==================================食品工場の工場長の仕事とは==

■■    潜在的危害を考える(Potential Hazar)

■■■                            2011年5月7日発行 

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おはようございます。

TBSラジオdig 5月5日(木)「生食のリスクを考える」

「焼肉チェーン店で集団食中毒。生食のリスクを考える。」

パーソナリティは荻上チキ と 外山惠理 私、河岸宏和も出ています。

 

■今回の食中毒事件についての最新ニュースを、TBSラジオの柴田秀一

    ニュースデスクが解説しました。

 

■スタジオに東京大学名誉教授で、日本学術会議副会長の唐木英明さん

をお迎えし、今回問題を起こした「O111」をはじめとする腸管出血性大腸菌

の性質や、生食の危険性、また厚生労働省による規制などについてお話を

うかがいました。

 

■食の現場で品質管理業務に携わり、ホームページ「食品工場の工場長の

仕事とは」を主宰している河岸宏和さんに電話をつなぎ、今回の事件で考え

られる感染経路や、生食用食肉の衛生基準などについてお話をうかがいま

した。

ポッドキャストで聞けます。

http://www.tbsradio.jp/dig/sample.html

 

ツイッターをしています。

食について是非合智しませんか。

https://twitter.com/ja8mrx

 

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「”売れる”食品開発のための製品コンセプト立案と商品プロモーション戦略」

http://www.gijutu.co.jp/doc/t_10502.htm

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 潜在的危害を考える(Potential Hazar)

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まず潜在的危害を考える

 焼き肉チェーン「焼き肉酒家えびす」で大きな食中毒事件が発生してい

ます。

 みなさんの工場でも生の牛肉を取り扱っている工場もあると思います。

生の牛肉を取り扱っている工場では、今回の事件を受けて、従業員教

育、現場の工程の見直しを行いましたか。

 あなたの工場で働く従業員の方も「焼き肉酒家えびす」の報道を受け

て不安になっている方も多いと思います。

 「焼き肉酒家えびす」を他山の石としてしっかり従業員教育を行う事が

大切なのです。

 潜在的危害を考える事が大切です。食品の素材には、潜在的に存在

している危害があります。生卵ならサルモネラ菌、今回の事件の牛肉な

ら糞便系大腸菌群が必ず付着していると考える事が大切なのです。

 「私の工場の最終商品はすべて加熱工程があるから大丈夫」

 「お客さんは必ず加熱するから大丈夫」と言われるかもしれません。

 しかし、食品衛生の知識の無い方があなたの工場の製品を適切に使

用しない場合も考えられます。

 まさしく「焼き肉酒家えびす」の事件も食品衛生の知識の無い方がコス

トだけを求めて組み立てたユッケの提供方法だと思います。

 加熱調理用の肉を生食用に使用することは本来有ってはならないので

す。

 しかし、加熱調理用の肉を適切に処理すれば生食で食べる事も可能

になります。

 ここには経験と、食品衛生の知識が必要なのです。

 今日採用したバイトに「真空パックをあけて細かく切って出して」という

指示だけでは不足なのです。

 「牛肉には、糞便系大腸菌群が必ず付着しているので充分注意が必要」

という教育を必ず行い、牛肉の取り扱いの経験の有る方しか調理を行わせ

てはいけなかったのです。

 みなさんの工場で取り扱っている食材で、間違って生でそのまま食した

場合に危害になる物をリストアップし、起きるべき潜在的危害を考える必要

があります。

 危害の切り口としては、物理的危害、科学的危害、生物的危害、アレル

ゲン、表示の切り口で考えるます。

 表示の危害は通常考えませんが、「鮭の骨が入っている可能性がありま

す」「当商品は小麦を作る製造ラインで製造してます」「この商品は必ず加

熱してから食してください」という表示が落ちてしまうと、加熱しないでお客

さんが使用し食中毒が発生した場合は、責任問題になってしまいます。

 例え営業の方が「この商品は加熱しないでも大丈夫です」と営業していて

も、生食で危害の可能性がある物については、製品規格書、最終商品の

表示に「この商品は必ず加熱してから食してください」と表示することが大

切なのです。

 アレルゲンのコンタミ表示等も欠落していると大きな問題になる可能性が

あります。

 牛肉だけが大きく問題になっていますが、身近な卵にはサルモネラ菌の

潜在的危害があります。

 サルモネラ菌の中でもSE(サルモネラ・エン. テリティディス)は通常、発症

するためには数100万個以上の菌数が必要ですが数十個の菌数でも発症

すると言われています。

 鶏卵のSE(サルモネラ・エン. テリティディス)を防ぐためには、鶏卵の産ま

れてから販売までのチルド管理が不可欠です。卵にはSEと言う潜在的危害

があるのに、卵を生で食べること、しかも流通は室温管理を行っていること、

このことはサルモネラ中毒という鶏卵の持つ潜在的危害を考えていない事

になります。

 サルモネラ菌は5℃以下であれば増殖しないと言われています。卵の保

管温度は10℃以下では無く5℃以下である必要があります。

 鶏卵の表示には「5℃以下で保存ください」「必ず加熱してお召し上がりく

ださい」の表示が必要になります。

 「必ず加熱してお召し上がりください」の表示を確認して生食で食べられた

場合は、食べた方の自己責任となるはずです。

あなたの工場の潜在的危害をリストアップし危害の認識をまず行ってみて

ください。

 

 

私のお話が皆さんの工場管理を、耕し続けるヒントになれば幸いです。

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