========================================食品工場長の仕事とは===

   工場の組織について 


組織論を語るときに2003年7月公開されました『踊る大捜査線 THE MOVIE2 

レインボーブリッジを封鎖せよ!』は良く引用されます。

http://www.odoru.com/main/home/index.html

「事件は会議室で起きているのでは無く、現場で起きているんだ。」のセリフも

良く引用されます。先日、地上波でも放映されましたので、見られた方も多いと

思います。今日のお話しは、この組織論について考えてみたいと思います。

組織論、マネジメントも進化します。経営も生き物ですから、毎日毎日進化します。

産業革命が起きて都市にに人口が集中したようにマネジメントも進化していきます。

 

第一世代のマネジメント − 自分でやる管理

 何から何まで自分でやってしまう管理です。今でも面倒くさくなるとつい話して

 しまいます。「いいよ、後はやっておくから」一番簡単なマネジメントです。

 しかし、一日24時間、一年365日では、パソコンの処理スピードがいくら上がっ

 ても仕事のできる量は決まってしまいます。

 

第二世代のマネジメント − 指示を与える管理

 何をどのように細かく指示して仕事を行わせる管理です。事務能力、仕事量は

 爆発的に増えます。大工の親方が弟子に箸の上げ下ろしから、日常の話し方

 まで、細かく指示して、親方は自分の時間を増やすことができて、大きな仕事が

 出来るようになります。仕事の質も親方の細かい指示の元で行いますので、

 仕事の品質を守ることができます。

 

第三世代のマネジメント − 結果重視のマネジメント

 仕事のやり方をいちいち細かく指示されては、指示される方が嫌気をさしてしま

 います。そして、提言します。「何時までに、どういう結果が欲しいかそれだけを

 指示したら、やり方は任せて欲しい。」そうすると、上司は次の様に話します。

 「では、今年の利益を売上げの5%以上にしてほしい。その結果で君の報酬は

 考えよう。」

この、第三世代のマネジメントは、現在多くの企業で行われています。結果が

出ている内は、いいのですが、結果が出なくなると、人の性にしてしまいがちです。

あいつのやり方では、うまくいかないんだ。人を変えなきゃだめだ。と言う様に

自分の身の保全が心配になってきます。

この第三世代のマネジメントで数字を上げる方法は次の三点が考えられます。

 

1 システムを改善する

  品質を改善し、間違いを予防し、ムダを減らす方向で、根本的な改革を

  行う。例えば、工場内の在庫を減らし、作業効率を上げる。

 

2 システムを歪める

  他の結果を犠牲にして求められた結果を出す。君は5%の利益を出さないと

  今年で首だよ。と言われれば、自分の部門だけの利益を考え、会社全体は

  マイナスの方向でも、自分の担当する部門の利益を追求してしまう。

 

3 数字を歪める

  会計を操作してしまう。利益を出すために、仕入れの計上を次年度に繰り

  越して経理上利益が出るようにしてしまう。

 

 

何故、このような結果になってしまうのかは、第三世代のマネジメントの評価が

ラクビーに例えれば、得点した点数、即ち、試合の勝ち負けしか評価対象に

なっていないからです。敵の陣地で戦っている時間、控え選手を含めた選手層の

厚さなどは評価されないのです。そのため、マネジメントは、数字、システムを

歪めて評価される数字が良くなる方向に向かってしまいます。踊る大捜査線の

犯人たちが、批評していた、リストラされたマネジメントはまさしく、第三世代の

マネジメントの歪みと考えられます。

 

 

第四世代のマネジメント 「ジョイナーのトライアングル」と呼ばれています。

三角形を考えてください。マネジメントはこの三角形の大きさと考えます。

マネジメントの成果は、三角形を大きくする事に力を注ぎます。

紙を用意して頂いて、正三角形を書いて見てください。その三点を考えます。

 

1 品質

  品質は買われたお客さまが感動する品質で、最近は顕在化されていない

  暗黙知を顕在化してお客さまに感動を与えることが、品質と言うことを

  定義しなくてはいけません。

 

2 科学的アプローチ

  データーの基づき決定をして、必ずデーターにはばらつきがあることを理解

  しなくてはいけません。

 

3 オール・ワン・チーム

  なかなか出来ない事です。長野の企業アールエフは、企業の方針の中で

  従業員と分かち合うと書いてあるそうです。利益が出ないときは、リーダーを

  解雇する企業でも、利益が出たときに、従業員と分かち合うことは非常に

  少ないです。人を信じること、組織のの一人一人に対して、尊厳と、信頼と

  敬意をもって接すること。会社が勝って、従業員が損をする(win-lose)では

  無く、全ての事業に関係している人たちが(win-win)の関係になることを

  目指すことです。事業に関係する人たちは、お客さま、従業員、株主、納入業者

  地域社会全てが勝ったと思うことです。

 

具体的には次の三点で考えてみる必要があります。

1 品質と生産性は表裏一体で対立する物ではない

2 組織をシステムと見なすことでお客さまに焦点を合わせ、ムダと非効率を省く事が

  出来る。

3 素早く改善を進めるためには、素早く学習すること

 

踊る大捜査線の女性キャリア沖田さんのマネジメントのミスは、所轄の意見を生産性の

下がることと考え、マネジメントの向かうべき方向を、自分の出世に向けてしまった事が

間違いになります。

常にお客さまの事を考え、分かち合い、そしてデーターで考えることが、次世代の

マネジメントになります。

 

 

 

私のお話が皆さんの工場管理を、耕し続けるヒントになれば幸いです。

河岸宏和(かわぎしひろかず)