========================================食品工場長の仕事とは===
食品の事故を防ぐために教育が必要です
食品の事故を防ぐために教育が必要です。
食品の事故は、驚くような事が非常に多く発生します。北朝鮮産のアサリにつ
いてもついに逮捕者が出るところまで来てしまいました。コンプライアンス、法令
遵守と叫ばれていますが、工場内にある全てのデーターは、公表できる物でなけ
ればならないと言うことを再度従業員に徹底する必要が有ると思います。もちろん、
味付け、配合等の特殊技術については公表できない物もありますが、北朝鮮産
のアサリを働いている誰かが、表示を外して居ることを思うと、その働いている方の
人間としての寂しさを覚えます。パロマについても、事故情報を公表しなかった性
で売り上げが半減し、結局働いている方を解雇しなくてはいけなくなっています。
このような事例を「対岸の火事」としてとらえるのでは無く「他山の石」としてとらえ
て行かなくてはいけないと思います。「他山の石」として再教育を早急に実施する
必要があるとおもいませんか?
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楽しみな食事で命を落とすことがあります。
年間約30,000人の患者が発生している食中毒事故です。この数字は、厚生労
働省が纏めている数字ですから、ハインリッヒの法則によるとこの300倍の
約9,000,000人が一年間に食中毒で苦しんで居ることになります。食品工場で
一度食中毒を出すと、その被害は、非常に大きな物になります。10,000以上の
方が関わる事故も何年に一回は発生しています。食品衛生に関する教育は、
生産性を上げること、歩留まりを上げること、安全衛生を良くすることに比較して、
形として見えにくい物ですからつい軽視しがちになります。中国明代の「菜根譚」
(さいこんたん)に「善を為すもその益を見ざるは、草裡の東瓜のごとく」とあります。
善行をしても、その報いが現れないのは、草むらの中の瓜の様な物です。それは
人目には見えなくてもおのずと立派に成長しているものなのです。日本の子供の
時からの教育で、「人に怒られなければ何をしてもいい」という考え方があります。
「あのおじさんが怒るから辞めなさい」「そんな事すると先生に怒られますよ」などと
子供を怒ってしまいます。欧米で教育されている、神、something Greatに見守ら
れて人間は善行を行うという倫理感が日本では非常に少なく感じます。この人間は
善行を行うと言うところ、自分の持っている倫理観の中で毎日の活動を行うことを
再度教育する必要があります。工場の中は、有る意味職人の世界です。本来職人
の中では自分の名前の責任で不良品、まがい物は造らないはずですが、親方に
逆らってはいけないと言うところだけが残って、工場の先輩に言われれば、多少間
違えていると、自分の倫理観で思っても、北朝鮮のアサリを中国産と偽ってしまうの
です。
細菌知識の無いと温泉でも事故が起きます
食中毒だけでなく、温泉でも細菌による事故が起きます。2004年に週刊誌、
ワイドショーで大きく報道されている、温泉の入浴剤を入れている事件は、消費者を
欺いていることでは、食品の表示ミスと繋がりますが、まだ人の命を奪うまでは行って
いません。しかし、2002年に発生しました宮崎県日向市の「日向サンパーク温泉・
お舟出の湯」で起きましたレジオネラ菌集団感染事故は被害者が1,300人を越え死者7名
という非常に大きな事故になりました。この事故の背景には、松田忠徳さんの著書
「ホンモノの温泉は、ここにある」に依りますと、レジオネラの患者が発生しているとの
通報で保健所が温泉を調査すると塩素濃度がゼロであり、営業の自粛を求めたにも関
わらず、その要請を断り営業を続けたことが、被害を大きくしたことになります。また温泉の
支配人を初め温泉で働いている人が、レジオネラ菌に関する知識は全く無かったそうです。
最新の教育が必要です
食品工場では働く方に教育が必要です。一般常識レベルの細菌に関する知識、食品の
製造に関する衛生知識、食品機械のサニテーション知識、食品の取り扱いに関する知識、
等です。教育のレベルに関しては、初めて働く方、管理職の方、それぞれの立場での教育が
必要です。そして忘れがちなことがフォローアップ教育になります。小さなクレームが起きたとき、
世間で新しい食中毒菌が発生したときなど、常に新しい教育を行う必要があります。
教育の目的の一つには、クレームを発生させると、どのような被害があるかということを
教育しなくてはいけません。温泉に体を休めに行ってそこで命を落としてしまった方、そこの
温泉に行くと体が休まると、勧めた家族はどんな思いをしているか、教育しなくてはいけ
ません。再発防止策が一番の目的です。
クレームが発生して、その原因調査の過程で、再発防止策を現場の方と検討していると
よくわかっている方がいます。そこで「なぜ事前に行わなかったのですか」と質問をすると
「生産性をあげれといわれてそちらばかり行っていたのでできませんでした。」という
お話を多く聞きます。最優先されるのは、人の命です。共に工場で働く人の命、お客様の
命が一番最優先されます。もし、食中毒で命を落とした方が、自分の家族と考えたら
いま、あなたが工場で行っている作業は正しいか、再度見直すように、教育することが
大切です。
自分の本来持っている倫理観と、工場内の倫理観が異なると思ったときに、自分の
倫理観を伝える方法が必要な世界になってきました。日本では内部告発者を排除する
傾向があります。しかし、口を閉ざすことが結局自分の職場をなくすことに繋がると再度
工場責任者の口から伝える必要があると思います。
いま、製造しているものを、家族にたべさせられますか?
あなたの工場で使用している原料の産地は正確ですか?
