食品工場の作業着について
食品工場の作業着の目的を考えてみたいと思います。
工場で製造している、商品に危害を与えないこと。これが究極の目的になります。
勘違いしている方がいるのは、「自分の着ている私服を汚したく無い」という考え
方です。汚い作業だから、服が汚れるのは困るから、作業着を着るという考え方
です。
では、危害とは、大きく3つに分類されます。
1 物理的危害
2 化学的危害
3 生物的危害
では、作業着から見てどのような事に注意したらいいか考えてみたいと思います。
1 物理的危害
作業着からくる物理的危害とは何でしょうか。胸にポケットがあって、そこに
ボールペンを入れて製品に入ってしまうこと。ズボンのお尻のポケットに財布が
あってそれが製品に入ってしまう。作業着の袖口がほつれて糸が混入してしまう。
もっとも多いのが、髪の毛が作業着に付いてそのまま混入してしまう。このことが
一番多いと思います。作業着の材質、糸の種類によって、髪の毛が着きにくい
形状にする事は充分可能です。いかに異物を工場内に持ち込ませないか、
万が一作業着に異物が付いても落ちやすくするか、考える必要があります。
また、そのために着替える作業着ですから、毛糸が毛羽だったセーターが、作業
着の下からはみ出していては、作業着が無意味になりますね。
2 化学的危害
洗濯時に使用した、有機溶媒が着いた作業着を着てきて臭いが移ってしまった。
自宅で洗濯し、干したときに農薬が着いてしまった。隣の家でペンキを塗っていて
臭いが着いてしまった。色々考えられますね。こんな事故は無いよなんて話す方も
いますが、すべて有る話だと思います。
3 生物的危害
外科医が手術着に着替えるのは、外科的手術をするときに、傷口に菌が入らない
ようにするために手術着を着ます。食品工場でも最終の包装工程に入るときに
作業着の上にさらに包装室用の作業着を準備するところも有りますが、目的が
異物混入で、きちんと殺菌した作業着を着るところはまだまだ少ないですね。
作業着の表面の菌数検査をしてみると、おもしろいかもしれません。家庭で洗濯
しているところは、家庭の洗濯機の中は、菌だらけな事を忘れてはいけないと思い
ます。
作業着は、上着とズボンから構成されています。実際の作業にあたるときは、これに
帽子とマスク、靴、靴下、等が加わります。
すべてについて目的は一緒になります。よく忘れるのが帽子は洗濯していないとか、
靴下は、毎日洗っていないとか、そういう場合が考えられます。
食品を扱うものとして、
最低毎日洗濯したものを身につけること
ほつれた作業着は修復して着ること
この二つを守っているところは、思ったより少ないと思います。
皆さんの工場はいかがですか?
私のお話が皆さんの工場管理を、耕し続けるヒントになれば幸いです。