==================================食品工場の工場長の仕事とは==

■■  クレームが発生したら
■■■                     2013年6月8日発行 
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おはようございます。河岸です。
 本の紹介です。食べれるものの半分がゴミになっている現実をルポし
ています。
「さらば、食料廃棄 捨てない挑戦」
 By シュテファン・クロイツベルガー, バレンティン・トゥルン
 http://astore.amazon.co.jp/koujyou-22/detail/4393741536
 人間が食べられるものを廃棄している先進国、今日の食べるものもな
く、空腹で無くなっていく国、何故食べられるものを捨てなきゃならな
いのかかんがえてみませんか。

●河岸です。セミナーの紹介、私も講師を務めます。
「食品期限の表示・設定のための加速試験の構築・劣化予測 と設定事例」
平成25年7月22日(月)
於:東京です 
 http://www.gijutu.co.jp/doc/s_307103.htm
講師割引は ↓↓↓
 http://ja8mrx.la.coocan.jp/307103.pdf

●河岸宏和の札幌無料セミナーの案内です。
「食品表示法」をきっかけにお客様からみた表示とは何かを考える
日程2013年6月12日(水)
時間14:45〜16:15
会場 サッポロファクトリーホール
 札幌市中央区北2条東3丁目
 http://www.ussol.co.jp/event/fair2013/index.html


・食品工場の参考になる本  
   http://astore.amazon.co.jp/koujyou-22/249-0151581-1769102
・中食・外食で参考になる本 
   http://astore.amazon.co.jp/innsyokutenn-22
  
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 クレームが発生したら
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何処に問題があるのか

 原料仕入れ先でクレームが発生した時の対応を考えて見ます。
 クレームと行っても、欠品を含め、納品遅れ、細菌数が基準より
高い、賞味期限前に菌数が増えてしまった、カビが発生した、変色、
退色、金属混入、毛髪混入等多くのクレームが考えられます。
 食品企業の基本的な事を考えて見ます。企業は常に30年後存在す
る必要があります。
 常に今日の30年後存在する事が必要なのです。企業が存在する事
を考えるのが、経営者の仕事です。企業は企業が存続するために、
商品を製造し、売り上げを作り、利益を出し続ける事が必要です。
商品を製造する上での土台は、安全性、品質が土台になるのです。
 企業の土台は品質という樽に溜まった水と考えてみます。
 樽の中に充分水が溜まって初めて土台となっているのです。
 売り上げを100億売り上げるには100億の土台が必要です。
 30億分の土台しか無いのに、100億の製造を行うと大きなクレーム
になってしまいます。
 大きな事故を起こした食品工場を見てみると、製造能力以上の受
注をし、能力以上の製造を行った時にトラブルを起こしてしまって
います。
 死者を出してしまった食中毒を起こした白菜漬けの工場も、スー
パーの特売を受けて製造能力以上の製造を行ったのが事故の要因に
なったと思います。
 原材料供給工場の製造上のボトルネックが何処にあるか、生産量
と製造設備との整合性が有るかなどの確認を行うことが必要になり
ます。
 ボトルネックで致命的なトラブルになるのが、原料供給上の問題
です。
 鹿児島黒豚使用、飛騨牛使用と謳った商品で、原料の供給が間に
合わず、「どうせわからないだろう」と普通の豚肉を使用して供給
を間に合わせてしまうと言う判断をしてしまいがちです。
 凍結原料を使用している場合は、原料を凍結庫に保管することで
確保する事が出来ますが、凍結させない状態で使用する、生肉、生
卵などは、特売時に供給が間に合わなくなる可能性があります。
 特別に産地などにこだわった原料を使用した食材を使用するとき
は、製造工場の確認だけでは無く、原材料の供給体制まで確認を行
うことが必要になります。

クレームが発生するときには

 クレームが発生する、製造上の問題が起きると言う事は、土台の
樽に水が溜まっていない状態になっているのです。
 樽に水を溜めるには水を注がないとたまりません。水を樽に注ぐ
行為が、経営者の方針になります。お客様のためのいい商品作り、
従業員の生活、地域の繁栄を常に考えて企業活動を行う方針を立て
るのが経営者の仕事です。
 売り上げ計画を立てるときに、品質の土台に関する方針、計画も
立てる必要があります。
 短期、中期、長期売り上げ計画に基づいた、品質の土台に関する
方針、計画が必要なのです。
 特に数値として管理できるクレームの発生率は、具体的な数値の
設定が必要になります。私の経験では、管理がしっかり出来ている
工場は、1ppm以下の発生率になります。まあまあの管理で1〜1.5
ppm以下、1.5ppm以上のクレームの発生率では、管理が全く行われ
ていない状況になります。
 経営者は、常に樽の中に水が溜まっているかどうかを確認出来る
レポートを品質管理に求める必要があります。
 製品検査、品質管理に関する設備は、その時代の最新の物を備え
る必要があります。
 塩分の高い製品には金属検出器の精度が落ちてしまいます。金属
異物が混入したときに、お客様から「どうしてエックス線探知機を
設置していなかったのですか」と質問されたときに回答が出来るよ
うにしておかなければならないと私は思っています。
 異物混入が続く製造工場は、衛生区分が出来ていない場合があり
ます。
 包装室とダンボール箱の箱詰室が物理的に区分されて居ない場合
はダンボール箱に付いてきた異物が、製品の中に混入する可能性が
あります。
 包装材料についてもダンボール箱に入ったままの状態で包装室に
持ち込むのは厳禁になります。 
 作業場の衛生区分以前に作業着に着替える更衣室が、作業場と別
棟にあり、作業着のまま室外を歩かなくてはならない工場は、クレ
ームに対して全く無関心の工場になります。
 異物混入などのクレームの発生を抑えるためには、従業員一人一
人の意識付けが重要です。従業員に対して過去のクレームの再発防
止策を含めた教育資料を作成し、定期的に教育を行うことが大切で
す。
 過去に発生した、クレームトラブルなどは、従業員、経営層に対
して包み隠さず伝える事が大切です。
 クレームの伝達には、ワイングラスで説明が出来ます。ワインを
つぐワインがクレームと考え、ワイングラスの底板が従業員と考え
ます。ワイングラスの芯棒は詰まっているので、自社でのクレーム
情報、他山の石、社会の変化など従業員に伝えなければならない事
はすべて、ワイングラスからこぼれてしまうのです。
 底板を経営層と考えてもワイングラスの考え方で会社の体質を説
明が出来ます。三菱自動車は、車のリコール対象になるようなクレ
ーム、不良情報を経営層に伝えず、ロッカールーム中に情報を隠し
ていたのです。
 従業員、経営層に対して悪い情報ほど透明性を持って伝える事が
重要なのです。

私のお話が皆さんの工場管理を、耕し続けるヒントになれば幸いです。

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