==================================食品工場の工場長の仕事とは==

■■  細菌数で問題が出たとき確認する事 2
■■■                  2013年8月17日発行 
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おはようございます。河岸です。
 「細菌が出たとき」のお話は同じ話を何度もお伝えしています。
 みなさん新鮮な目で読んでみてください。特にいまの時期は大切だと
思っています。
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 細菌数で問題が出たとき確認する事 2
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焼成時間の設定

 商品の焼成時間は、本来は商品の味、食べたときの特徴で設定
を行います。細菌的には、温度は高ければ高いほど、長ければ長
いほど、材料に含まれていた菌は死滅する事になります。焼成後
の中心温度の測定を行って一定温度以上あれば、加熱が終了して
いると設定している工場が多いのですが、菌はある一定以上の加
熱温度×時間の面積がなければ死滅しないのです。
 商品設計時に保存性を担保するための熱量は、最低120℃×25分
なのか、130℃×23分なのかを明確に設定しておく事が必要です。
焼き目の色を変更するために現場で焼成温度時間を変更する場合
がありますが、焼成温度を変更した場合は必ず、保存性の確認を
行う事が必要です。
 カステラは焼成後カットを行います。
 カットする設備がどの程度綺麗であればいいのか、使用続けた
ときにどのような頻度で洗浄殺菌を行い、衛生度をリセットする
必要があるかを事前に設定しておきます。
 中間洗浄殺菌を行うとその時間は、設備が使用できなくなりま
す。設備を複数台準備し、中間洗浄時は設備ごと交換することで、
生産性を落とすことなく、洗浄殺菌を行う事ができます。
 カステラを切った刃をカット後、熱湯を通過させる設備であれ
ば、常に細菌に汚染されていない状況で、カット刃を管理する事
が出来ます。この場合でも、熱湯の交換頻度を決めておくことが
必要になります。

包装工程の管理

 包装されていない裸の製品が通過する包装室の天井は、平坦で
なければなりません。
 裸の製品が通過する上に、照明、空調、スピーカー、配管など
が有ってはならないのです。既存で設置されてしまっている場合
は、定期的な清掃を行い、製品にカビなどが落下してこない状態
を造り上げる事が必要です。
 包装室の空調は定期的に清掃を行います。この場合の清掃は、
吸気フイルターだけでなくフィンの間の洗浄、シロッコファンの
洗浄も必要です。空調を設置し、一年以上ファンを洗浄していな
い場合は早急の対応が必要になります。

  空調の洗浄殺菌が確実に行われているかは、落下菌の測定を
行い確認を行います。
  落下菌検査は、空気の流れが包装室の壁にぶつかり、落ちて
くる壁際で行います。
 菌数の判定は、商品の設計時に落下菌がどの程度あっても賞味
期限まで保つかどうかを十分に検討し、設定することが必要です。
私は、包装後二次殺菌の無い商品であれば包装室の落下菌は限り
なくゼロで有るべきだと思っています。
 特にカビなどは開放20分でゼロで管理すべきだと思っています。
 包装機の洗浄殺菌も必要です。横ピロー包装機の様に裸の商品
が直接触れる部分は、作業開始前に完全に洗浄殺菌されているこ
とが必要です。コンピュータースケールのバケットの様に取り外
して、洗浄殺菌出来る設備の場合は問題が無いのですが、横ピロ
ー包装機の様に製品の触れる部分が外せない場合は、どのように
洗浄殺菌を行うかを定めて置かなければならないのです。
 特にコンベアーの両端の回転部分の筒の中は、食品残渣が溜ま
りやすくなるので、毎日洗浄後に乾熱殺菌などで殺菌を行う事が
必要です。
 作業開始前に、コンベアー、包装機を稼働し、拭き取り検査を
行い、洗浄殺菌状況を確認します。ただし、コンベアー等は塩素
殺菌、アルコール殺菌などが行われていると、拭き取り検査時に、
殺菌剤が効いてしまい検査結果に答えが出てこない場合がありま
す。
 拭き取り検査だけで無く、作業開始時、一番始めに包装された
商品の製品検査を行い問題が無いかの検証が必要になります。
 この場合の細菌検査を行うときには、製品の表面の検査を行う
事が大切です。
 一般的に製品検査を行うときは、製品の表面を衛生的に切り取
り製品の内部だけにして細菌検査を行います。
 今回は、包装機の洗浄殺菌に問題が無いかの細菌検査が目的に
なるので、カステラであれば、包装機のコンベアーに触れる部分
を検体として使用する事が必要になります。
 

包装状態の確認

 賞味期限まで商品を保たすために、ガス置換、脱酸素剤、アル
コール製材などを包装資材の中に入れている場合があります。包
装資材にピンホールがあると、外部から菌等が入り込み賞味期限
まで保たなくなってしまいます。
 包装した時点で包装資材のシール部分の強度が設計時どおりで
きているかどうかの確認が必要になります。
 シール強度の点検は、シール部分を一定の幅に切り取り、包装
資材を両方から引っ張り、ある程度の力が無いと剥がれることは
無いかの確認が必要です。
 包装機のシール温度は、設定を行い、記録が必要です。
 シール面の状態は確認を行い、シール状態が悪い場合は、包装
機のシールバーの交換が必要になります。
 シールバーは消耗品であることを忘れてはならないのです。
 ガス置換率についても、製造開始時、フイルム切り替え時など
に、設計時どおりできているかの確認が必要になります。
 ガス置換している場合は、賞味期限まで設計時の置換率が保持
されているかの確認を行い、保持できていない場合は、包装資材
の設計を見直すべきです。

 

私のお話が皆さんの工場管理を、耕し続けるヒントになれば幸いです。

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