========================================食品工場長の仕事とは===
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船場吉兆、食べ残し料理を別の客に■■■ 2008年5月4日発行
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おはようございます。河岸です。船場吉兆でまた信じられない事が報道されま
した。食材を仕入れている食品工場でも信じていると思いも寄らないことが
現場で起きてしまいます。
是非、食材仕入れ先の監査に私の本を読んでから行ってみてください。
「食品工場の点検と監査 」 河岸宏和/著
出版社名 同文舘出版 (ISBN:978-4-495-57991-3)
発売予定日 2008年04月21日 価格 1,785円(税込)
食品工場の原料購買担当者、スーパー・生協のバイヤー、外食産業の購買担
当者など、食品を購入する立場の人が、それらを点検・監査する際のポイントを
ビジュアル解説しています。
http://astore.amazon.co.jp/koujyou-22/detail/4495579916/503-6362663-9604730
講演を行います。是非申し込んでみてください。
平成20年5月23日(金)13:00〜16:00
「食品期限(賞味・消費)表示設定における科学的根拠構築および実証手法」
・食品期限まで保たない場合の対処方法は?
・日常管理・検体の保管上の留意点は?
・新商品開発時の期限表示の設定方法とは?
・・・等、期限設定の問題点を解消!
http://www.gijutu.co.jp/doc/s_805103.htm
私、河岸宏和の紹介と申し込み時に申し出ていただければ、定価より
15,750円割引になります。是非、申し込んで見てください。お待ちしています。
今週のお薦めの本です。
法律より怖い「会社の掟」 (講談社現代新書 1939) 稲垣 重雄 (著)
品質は経営のトップによって決まります。
デミング賞で有名なデミング博士が述べた言葉「品質は経営のトップによって
決まる」があります。
私は、「企業の倫理観は、会社の責任者の倫理観を超えることは無い。」と
良く講演などで話しています。
当然会社のトップのかたは、今、あなたが決断したことが、法律に触れないか、
決めたことを悪いと感じないだろうか、新聞に載ったらどう映るだろうか、正しく
ないと判っているのにやってないだろうか、を常に考えて判断する必要があり
ます。
トップの方が正しい判断を行っている前提で、従業員にはエシックスを求める
事が重要になります。
法律より会社の掟を守る行動を起こしていることが会社の不祥事の温床に
なっていると、著者は説いています。
不祥事がなぜ日本の社会から無くならないか、理解するために参考になる
一冊です。
http://astore.amazon.co.jp/koujyou-22/detail/4062879395/503-6362663-9604730
食物アナフィラキシー―アレルギーが生命を奪う (健康双書)角田 和彦 (著),
調理時の換気でもアレルギー発作が起きてしまいます。
アレルギーのショックになった事が有る方しか判らないことがあります。スー
パーの試食でマネキンさんに「牛乳入っていませんか?」と子供が聞いて、
マネキンさんが簡単に「入っていませんよ」と答えてしまって、牛乳の入った
試食品をアレルギーを持った子供が食べてしまうと、スーパーから家までに
帰る途中で、発作が起きて倒れてしまいます。
食物アレルギーと聞くとたいした事が無いなと思っている方も多いのですが、
調理中の換気扇の換気からの匂いで発作が起きてしまう方もいるのです。
エビ、かにが特定原材料に加わりますが、取扱に注意が必要な理由が
良く伝わって来る本です。
アレルギーを甘く見ているあなたにお勧めの本です。
http://astore.amazon.co.jp/koujyou-22/detail/4540971689/503-6362663-9604730
生物兵器と化学兵器―種類・威力・防御法 (中公新書) (新書)
井上 尚英 (著)
身近な化学薬品が兵器になります。
硫化水素をトイレ用洗剤と入浴剤で発生させて、自殺することが2008年
流行っています。本当に身近に有る物で、人の命を奪うことが出来ます。
身近な細菌でも人の命を奪うことが出来ます。サルモネラ菌、ボツリヌス菌
オウムでもボツリヌス菌の研究を行って実際に、地下鉄の中で撒いて見たと
のレポートもあります。
日本では世界大戦中に731部隊が研究していたことが有名ですが、なんと
行ってもサリンを撒いたオウムで何時化学薬品が撒かれるか恐怖に陥って
しまいます。
化学薬品、細菌を取り扱う方に、取扱の注意を促すために必要な一冊です。
http://astore.amazon.co.jp/koujyou-22/detail/4121017269/503-6362663-9604730
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船場吉兆、食べ残し料理を別の客に
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エシックスは簡単には定着しません。
日本の品質管理の父と言われるデミング博士は、「品質は経営のトップによっ
て決まる」と語っていました。私も講演などの中で、「企業の倫理観は企業のトッ
プの倫理観を超えることは無い」と話しています。今回報道されている船場吉兆
の食べ残しの使い回しについても、「正徳前社長から「もったいないから明らかに
使えそうなのは使え」と指示を受けたのが始まり」と報道されています。
まさしく、企業のトップの方の倫理観が欠如していた結果だと思います。
毎日繰り返す事で倫理観が定着します。
私も外資系企業で働いていたことが有りますが、外資系企業は倫理観を植え付
けるために、毎日毎日繰り返し、会社の理念を唱和します。私がいた企業は、「会
社は自分の物だ。」とい理念と、「お客様が一番。」という理念を繰り返し教育して
いました。
手元に有る名札、ボールペンなどのグッズにも、「会社は自分の物だ」と書いて
ありました。
世界的な半導体メーカー テキサス・インスツルメンツ は、倫理観についてのホー
ムページがあります。
http://www.tij.co.jp/jcorp/docs/program/index.htm 日本です。
本社の英語版です。
http://www.ti.com/corp/docs/company/citizen/ethics/quicktest.shtml
倫理観で迷ったときは簡単なテストが用意されています。
The TI Ethics Quick Test
Is the action legal?
