が提起されています。

是非、皆さんも一緒に考えて見てください。

私のコメントは明日のメルマガでお伝えしたいと思います。

――――――――――――――――――――――――――

=============================================================

いつも興味深く読ませていただき、勉強させていただいております。

今回の件で、関西某大手小売業が、今回回収対象として該当している

商品以外の市販用素麺や、素麺以外の森井食品の商品まで、全て店頭

から撤去し、返品するという措置を取ると決めたそうです。

また全国の小売業を代表する大企業も春雨の商品カット(返品)を決

定したとか。

かなりの店舗数を持つこれらの企業がそのようなことをやり通した場

合、返品数量はものすごいことになるでしょう。。。

5大紙に社告を出すことで既に莫大な経費をかけているはず、対象以

外の商品の莫大な返品量を処理することで、森井食品が倒産するなん

ていうことも、決してありえない話ではない気がします。

森井食品は確かにやってはいけないことをしました。しかも、数年前に

は産地偽装もやってしまっています。経営者の考え方が甘かったという

ことでしょう。大変残念なことです。

ただ、一小売業がそこまでするべきことだったのでしょうか?やっては

いけないことをやったから当然の報いであり、制裁は加えられるべきで

ある、今後存在すべき会社ではない・・・そう考えるのが今の常識、一

般的な感覚なのでしょうか?

個人的にはとても恐ろしい風潮だと思うのですが・・・。

 吉兆や赤福の件で世間の厳しさは肌に感じているつもりでしたが、

食品衛生に関わらないことでもここまでのことになるということに少々

動揺しているようです

今回の森井食品の件に関して、確かに森井食品は倫理、法に反すること

を犯しました。それについては猛省し、今後直ちに改善して信頼回復が

できるような途方もない努力をしなければなりません。

ただ、このようなことを行った背景に思いを馳せると、製造、流通、小売、

そして消費者と、それぞれが行っている商習慣や考え方を見直さなけれ

ばならない、という現実を食品業界にいる人間として、目の前に改めて

つきつけられたようにも感じます。

例えば、3年半もつと全国乾麺協同組合連合会がガイドラインに示した

素麺の賞味期限の目安があるのに、何故1年半にしたのか?「3年半」

とつけることは何故できなかったのか?

虫の発生する可能性が高くなり、安全性に万全を期すため、という理由

があげられていますが、それだけ期限が長い商品をあまり陳列棚に置き

たくない、置いてもらえない、という小売側の発想から来る圧力はなか

ったのでしょうか。

季節商品であるがゆえにより多く発生する返品。これもそもそも何故返

品をするのでしょうか?一度購入した商品を、売り手側の都合で返品す

る、という商習慣はこのまま続けていてもよいのでしょうか?資源の枯

渇が叫ばれる時代、売れないから、売れ残ったから、

棚替えだから、という理由で簡単にメーカーへ返品してよいものでしょ

うか?

今回の詰め替え問題はそもそもそこから端を発しているのではないでし

ょうか?

 

返品されてきた商品が転用できず廃棄しなければならない場合、それが

品質や賞味期限に全く問題がなければ、「食べられるのに廃棄しなけれ

ばならない」という現実に膨大なコストと手間をかけ、処分を行わなけ

ればなりません。

返品の多い流通・小売企業は、購買または返品に対する倫理観をどのよ

うにお考えなのでしょうか?

自社のリスクだけを考えた仕組みになっていはしないでしょうか?入荷

許容といって、賞味期限がまだあるにもかかわらず、

リスク管理という名の下に、まだ日数のあるものを受け取らない、売ら

ない、という仕組みは、このまま継続していくべきなのでしょうか?見

直しの余地はないのでしょうか?

また、消費者も一部において「作りたて、新しいものがいいもの」という

考えをあらゆる商品にあてはめて考え、購入行動を起こす、という傾向が

あることを見直さなくてもよいのでしょうか?

すぐ使う予定のあるものは、奥の方にある期限の新しいものを取らず、手

前の商品から購入する、ということに取り組むことは、返品を減らし、廃

棄を減らすことにもつながり、ある意味エコにつながるのではないでしょ

うか。

全て簡単には片付かないことばかりで理想論なのかもしれず、知識がいたら

ないからこその思いもあるのかもしれませんが、

自分ひとりでは何も出来ないことに、諦めに似た感情だけが残ります。

森井食品の事件だけでなく、これまでの食品業界に起きているたくさんの

事件の中に、こういった業界全体の問題が潜んでいることももっと声高に

問題提起され、報道されてほしいと思うこのごろです。

このメルマガを読まれている皆さんはどうお感じになっているのでしょうか?

明日の私のコメントを楽しみにしていてください。

 

 

私のお話が皆さんの工場管理を、耕し続けるヒントになれば幸いです。

河岸宏和(かわぎしひろかず)