========================================食品工場長の仕事とは===

■■    製品管理と製品出荷判定作業について

■■■                            2007年4月29日発行 

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おはようございます。

河岸です。月刊HACCP http://www.keiran-niku.co.jp/haccp.html で

「中小食品工揚の品質・安全性管理のポイント」を連載しています。他にも

特集記事が豊富ですので是非読んで見てください。

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製品管理と製品出荷判定作業について

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発想の転換が必要な工程になります。

 新聞の三面記事の下には毎日、「お詫びとお知らせ」が掲載されています。

日付ミス(賞味期限日付、消費期限日付等)、アレルギーの表示ミス、包装材

料の間違いなど、ミス自体は非常に単純なミスになっています。ここでミスを犯

したときの改善、再発防止策、原因追求の発想を大きく転換しなければなりま

せん。日付ミスの商品を市場に出荷し、販売してしまったとします。日付ミス事

故を起こしてしまうと、日付をセットした作業員の責任になってしまいます。もし

くは原因の全てがインクジェットプリンターなどのセットミスになっています。ここ

で発想の転換をします。図1出荷判定のハードルの考え方と、図2のハードル

の高さを常に監視する体制がうまくいかなかったために日付ミスの事故が起き

たと考えるようにします。図1の出荷判定のハードルで通常の工場では、出荷

数量とロット区分のみを確認して製品を出荷していると思います。その発想を

転換して、ラベル(包装材料)の色、内容、日付(ロット区分)、表示内容のハー

ドルを点検して出荷するようにします。出荷判定を現場で決めたとおり行って

いるかどうかを品質管理に属している出荷判定チームが監視を行います。現

場の出荷判定ののみに任せていると判定が形だけになるので監視チームが

常に監視する体制が必要なのです。そして日付ミスの事故が起きた場合は、

監視チームを含め「出荷判定が行われなかったのは何故か」という視点で改善

を行います。包装作業のミスは色々起きていると思います。ミスの氷山を日常

から出荷判定で見つけ、包装工程にフィードバックすることでミスの氷山を小さ

くすることが出来ると思います。ミスのフィードバックは自分の工場の製品だけ

では無く、「他山の石」情報として世間のミス情報も包装工程にフィードバックす

るようにします。

 

 

 

出荷スペースに求められる構造について

 図3のような構造が必要になります。包装室からコンベアなどで運ばれてきた

製品はまず出荷判定を行います。出荷判定を行ったものか出荷判定を行って

いない製品かどうかが出荷スペースの置き場所で区分が出来るようにします。

当日出荷されない在庫になる製品についても出荷判定を行ったものか行ってい

ない物かが置き場所で明確に区分できるようにします。出荷スペースは外部に

対して吸排気設備での陽圧管理ができて飛翔昆虫が入り込めないようにします。

ドックシェルターについても配送車を接車したときに光などが漏れない構造にし

ます。出荷スペースに製品などを置く棚を設置する場合には、棚の一番下が床

面から15cm以上離し、壁面からも20cm以上離します。隙間を15cm以上空

ける必要性は、ネズミ、ゴキブリなどが巣を作らないようにするためです。実際

にこの空間を空けることで清掃が非常に容易になります。照明に使用する蛍

光灯は割れた場合でも破片が製品に落ちないようなカバーが必要になります。

捕虫機の設置が必要です。出荷スペースで作業する方は配送車の運転手も

含めて、土足を禁止します。靴を履き替えるスペースが必要になります。

 

 

出荷判定を行います。

 出荷スペースに入荷した商品の外観、日付、ロット区分の確認ができるかどう

かを点検します。具体的には出荷スペースに入ってくる製品のロット区分を明確に

します。同じ製品でも異なる包装機で包装した製品、同じ包装機でも包装材料を

変更した場合はロットが別になります。ロット区分毎に1ケースは出荷判定を行い

ます。出荷判定のための帳票は図5の帳票管理システムから毎日打ち出された

ものを使用します。現場で使用する帳票は通常一月分をコピーして現場で保管し

その帳票を使用しますが、賞味期限などは毎日変わりますので、作業現場で確

認の基になる日付を記入するとミスが起きる可能性があります。その間違えた日

付を基に出荷判定を行ってしまうので、必ず事務所で毎日印刷した帳票を使用す

る事が重要になります。図6に出荷判定の帳票の例になります。出荷判定を行う

ためには、段ボールで製品を梱包してしまうと中の包装材料が確認できませんか

ら、図7の様にダンボールを開封することなく中身が確認できるような窓を開ける

などの工夫をします。確認する内容は使用している包装材料が合っているかどう

か。この判定は包装材料に固有番号をつけて、例の場合は「102」と言う番号を

包装材料に付けてその番号が判るようにします。この固有番号は非常に大切で、

包装機で包装材料を間違うミスを防ぐためにも包装材料には工場内だけで使用

する固有番号を付けることがミスを防ぎます。深絞包装機などで透明な包装材料

を使用する場合は製品の重量によって使用する包装材料の厚さが異なってきま

すので、監査チームが監査を行うときは、製品の包装材料の厚さを測定すること

が必要になります。日付は帳票と同じかどうかを確認して点検をします。最近は

デジカメが安価になって来ましたので、出荷判定で毎日ロット毎に写真を撮って

おくといいと思います。問題が有ったときのみ印刷すれば、経費がかかりません

ので毎日毎日取ることで出荷判定の記録になります。最近はラベラーのメーカー

でこのデジカメ機能を備えた自動で日付、表示などを読み取り設定された日付、

表示と異なるときはアラームを出すことが出来る「画像検査システム」が発売さ

れています。価格も一度ラベルミスを市場に出してしまった場合よりも安価にな

っていますので検討をしてみる価値はあると思います。ここで大切な点はこのシ

ステムを導入するときも設置場所は出荷スペースに設置して出荷判定を行う装

置に使用することが非常に大切になります。

 

監査チームが出荷判定の状況を監査します。

 品質管理の監査チームは、朝一番、午後一番、最終、抜き打ち検査で出荷判定

が決められたとおり行われているかを監査します。図6の帳票の「監査」の項目の

所に監査した時点でチェックをいれます。この作業はなれ合いになりそうですが、

「出荷判定を行わずに配送車に積み込んでいた。」「在庫が判定を行ったかどうか

判らなくなっている。」「ロット区分が判らなくなってしまった。」などと言った場合が

有る場合は、配送車から積み込んだ製品を全て降ろして再確認を行ってから出荷

させる権限をもって監査を行います。そして、何故そのようなミスが起こってしまっ

たかを十分に検討を行い、現場に対してフィードバックを行います。

発想の転換が必要な工程です

 

私のお話が皆さんの工場管理を、耕し続けるヒントになれば幸いです。

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