========================================食品工場長の仕事とは===

    においについて


 読者の方からメールをいただきました。読者の方からのメールがメルマガ

継続の力になります。これからも何でも質問、意見等メールをお願いします。

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 いつも、とても実践的な参考になるお話しを頂きありがとうございます。

「食品工場のしくみ」もすこしずつですが、読ませていただき、参考にさせて頂い

ています。さて、私は食品工場で品質管理の仕事をしていますが、本日、従業員

の女性から質問を受け、答えに窮してしまったので、ご相談させていただきます。

 「製造に従事するにあたって、香水などの化粧品の使用は匂いが移ることがあ

りえるので、控えるように・・・・」 ということを聞いているが、湿布など貼り薬や、

塗り薬など食品に直接触れる可能性が無い箇所に付けているものでも匂いがあ

るものは、禁止すべきものか?

というのが、その質問です。

どのように考えたらよろしいのでしょうか?

お手数をおかけして申し訳ございません。宜しくお願いいたします。

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においはクレームの基になります。

 においはその商品特有のにおいで有れば問題は有りませんが、においと商品の

関連が無ければクレームになってしまいます。例えば、スポンジケーキとプリンを

使ったプリンアラモードから鶏の唐揚げのにおいがしたとか、ポテトサラダからバニラ

風味のにおいがしたなどと言うことがあればクレームになってしまいます。スーパー

等で買い物をしても、においのある洗剤などと、食パンなどの食品を同じ買い物袋に

入れてしまうとにおいが移ってクレームになってしまいます。

においの基は色々あります。

 

 工場の中ににおいの基は色々あります。そのにおいの元を十分理解して防が

なければなりません。

1 従業員由来

2 食材由来

3 薬剤由来

4 設備由来

5 環境由来

 では、一つ一つ考えてみたいと思います。

 

1 従業員由来

   今回の読者の方のメールにも有りますが、従業員の方のにおいは色々考えら

  れます。

   香水、シャンプー、洗剤などのにおい、貼り薬など、においは一度付けてしまうと

  だんだん慣れてしまって本人では感じなくなってしまいます。毎日家で同じシャン

  プーを使っていると家ではにおいませんが、その方がケーキを製造すると、シャン

  プーのにおいが製品に移ってしまいます。同じ事が、湿布などの薬にも言えます。

  湿布のにおいは、効果と関係が無いのですが、洗剤のにおいと同じで、においの

  有るほうが効果が高いと思っているのでどうしてもにおいが有るものを購入し、使用

  してしまいます。食品工場、食品関連で働かれる方は、においについて、十分注意

  することが大切であると、教育が必要です。教育の中で、スーパーで買い物をする

  ときに、食パンを洗剤と同じ袋に詰めるといやですよね。と教育すると理解して頂け

  ます。

 

 

2 食材由来

   唐揚げのにおい、ポテトチップのにおいは、その食材が連想できるので、スポンジ

  ケーキから、鶏の唐揚げのにおいがしてはクレームになります。唐揚げからバニラ

  風味がしても問題になってしまいます。調合室(添加物を調合する部屋)の香料の

  管理には注意が必要です。香料を使用する場合には、香料を保管する場所、計量の

  方法、計量して配合までの保管方法に注意が必要です。

   においを吸収しやすいものについては、半製品(包装されていない商品)の保管時に

  においを出している他の商品と同じ冷蔵庫に保管しないことが大切になります。

 

 

3 薬剤由来

  

   工場の中には洗剤を代表とする薬剤があります。洗剤には、効果が有ったと思わせる

  ためににおいが付いている商品が多くあります。例えば小麦粉などを洗剤と同じ場所で

  保管していると、洗剤のにおいが移ってしまう場合などがあります。薬剤などで、においの

  あるものの保管は、別の専用部屋で保管することが必要になります。

 

 

4 設備由来

   設備でにおうものがあります。代表的な例は、ゴム製品です。タイヤを大量に販売して

  いるカーショップに行けば判りますが、ゴム製品は特有のにおいがします。ゴムを使用した

  設備がある工場はゴムのにおいが移ってしまいます。私も、工場の壁にゴムで壁の破損

  防止のガード(防具)を付けた事が有りますが、ゴムのにおいが非常に気になった事が

  あります。同様にペンキ臭、カビ臭などが考えられます。

  

 

5 環境由来

   環境で代表的な例は、排水からにおってくる排水のにおいがあります。浄化槽を設置

  している工場なら、排水設備の稼働が順調で無いときにはあのいやなにおいが発生して

  しまいます。排水設備のにおいが工場に伝わり、そのにおいが製品に付いてしまう場合が

  考えられます。また、油で揚げる設備フライヤーを使用している工場では、排気フードからの

  フライヤーのにおいがあります。フライ製品にフライヤーのにおいが付いていても問題は

  ありませんが、お菓子類にフライドポテトのにおいが付いてしまってはクレームになります。

 

 

五感を駆使して工場内のにおいを探してみませんか

 

 

 

 

私のお話が皆さんの工場管理を、耕し続けるヒントになれば幸いです。

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表紙イメージ 河岸宏和への質問



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