原材料仕入れ先について


アメリカ産の牛でBSEが見つかり、農水省はアメリカからの牛肉の輸入を禁止

しました。もちろん牛肉、牛を原料としている、化粧品、添加物等の影響もかなり

大きな問題となっています。私たちは、このことを受けて、何を考えなくては、

いけないのでしょうか?

 

食品工場の使命として、お客様に商品を製造して届けると言うことがあります。

原材料が入って来なければ、もちろん製造することは出来ません。

 

原材料が入って来ない事として考えられることは、

輸送上の問題

生産地の問題

天変地異等が考えられます。

 

日本沈没のような大きな地震が有った場合は別としても、大雪が降って高速道路が

不通になっても、別の道路を使用する。たとえば東北道がダメなら常磐道を使用して

東名がダメなら中央道と色々な経路が考えられます。また、一週間先の天気予報が

出ていますので、雪、台風等が予想される場合は、原材料の在庫を確保しておく必要が

あります。

 

では、アメリカ産牛肉の様に生産地で大きな問題が有った場合は、どうすればいいの

でしょうか。過去にも、中国の違法農薬使用の野菜、ウナギの抗生物質の問題等、

色々発生していました。以上の事を考えると、私たちは、一カ所から集中して原材料を

入れてはいけないと言うことです。何か問題が発生した場合でも、最悪のケースでも、

地球に隕石がぶつかって地球が爆発してしまったら別ですが、最悪のケースでも、

製造量の半分以上の原材料が確保出来ていることが必要です。 

しかし集中した方がコストが下がることが考えられます。また、今回の例の様に、アメ

リカの牛肉を使用した方が、国産、オーストラリア産より、遙かにコストが下がる場合が

あります。 

 

ここからが企業姿勢です。

 毎日私たちの工場の製品を楽しみにしてくれているお客様がいる

 毎日この製品を食べないと一日が始まらない

 そんなお客様に対して、製品を製造しています。

 

毎朝、ポストに入っている新聞が急に来なくなった。

毎朝、飲んでいる牛乳が来なくなった。

毎朝、吸っているたばこが自動販売機から無くなった。

 

考えてみてください、私たちの工場で製造している商品を待っている、お客様がいる

のです。そのために、製品の供給が止まってしまう原材料の確保ができる可能性と、

コストが安い原材料を集中して仕入れる、可能性のどちらを、あなたは選びますか。

次のお話です。仕入れ先が決まりました。仕入れ先を決めるときに考えなくては、

ならないお話です。トーレースする、トレーサビリティーという言葉を最近よく聞きます。

トレースの考え方の基本はなぞることです。あなたの工場に原材料が入ってきて、

荷受けします。

 

原材料の受け入れチェックについて↓↓↓は先日お話ししました。

http://homepage3.nifty.com/ja8mrx/niuke5.htm

 

荷受けした原材料を更にどこまで、なぞりながら遡ることができるかが、大切です。

食品の賞味期限については、の半年前の卵事件をはじめ

http://homepage3.nifty.com/ja8mrx/gisou2.htm

雪印事件を思い出します。雪印事件の中で、売れ残って余ってしまった、業務用の

チーズを、賞味期限を延ばして再利用したという話しがありました。皆さんの工場で

使用しているチーズが、売れ残ったチーズを再度加工し直して、出来たチーズを

使用していると、お客様に話せますか?

 

あなたの工場に有るチーズは、製造日も賞味期限もあなたの工場の基準にあって

います。入荷限度は、賞味期限×0.3日以内、使用限度は賞味期限×0.7以内と 

工場長のあなたが、理屈なく原料の使用限度を決める必要があります。

そうして決めた日数の中で、工場は運営していれば、いいのですがもう一歩

深く減量をトレースしてみてください。

 

たとえば、

牛乳が余りました。賞味期限ぎりぎりで業務用チーズにしました。

また売れ残りました。今後は原料としてチーズに再加工しました。

また売れ残って、原料としてチーズに再加工しました。

また売れ残って、原料としてチーズに再加工しました。

 

ワープロでこの文書を打っていると、コピーして何度でも使えます。

食品工場では、実際問題として、このように再利用できる製品ってたくさんあります。

 

たとえば、インスタントコーヒーがあります。味の素ゼネラルフーヅ株式会社 が

http://homepage3.nifty.com/ja8mrx/agf5.htm

インスタントコーヒーに再生を使用しないと宣言しています。これは業界でいままで 

使用していたと言うことです。

 

チーズであれば、何時搾乳した牛乳を使用しているか

卵加工品であれば、何時産卵した卵を使用しているか

野菜であれば、何時収穫した野菜を使用しているか

原材料についてどこまで遡ってなぞれるかが大切です。 

卵であれば、採卵して、賞味期限まで保管して、売れなくて、液卵を造って、

それを凍結して、更に売れ残って、粉卵をつくって、粉卵が売れ残って、

玉子加工品をつくって、これがぐるぐる回ります。 

そのとき、玉子加工品の工場長であれば、原料の玉子は、一年以上前に

産卵した卵を使用していますと子供に話せますか?

小学4年生の子供と夕ご飯を食べながら、お父さんの工場は一年前に余った

原料を安く買ったから、今月は利益が出るんだと子供に話せますか。 

 

逆のお話もあります。 

 

賞味期間が過ぎようとした玉子があったから、とりあえず冷蔵庫に入れてあるんだ

そうすれば半年間は保管しても大丈夫だし、だめでも液卵を造るからいいんだと、

夕食を食べながら子供に話すことはできないと思います。

 

あなたの工場で使用している原材料は万が一の時でも供給されますか?

あなたの工場で使用している原材料はどこまで遡ることができますか?

 

 

私のお話が皆さんの工場管理を、耕し続けるヒントになれば幸いです。

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