Does it comply with our values?
If you do it, will you feel bad?
How will it look in the newspaper?
If you know it's wrong, don't do it!
If you're not sure, ask.
Keep asking until you get an answer.
This information is provided to TI employees on a business-card size
mini-pamphlet to carry with them. For copies of the card or further
information, contact the TI Ethics Office at 1-800-33-ETHIC.
エシックス・テスト
「それ」は法律に触れないだろうか
「それ」はTIの価値基準にあっているだろうか
「それ」をするとよくないと感じないだろうか
「それ」が新聞にのったらどう映るだろうか
「それ」が正しくないとわかっているのにやっていないだろうか
不明な点がありましたら、納得のゆくまで上司そのほか関係者に確かめてくだ
さい。
もし、船場吉兆で倫理観を企業のトップの方が持っていて、倫理観を広めよう
と思っていれば、今回の使い回しは発生しなかったと思います。船場吉兆は、
利益を最優先として考え、「もったいない」という言葉を隠れ蓑にしていたと思
いませんか。
吉兆で働いていた方も、使い回した食材を決して自分の子供に食べさせた
いとは思っていなかったと思います。
あなたの工場では倫理観を植え付ける活動は行っていますか?
朝日新聞よりーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
船場吉兆、食べ残し料理を別の客に
2008年05月03日00時30分
牛肉の産地偽装や総菜の不正表示が相次いで発覚した高級料亭「船場吉兆」
(大阪市中央区)=民事再生手続き中=は2日、昨年11月の営業休止前まで、
本店の料亭で客の食べ残した食事を別の客に再び出していたことを明らかにし
た。湯木正徳前社長(74)の指示で、はしをつけていない料理などを「もったいな
い」として使い回していたという。大阪市保健所は同日、本店に立ち入り調査し、
再発防止を指導した。
市保健所によると、使い回していた料理は、アユの塩焼き▽稚鮎(ちあゆ)の素
揚げ▽ゴボウをウナギで巻いた「八幡巻き」▽エビと魚のすり身を蒸した「えびきす」
▽サーモンの焼き物▽刺し身の添え物――など少なくとも6種類。
料理長の山中啓司取締役や代理人弁護士らによると、客が食べた形跡のない料
理を置いておき、食材が足りなくなったときなどに再び加熱するなどして別の客に提
供していた。こうした使い回しは2〜3週間に1回の頻度で繰り返されており、調理場
のほぼ全員が知っていたという。6〜7年前に正徳前社長から「もったいないから明
らかに使えそうなのは使え」と指示を受けたのが始まりで、今年1月の営業再開後
はしていないという。
同社は昨年12月、偽装や不正表示問題を受けて農林水産省に改善報告書などを
提出したが、使い回しについては触れていなかった。同日夜、店舗前で報道陣の質
問に答えた山中取締役は「お客様に不快な思いをさせ、深く深くおわびします」と謝罪
した。
厚生労働省によると、食品衛生法は、腐敗などで健康を損なう恐れがある食品の販
売を禁じているが、食べ残しの使い回しを禁止する規定はない。同省監視安全課の担
当者は「同法では、調理側が料理を使い回す事態をそもそも想定していないため、違
法行為ではないが、不適切だ」と話している。
船場吉兆をめぐっては、大阪府警が、同社が九州産牛肉を「但馬牛」と偽ってみそ漬
けに加工して販売していたとして、正徳前社長と長男の喜久郎前取締役(45)を不正
競争防止法違反容疑で書類送検する方針を固めている。
使い回しはどのように行われたのか――。山中取締役は「(客が)一切手をつけてい
なかった時に限って再び加熱調理をした。料理人が味見をし、もう一度出すと判断する
こともあった」と説明した。
こうした実態については「調理場ではほとんど全員が知っていた」といい、「やっちゃい
けないことをやっていたという意識があった」と当時を振り返った。正徳前社長の指示で
6〜7年前から繰り返すようになったことを認め、「前社長に(やめるよう)忠言をしたこと
はあったが、どこまで聞き入れてもらったかは分からない」と額の汗をぬぐった。
前社長の妻で女将(おかみ)の佐知子社長は、この日は報道陣の前に姿を見せな
かった。社長は使い回しを知っていたのかとの問いに、山中取締役は「分かりかねる」
と答えた。
私のお話が皆さんの工場管理を、耕し続けるヒントになれば幸いです。