========================================食品工場長の仕事とは===

■■    サニテーション部隊について

■■■                            2006年6月17日発行 

□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□

おはようございます。

河岸です。責任を明確にすることって非常に難しいことだと思います。自動車

事故を起こして、車の本来持っている欠陥もあると思いますし、整備不良の可

能性もあるし、もっとも車の場合は、操作ミスもあるし、車の場合は、運転して

いた方の責任で、全てが片付く場合が多くて、三菱のトラックのタイヤがとれた

場合みたいのは、少ないと思います。今回のシンドラー社のエレベーター事故

は、元々の欠陥か、整備不良か、使い方か、これは難しい事になりそうです。

但し元々整備しづらいエレベータ、使いづらいエレベーターの様な気はします。

=============================================================

読者の方から質問を受けました。最近少し返事が遅れがちですが、必ずいつ

かは、返事しますので是非質問をお願いします。

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

この数ヶ月、製造量がかなり多く毎日が残業の日々です。

ここで問題になるのが、清掃不良が発生してくることです。

私の会社は交代制を行なっていないため、1日作業した人がそのまま清掃を

行ない退社します。そのため、製造時間の延長を続けていくとどうしても清掃が

おろそかになります。特に壁、天井、床などは無法地帯です。定期清掃をしよう

と訴えてもなかなか実現しないのが現実です。最近、他工場を訪れることがあり

日常清掃をどのようにしているかを、伺ったところ、清掃業者を入れているとの

返答がありました。やはり製造を行なった人が最後まで清掃を行なうというのは

かなり酷な作業になるのでしょうか?

清掃は業者を入れた方がよいのでしょうか?

他社さんはどうしているのでしょうか?

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

責任区分をしっかり行えばいい方向に向かいます。

 ファーストフードのお店などでも、サニテーションはサニテーション専門の方が

行っている場合があります。製造作業とサニテーションは作業着から違いますの

で作業する方を分けた方が効率的かもしれません。製造作業中はなるべく水を

使用することなく、靴も短靴を使用して、サニテーション中は長靴を使用すること

が出来ます。この場合は何処までを製造チームで行い、どこからをサニテーショ

ンチームで行うかを明確に区分する必要があります。製造が暇なときは、軽くゴ

ミを拾って分解するところまで行って、忙しいときは全くゴミを拾うことなくサニテー

ションチームに引き渡すこのような事をしがちです。そしてもう一つは、作業時間

です。サニテーションも4時間かかると決めてしまえば、4時間必要なのです。製

造が忙しくなると、この4時間を捻出することなく、「今日は3時間しか残っていな

いからよろしく」と無理を押しつけてしまいます。仕事のできばえを毎日評価する

ことも必要です。サニテーション部隊は、仕事のできばえが、直ぐにはでないので

手を抜いてしまいます。すなわち、製造部隊が作業を開始する前にどなたかが点

検をすることが必要です。菌、蛋白が残っていては行けない場所は、拭き取り検

査か、ATPの検査を行うことで仕事のレベルが上がっていきます。

 

 

仕事の区分を分けることのデメリットとしては次の点があります。

 

・作業者の意識が少なくなる

  製造作業者が掃除に関して興味が無くなってしまう場合があります。もっとも

 製造中に中間でサニテーションを入れると思いますので全く清掃を行わない場

 合は少ないと思いますが、清掃、洗浄に関して興味が無くなる事が多くなります。

 

・コストが高くなる

  サニテーション作業は、製造が終わった後に行います。その時間が深夜に及

 ぶことがありますので、内部で行っても、外部で行っても深夜の賃金の部分の

 コストが上がってしまいます。

 

・製造量が減ったときに作業者の仕事に戻したくなる

  一番多く発生してしまう事例です。製造量が少なくなってもサニテーションに

 かかる時間は一定になります。機械を洗浄する時間は、その機械が稼働する

 時間に関係なく一定の時間が必要だからです。製造部隊の時間にゆとりが出

 てきたときについサニテーションをして、外部にでていくお金を絞ってしまいます。

 そうすると、サニテーションチームの仕事量が不安定になりますので、ついモラ

 ルが下がってしまいます。

 

 

 

仕事の区分を分けることのメリットとしては次の点があります。

 

・製造作業効率がよくなる

  製造部隊は、製造に集中することで作業効率が上がります。作業に適した

 服装をすることが出来ますので、思ったより製造効率が上がる場合があります。

 製造機械の分解を考える事が無くなりますので、製造チームを女性のみで作る

 ことも可能になります。

 

・コストが明確になる

  清掃にかかるコストが明確になります。薬剤も含め、清掃、殺菌にかかるコスト

 は不明確になりがちですが、清掃に関するコストが非常に明確になります。洗剤、

 道具、人件費この経費が明確になることは、改善を進める上で非常に大切な事

 だと思います。

 

・清掃不良の責任が明確になる

  製造開始前の洗浄点検を行うことで、洗浄に関する責任が明確になります。毎

 日毎日向上するためには、行ってみて、点検して、行うことが大切です。製造チー

 ムが自分たちで製造してしまうと、洗浄不良が有っても、改善が難しくなりますが、

 チームが別になると、責任が明確になり、改善が進みます。

 

 

 

 

サニテーションチームを作って、自社で行っている例もあります。

 

大切なのはどこから何処までが責任範囲かを明確にすることです。

 

 

私のお話が皆さんの工場管理を、耕し続けるヒントになれば幸いです。

河岸宏和(かわぎしひろかず)