再生品の利用はしていますか


読者の方から、再生品の利用についてご意見を頂きました。

私も、大学を卒業してから畜産関係の食品が多いので、その素材である生き物と

考えたときに、製造した物をなんとか、利用したいと考えるのはその通りだと

思っています。但し、その事実をお客様に話せるかどうかが、論点だと思います。

 

AGFのHPを見ますと、次のような表現が目にとまります。 

「AGFは、インスタントコーヒーパウダーの再生利用をしておりません」という記事が

出ていました。

この記事のなかで 再生 という表現が 一般消費者の中で今後話題に、なることは 

さけられないと思います。皆さんの工場はどのように、対応しますか??

 

AGFのHPです。

AGF

http://www.agf.co.jp/

http://www.agf.co.jp/report/re_20020509.html

 

AGFのHPの中で、紙の例が話されています。再生紙を使用した場合は再生紙を

使用していると表現しています。と、これからお話しすることを、お客様に話す事が

出来れば、私は問題ないと思っています。お客様、具体的には、社会見学に

来た、小学生の子供たちに話せるかどうかだと思います。自分の子供がお父さんの

働く姿を見に来たときに話せるかどうかそう思いながら、これからのお話を聞いて

いただければいいと思います。

 

食品工場で具体的に、お話ししますと次の例が考えられると思います。

 

1 見込み生産で造りすぎた製品を、再び原料として使用する

2 各工程で発生した不良品を、再び原料として再利用する

3 販売で残った物を、再び原料として使用する

それぞれの項目でお話ししたいと思います。

 

1 見込み生産で造りすぎた製品を、再び原料として使用する

   受注してからでは製造が間に合わないため、見込み生産をしておき

   受注量より多かった半製品については、再び原料として再利用する。

   半製品を持つことが出来る工程に置いては、半製品の使用限度を過ぎた

   場合、原料として再利用する。

   具体的な例としては、日曜日もその日の日付で出荷が有る場合に、日曜日は

   包装工程の従業員のみ出勤させて、余った場合は原料に戻す、その方が

   人件費も下がるし、効率がいいという言い訳。

 

2 各工程で発生した不良品を、再び原料として再利用する

   ソーセージの製造工程を考えてみてください。ソーセージを充填して

   熱処理すると数パーセント不良品が、発生します。その不良品を、再び 

   原料としてチョッパーして配合工程に入れてソーセージに、充填するのです。

   配合表には再生品2%とか、きちんと配合上組んでいます。折角の原料を

   無駄にしないという論点では正しいと思います。ただ、その事実を、工場見学に

   来た、子供たちに話せるかどうかと言うことです。原料に戻すと、その不良品の

   処理について、頭を悩ますことは無いと思います。但しウインナー等であれば

   チャーハンに使用するときなどは、細かく切りますので、その良品に対する

   規格外の物を、その形で販売することを考えた方が、いいと思います。

 

3 販売で残った物を、再び原料として使用する   

   このことがお客様、子供たちとしては、一番考えられないのですが、お店で 

   販売期限が過ぎて消費期限がまだあるからと言って製品を、回収して原料として

   使用するということです。

   雪印食品の事件で有名になった事ですが、お店で返品になった製品、消費期限の

   切れた製品を、再び原料として使用し、再度加熱殺菌を、して製品にするということです。

   特に乾物については、賞味期限以上に持つ物がありますので、原料として使用したく

   なるのは判ります。但しそのことを、工場見学に来た子供たちに話して、なおかつ

   最終商品の表示で、再生品を20%使用しています。その再生品とは一年前の物

   です。とは、表示出来ませんよね。

 

 

いずれにしてもAGFの記事で書いてあるように、大幅なコストアップになってしまいます。

AGFのHPによれば、

「この意思決定は、大幅なコストの増加につながるものであり、難しい判断でありましたが、

お客様には純粋な製品をお届けする事が、より大切だと考えて決定いたしました。

お客様本位の私達の活動を具体的に示すものとして、ご理解いただきたいと思います。」

皆さんの工場でも再生品を使用し始める前が有ったと思います。そして徐々にその不良品を

使用してみたり、返品を使用してみたりして、製品に問題が無い、お客様からクレームが無い

事を、確認しながら徐々に使用してきたと思います。そして不良品が原価に戻るわけですから

利益が出てしまいます。そして何年か過ぎてしまうと、その不良品を使用した時の利益が

ベースになってしまいます。そのときから言い訳が始まりますね。

 

「せっかくの原料を無駄に出来ないから。」

「廃棄物として出すと環境に悪いから。」

 

 

但し、ここで再度考えてみてください。

場面は、工場から疲れて帰った家庭での食卓です。

子供から質問されます。

 

「お父さんの会社に今日見学に行ったら、赤いウインナーをまた原料として使っていたけど

どうして??」

あなたはなんて答えますか??

それとも、社外の方が工場に来られるときは、再生品の使用を禁止しますか?

 

 

私のお話が皆さんの工場管理を、耕し続けるヒントになれば幸いです。

河岸宏和(かわぎしひろかず)