==================================食品安全教育研究所発行=

■■  マスクの着用について
■■■                  2015年5月17日発行 
□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
おはようございます。河岸です。
 私、河岸宏和の記事が掲載されています。
 → 会社のデスクで食事をするのは超危険だった!
 食品異物混入の原因の大半は消費者自身
 http://biz-journal.jp/2015/05/post_9951.html
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
・食品工場で便利な備品
 http://astore.amazon.co.jp/koujyou-22?_encoding=UTF8&node=16
 青いラップなど便利な備品です。

・食品工場の参考になる本  
   http://astore.amazon.co.jp/koujyou-22/249-0151581-1769102
・中食・外食で参考になる本 
   http://astore.amazon.co.jp/innsyokutenn-22  
====================================================
★☆ ====================
 マスクの着用について
===========================
読者の方から質問を頂きました。どんなことでも受けます
のでよろしくお願いします。

御意見 ご質問は http://form.mag2.com/rouvoviami
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
 河岸様、いつもお世話になっております。
 私は数年前から河岸様のメールマガジンを読み、勉強し
なから、品質管理の業務を行っております。
 今回、弊社で困っていることがあり、ご相談したいと思
い、はじめてメールをした次第です。
 まず、弊社では、山菜の水煮やりんご加工品(シロップ
漬けやシャーベット)を中心に、冷凍食品、味付け商品
(主にレトルト殺菌)、ビンや缶詰めなどいろいろの種類
の商品製造を行っております。
 お恥ずかしい話ですが、今まで「マスク」については弊
社で基準やとりきめがありませんでした。
 明確にするために、1黄色ブドウ球菌の防止対策の為
(鼻までマスクをする)2口内細菌の防止の為、の2点を考
えて、「商品が袋詰め・缶詰めに携わる工場で、シール・
巻き締め工程の前段階の作業をする方は全員マスクを着用
すること」と決めました。
 しかしながら、実施したところ、弊社の工場では温度・
湿度管理などの空調管理が出来ないフロアもあり、外気温
度や湿度の関係でマスクが濡れて顔が荒れる、また眼鏡が
曇る。蒸気を扱う方にとっては作業温度帯が過酷である。
 夏場になれば、30℃以上になる場所もあるのでマスクは
困難。などの理由で、マスクで注意力が欠け逆に作業の危
険が増える。など、指摘や反発が多く、悩んでおります。
 ハードで対応できない部分はソフトでやっていきたいと
思いますが、温度や湿度を測定して検証し、例えば、
「湿度が75%異常だとマスクが濡れるので、外す」
「工場内温度が25度を越えると、外す」などとした方がよ
いのでしょうか?
 そうなると1黄色ブドウ球菌の防止対策の為(鼻までマ
スクをする。)2口内細菌の防止の為 の本来の目的から
ズレてしまうように思われます。
 なにかアドバイスをいただければ幸いです。宜しくお願
い致します。
 河岸様のメールの内容は今の食品業界の求めていること
を的確に捕らえられている点が多いので、定期的な更新を
楽しみにしております。

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
後工程で殺菌工程が無いときにマスク着用が必要

 マスクの着用を推進すると必ずこのような問題にぶつか
ります。正論で話すとつばが飛ぶし、口内を細菌検査すれ
ば必ず菌の測定が出来ます。
 風邪気味の方の鼻前庭(鼻と唇の間)を拭き取り検査す
れば、何人かは黄色ブドウ球菌が検査で出てきます。
 食品を取り扱う方は健康で無ければならないのが一番の
原則になります。
 くしゃみをして、鼻水を垂らしている方は、食品製造の
現場で働いてはならないことになります。
 手に怪我をしている方が、血を流しながら現場で作業し
てはいけません。その時は、必ず怪我に食材に付かないよ
うに必ず手袋をしなくてはいけません。怪我をされている
方が寿司などのトッピング作業をする場合には、手にぴっ
たり密着する手袋と、使い捨ての手袋との二重で作業する
ことがお勧めになります。

 
マスクの必要な工程

 高級な寿司屋さんを思い浮かべてください。カウンター
で寿司を食べるときに板前さんが、マスクをして手袋をし
ているとします。回転寿司屋さんでは、手袋をしている光
景を見ますが、さすがにマスクをしている姿は見かけませ
ん。しかしコンビニエンスのお寿司を製造している工場で
は必ずマスクをしています。一体何が違うのでしょうか。
 答えは、食べるまでの時間が違います。板前さんが握っ
たお寿司は、調理して直ぐ食べますが、コンビニエンスの
工場で製造したお寿司は
 流通工程を経て数時間後にお客さんが口にすることにな
ります。すなわちマスクが本当に必要な工程は、「つば」
などが食材に付いてしまった場合に、後工程で殺菌工程な
どの細菌を殺すハードルが無く、しかも増殖時間が有る場
合は、マスクが必要になります。

 

質問者の工場ではどうしたらいいのでしょうか

 必ずマスクが必要なのは、最終工程で、殺菌工程が無い
場合になります。
 殺菌した後の最終製品を瓶詰めなどの場合は、マスクが
必要になります。
 但し、この場合マスクが必要ない場合もあります
 作業者の意識付けとお客様が、工場見学に来たときに衛
生的な管理をしていると、アピールする場合もマスクをし
ますが、本来は必要が無い場合があります。たとえ細菌が
付いたとしても、細菌が繁殖しない場合は必要有りません。
すなわち梅干し、ジャムなどの商品です。
 pH が低い、Aw(水分活性)が管理されている場合は、
意識付けの目的が無ければ必要がありません。
 では、読者の方の工場ではどう考えればいいのでしょう
か。口内の細菌が後工程で殺菌されている場合は必要ない
と思います。湿度がどうした、温度がどうしたと管理する
ともっともらしくなりますが、数字で管理すると人間関係
が悪くなる場合があります。
 朝は湿度が高かったのですが、品管が測定すると湿度が
低く、「何故マスクをしていないんですか?」などとお互
い立場で話す必要がでてしまうからです。
 マスクが必要な工程は、殺菌が終わって袋詰めをしてそ
の後の二次殺菌の無いまま出荷されていく商品を製造して
いる場合のみになります。
 作業室が空調管理されていなければ、商品が悪くなって
しまうのでマスク議論の前に空調が必要になります。
 いままで、マスクを試したことは無駄ではなく、必要な
所は必ずするという、ことを条件に各工程の責任者と徹底
的に話されることが必要と思います。

 
私のお話が皆さんの工場管理を、耕し続けるヒントになれば幸いです。

ご意見はこちらから

工場長の仕事TOPへ

Twitter http://twitter.com/ja8mrx

facebook  http://www.facebook.com/ja8mrx

河岸宏和(かわぎしひろかず)の本が揃っています。