工場内細菌マップについて


「サニテーションの基本について」先日お話ししました。

http://homepage3.nifty.com/ja8mrx/sanite10.htm

 

サニテーションがきちんとできていて、加熱がきちんとできていれば食中毒は

起きません。但し微生物、細菌は、人の目に見えませんから、人間は見えない

ものについて、注意を注ぐことは非常に難しくなります。人の目に見える、汚れが

残っているようなサニテーションレベルの工場は、毎日毎日現場の人を汚れが

見えるところに連れて行って指摘をすればいいのですが、人間の目で直接見える

汚れが無いのが、通常の工場の衛生レベルですから、そのレベルになると、

現場の行動を促すために、細菌を目で見える状態にする必要があります。目で

見えるように、データーを加工することによって、本当に人は動くようになります。

 

製品の安全を保証する検査と、現場の改善を促す検査があります。

 製品の細菌検査は、最終商品の安全性を保証する細菌検査と、工程管理の

ために問題点を見つけるための検査があります。最終商品の細菌検査は、出荷

判定のための検査、賞味期限を保証する検査の2種類になります。消費期限の

短い商品は、出荷判定を待って出荷することは出来ませんから後追いの安心の

ための細菌検査になります。後追いの製品検査でも結果が悪かった場合は、

製品の回収が必要になります。何時製造した物で、どこのお客さまに届けた物の

細菌検査かが解るように検査とお客さまをトレース出来るようにしておく必要が

あります。

 

 

工程の改善が解るようにする検査

 この検査には、検査結果が過去と比較して良くなったか悪くなったか分かるよう

にする必要があります。下処理室のまな板の菌数が「ゼロ」と言うことは有りません

が、昨日10,000/gのレベルが、本日は1,000,000/gであれば洗浄が不十分と言うこと

になります。その変動が、日内変動、日間変動、月間変動、年間変動として捕まえら

れることが必要です。この検査は改善に必要な数字が必要な検査です。例えば年末

のギフト用のハムなどは賞味期間が二ヶ月と非常に長くなっていますから、普通の

検査をしていましたら、結果が出たときには商品の製造は終わってしまいます。例えば

出来た製品をいきなり細菌の増殖スピードが高い15℃、25℃、35℃などの温度帯で

3日間保管してから細菌検査を行うと日々の製造状況の変動を見ることが出来ます。

 

 

衛生レベルのMAPを造ります。

 工場の図面を用意します。その図面に落下菌検査の結果をプロットします。落下菌

検査はなるべくデーターがでるように強制的に空気を集める方法がお勧めです。その

図面で作業場の衛生レベルが設計値通りになっているか確認します。同じように床に

ある水の細菌レベル、作業者の手の衛生レベル、作業者の靴の衛生レベル、作業着

の直接製品に触れる表面の衛生レベルを向上の図面に落とすと、工程改善の時に

非常に役にたちます。

 

●準備する物

1 工場の平面図

2 拭き取り検査の結果

3 落下菌検査の結果

4 最終商品の検査結果

5 とにかく細菌の検査結果

 

●作成方法

 工場の平面図に各検査結果をプロットします。プロットの方法は、文房具屋さんに

行くと、円いシールが色々な大きさ、色々な色で売っています。そのシールを原則を

決めて貼っていきます。

 普通は、問題の無いところは青、菌が出たところは赤いシール、菌数が高いところは

赤いシールの大きい物、この様に一月分貼ってみます。

 

警視庁で作成している犯罪マップの様に作成してみます。

http://www.keishicho.metro.tokyo.jp/toukei/yokushi/yokushi.htm

 

 

このマップを持って打ち合わせを行えば見て非常に良く判ります。討議のポイントは、

「何故悪くなった」と話すのではなく、「この工程は今月は良くなりました。何を改善した

のですか?」と言うような話し方をしていけば、他の部門の人も聞く耳を持ちます。

事実はマップではっきりしているのですから、何で悪いんだと攻めるより、どうして良く

なったのと話して、もっとこうしたらいいのにと議論できるようになると、品質管理の

レベルはグーーんと良くなると思います。

 

現場が縮こまっていては、いい仕事はできません。

良くなった所をほめるところから始まるのです。 

 

 

私のお話が皆さんの工場管理を、耕し続けるヒントになれば幸いです。

河岸宏和(かわぎしひろかず)