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プレスリリース
平成18年7月28日
農林水産省
農水産物の表示に関する緊急特別調査の実施及び監視指導の徹底について
今般、中川農林水産大臣の指示により、消費者の信頼を確保する観点から、小
売店舗及び中間流通業者等に対する生鮮食品表示実施状況調査において、ア
サリに加え、北朝鮮からの輸入量が多いまつたけ、ウニ、シジミ、ベニズワイガ
ニ、ズワイガニ及びケガニについても下記のとおり緊急の特別調査を行うことに
より、原産地表示等の監視指導を徹底することとします。
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北朝鮮産アサリ、5業者転々「国産」に
北朝鮮産アサリの産地不正表示問題で、農林水産省が九州の2業者に改善を
指示したアサリは、輸入後の流通過程で五つの業者を経由する間に、産地表示
が中国産から無表示、さらに国産へと変わっていったことが、同省の調査や関係
者の話で分かった。
北朝鮮産アサリについては、昨年1年間で約3万2000トンが輸入されながら、
店頭などで「北朝鮮産」がほとんど見られない状況が続いている。同省は、全国
で貝類の流通や小売りにかかわっている19の業界団体に対し、輸入アサリの
産地の適正表示を要請した。
農水省は1月からアサリの産地表示調査を全国で実施。福岡県久留米市の
小売店で「熊本産砂ヌキアサリ」と表示された産地不明のアサリが見つかったこ
とから、同省が流通ルートをさかのぼって調べた。
その結果、問題のアサリは、民間輸入業者「福岡県魚市場」(福岡市)が北朝
鮮から中国の業者を介して輸入、2月までの約1年2か月間に計約8000トンを
仕入れ、うち1000トン余が卸売業者(福岡県)に販売されたことが分かった。
その際、「海州(ヘジュ)」など北朝鮮の地名が産地として表示されていたが、
卸売業者は、鮮度回復や出荷調整を行う蓄養業者(同)に対し、これを「中国産」
として引き渡していたことも判明した。
アサリはその後、蓄養業者から産地表示のない状態で別の卸売業者(同)に
渡り、さらに複数の小売業者に販売された。
このうち久留米市の小売店を経営する「あんくるふじや」(佐賀市)が、一部の
中国産アサリとともに計1280キロを「熊本産」として売っていた。日本農林規格
法(JAS法)に基づく適正な国名表記は、どの過程にも見られなかった。
福岡県魚市場は、読売新聞の取材に「北朝鮮産アサリに関しては、地名を表示
して商談をしている。国名を併記すべきだったが、(北朝鮮産であることを)隠して
はいない」と説明。
同社からアサリを買った卸売業者は、農水省などの調査に「北朝鮮産と思った
が、納入先の蓄養業者に中国産とするよう言われた」と話し、蓄養業者は「中国
産と思った」と説明しているという。
また、蓄養業者から仕入れた卸売業者は取材に対し、「中国産として売った」と
話すが、この業者からアサリを仕入れたあんくるふじやは、「仕入れの時に『中国
産だが、熊本県で養殖したから熊本産でいい』と説明され、信じた」と話し、説明は
食い違っている。
こうした流れに対し、東京・築地市場の卸売業者は「原産国名の表記がない時点
でおかしいと思うべきだ。取引全体がずさんだ」と指摘している。同省は1日、福岡
県魚市場とあんくるふじやに改善を指示した。
北朝鮮産アサリは、輸入後に複数の卸売業者が介在したり、出荷調整などで国内
の干潟にいったん蓄養したりするなど、今回のような流通ルートをたどることが多く、
不正表示がどの段階で行われたかは把握しづらい。
アサリの昨年の全輸入量のうち「福岡県魚市場」が輸入したのは約2割で、今回判
明したルートは一部に過ぎないのが実情だ。
◆アサリの産地表示調査=農水省が全国の約1300の小売店で1月15日から実施。
約1700の商品について、仕入れ伝票と突き合わせるなどして、アサリの産地表示が
適正かどうかを調べた。その結果、アサリの国内消費量の約4割を占めるはずの北朝
鮮産アサリと表示されたものは、2商品しか見つからなかった。
(2005年4月15日 読売新聞)
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パロマ、湯沸かし器販売数半減 中日新聞 より
事故発表1カ月
パロマ工業(名古屋市)製の湯沸かし器による一酸化炭素(CO)中毒事故で、同社
と親会社のパロマ(名古屋市)は14日、一部のパロマ製品の販売台数が大きく落ち
込んでいることを明らかにした。8月初旬の10日間で、小型湯沸かし器は前年に比
べ50%程度の減少。ガスコンロも30−40%の落ち込みで、事故発表から1カ月た
ったが、回復のめどはたたない状態が続いている。一方、海外販売には影響は出て
いないという。
販売の落ち込みが目立つのは家電量販店やホームセンターなど。パロマ広報室は
「消費者の持つブランドイメージが大きく悪化したため」と説明している。需要期の10
−12月に投入予定だった新製品の販売自粛も決めており、秋以降も販売減は避け
られない状況だ。
14日に会見した伊藤栄一広報室長は「今回の事故の影響は、どの程度になるか
分からないが、相当大きな打撃が予想される」と、厳しい見通しを示した。
さらに、事故対策費に200億円以上かかる見込みで、人員削減などのリストラも迫ら
れている。パロマは同日、新たに北海道(北海道登別市)と直方(福岡県直方市)の2
工場でもパート、アルバイトを解雇する方針を示した。
ただ、売上高全体の3分の2を占める海外では「今のところ、売り上げの減少はない」
(広報室)としており、海外向けの中型や大型の湯沸かし器の販売台数は若干伸びて
いるという。
パロマは今後、国内の販売減を最小限に食い止める努力を続ける方針。
広報室は「信頼回復に努めるしかない」としている。
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私のお話が皆さんの工場管理を、耕し続けるヒントになれば幸いです。