========================================食品工場長の仕事とは===
目標の設定と評価について
工場の評価は最終的には利益です。
一年の計は元旦にありと言われています。工場の計も元旦にあると思います。
但し、正月が一月一日ではなく、二月だったり4月だったりする工場もあると思い
ます。この正月の時期変化は、工場の会計時期の差になってきます。工場運営
を行う上での目標は最後には利益になります。工場全体の売り上げが多くて
利益率が高ければ自然に利益額は大きくなります。毎年毎年売り上げがのびて
利益も上がるそんな時代は終わったといいますが、工場を運営していると増収増益
はやはり目指さなくてはいけません。よく言われるのは、税引き前の利益率を考え
たときに、売り上げの10%の利益とか、昨年は3億の利益だったので、今年は5億
にしなさいとか、よく経営者から言われます。ただ、この利益目標を工場の中で話し
ても部下には、具体的な行動としてなかなか伝わらないものです。毎日、工場の
中で打ち合わせをして、今月は5千万の利益が目標ですと、はなしても部下は具
体的には自分の行動として動かないものです。
具体的に工程毎、個人毎に目標をかみ砕く必要があります。
たとえば工場が火事になったとします。火事を発見した工場長が火事だとさけんで、
その声を聞いた課長が火事だとさけんで、その声を聞いた係長が火事だとさけんで、
従業員が火事だとさけんで、工場中火事だ、火事だ、とさけんでいても、火事は消え
ないことは、みなさんにあえてお話しする必要は無いと思います。ではこの火事の
場合は、どうしたらいいんでしょうか。工場長が火事だといえば、課長は消防署に
電話する、係長は現場の従業員の方々を避難させる。従業員の方は避難すると、
いうようにそれぞれ立場によってすることが有るはずです。
同じように、工場の目標に置いても、それぞれの立場、それぞれの部門で行う
ことは、異なるはずです。それが最終的にまとまって利益に繋がるのです。工場運営
に置いて様々な目標が設定されます。この目標の設定について、よく誤解するのが
誰が設定するかということです。よく間違うのは、工場の責任者の工場長ではなく
各現場に目標値を設定させてしまうのです。自分たちが登る山の場所とその高さを
自分たちで決めてしまっては、決して今までより高い山には登らないと思うのです。
ここで「工場長の仕事とは」のお話を思い出してください。
http://homepage3.nifty.com/ja8mrx/taga5.htm
工場の企業の最終目的はなんだかんだ言っても利益になります。桶にいかに水を
多く蓄えるかそれが大事な点です。各部門の目標を設定して、その目標をクリア
すればボーナスが増える、もしくは目標に達しないとボーナスが無いよ、今まで経験
したひどいところでは、目標に達しない部門は閉鎖で、その担当者は会社に来なくて
いいよなんて会社もありました。部門部門にそれぞれ目標を立てさせそのレベル高さ
まで設定させるとどうなるのか答えははっきりしています。
1 他部門の事、前工程、次工程の事を考えずに、自分の部門の目標をクリアする
事のみを考える。
2 経理上、目標値をクリアできるようにする。仕入れを増やして在庫を持ち
実際の商品の支払いは翌月以降に回して、経理上数字をよくする等等。
3 経理上実際に組織的に数字をごまかす。
4 カイゼンを本当に進める。
日本の企業の陥りやすい間違いは、その成果主義を小さな組織の利益にしてしま
う点にあります。その部門がよければ、ボーナスを増やすと言ってしまった結果、多少
ほかの部門に無理をかけても数字がでてしまえば評価しなくてはいけなくなってしまう。
その結果次の工程では不良品が増えてしまい結果として組織全体、工場全体では
利益が下がってしまう。ドネベックの樽で言えば、たまる水の絶対量が減ってしまう。
そんな結果がよく見受けられます。
たとえば、スライスハムを製造する工程で塩漬肉を丸い包材に充填してハムの形を
作る充填工程があります。そのハムを、加熱して冷却してスライスしてハムになります。
その充填歩留まりでボーナスが評価されるとします。素直に製造すれば、98%が標準
歩留まりとします。その時に切れて落ちている肉を充填すれば99%になって、さらに
塩漬の液を充填すれば100%になります。
その充填歩留まりが上がった結果としてどうなるか。
充填歩留×熱処理歩留×包装歩留の答えの最終製品の歩留まりは、充填工程が
98%の時に一番いいという結果がでたりします。
ハムソーセージの先生である、ドイツのマイスターはこのように全体をみながら、お客様
においしいものを届ける事を一番に考えます。工場管理を間違って各部門に収支責任と
いう名の下で責任者の工場長が手を抜くと結果として、全体の歩留まりが下がって、原価が
上がってしまう結果になります。
2005年年末に発生したマンション耐震強度偽装事件は、マンションに住むお客様の
事を考えずに、骨組みの担当者はそこの所のコストをいかに下げるかだけを考えてしまい
手を付けてはいけなかった所に手を付けてしまった。そんな気がします。食品工場で言えば
いじってはいけない、お客様と約束した配合をいじってしまう。原料の使用限度がすぎた
ものを使ってしまう。そんな事かもしれません。
樽に溜まる水を一番多くするために何をしたらいいのか
昨年よりも今年、今年よりも来年に、樽に溜まる水を多くするためには、どうしたらいいので
しょうか。「ドベネックの樽のおはなし」 http://homepage3.nifty.com/ja8mrx/dobenekku.htm
の中にもありますが、水は胴板の一番低いところから漏れていってしまいます。お客様は
胴板の一番低いところと接していることになります。品質管理部門がガスクロを設備して
当社はガスクロで最終商品を管理していますと、品質管理部門の胴板をいくら自慢しても
その部門では無く、仮に一番低い部門が物流部門とすると、物流部門が、雑に商品を扱って
いる姿を見て全ての工場の製品が雑に扱われていると思ってしまうのです。
クレームをゼロにする一番いい方法はなんですか?
この質問の答えよく考えてください。クレームをゼロにしたら、品質管理の責任者、そして
その部門はボーナスを昨年の二倍出すと言ったとします。その方向に向かって動いた品質
管理の責任者に対して、私はいままで年間1000件もあったクレームをゼロにするのが今年
の目標でした。結果としてゼロになったのだから、賞与は約束どうりもらいますよ。本当に
方法を問わずにクレームをゼロにしたら賞与は、二倍になるのでしょうか。
みなさんもクレームがゼロになる方法を考えてみてください。
クレームゼロにする方法が不明な方は是非メールください。
私のお話が皆さんの工場管理を、耕し続けるヒントになれば幸いです。