交渉の難しさ

2005年5月8日発行 


おはようございます。

河岸です。2005年5月7日土曜日から東宝系で「交渉人真下正義」が公開

されています。この映画は、フジテレビの踊る大捜査線の流れで出来ていま

すので、一度は見たいのですが、なかなか映画館まで行くには、時間がとれ

ません。

http://www.odoru-legend.com/ 

 

DVDが貸し出されたら是非みたい映画です。直ぐ見た方が良ければ、是非

皆さんから連絡ください。

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 「交渉人」というと初めに思い浮かべるのが、1998年のサミュエル・L・ジャクソン

主演の映画です。内容は、シカゴ警察の交渉人ローマンが、保険機構の資金

使い込みのぬれぎぬ殺人の罪をかぶせられてしまい、その罪を晴らすために

人質をとって交渉すると、いうストーリーになります。その中で、人間は嘘をつく

ときは、目が動くとか、手が震えるとか、警察がどうやって人の心を見抜くかが

映画の中から読みとることができます。この映画交渉人の中では、交渉相手に

同じ警察の交渉人のセイビアンを指名します。人質を取ってまでの自分の命を

かけての交渉相手は、やはり交渉のプロである、セイビアンしか任せられなかった

のでしょう。

 

「問題解決の交渉学」野沢聡子著、PHP新書の中に非常に交渉に参考に

成ることが書かれています。

 

 交渉は利害などが対立するところから発生します。この利害などが対立することを

「コンフリクト」conflictといいます。具体的には、利害の不一致や意見の食い違い

等によって起きる「対立」「行き違い」「衝突」「紛争」などの事になります。交渉は

このコンフリクトをどちらかの勝ち負けではなく、対立した両者がwin-winの関係で

どちらも勝ったと思わせるような交渉が出来るとベストだと思います。

 コンフリクトというとパソコンの周辺機械を購入したときに、うまく立ち上がらずに

相性が悪い場合などにコンフリクトした。等と使いますが、この相性をうまく解決

しないとパソコンも使うことはできません。

 

 日本では「ロシア式交渉術」と言われる、大きな声を出して、立場的に有利な方が

机などをたたきながら、交渉する場面が多いのですが、圧倒的に有利な立場に

有る方が、例えば、組織の上司、物を購入する側、など誰が見ても有利な立場に

いる方が、強引にコンフリクトを解消しても、弱者の方は気持ちが収まっていません

から、機会をねらっていつかは仕返しをしようと、考えている事に成ってしまいます。

 

 例えば、姉妹でオレンジをほしがっているとします。二人で同じ物をほしがりますから

典型的なコンフリクトになります。姉妹が母親にお互いの悪口を言いながらオレンジを

独り占めにしたいと訴えます。ここで交渉人の腕の見せ所です。姉妹お互いの話を

良く聞くことに寄って、姉は皮でママレードを造ろうとしていて、妹は中身のオレンジを

食べたかったのかもしれません。母親が二人の話を良く聞いて、皮と中身に分ける

ことが出来れば、本当にwin-winの関係を作り上げることが出来ます。

 しかし、問題なのは姉妹二人とも中身を食べたいと考えていた場合です。日本の

場合は、ここで母親が、お姉さんなんだから我慢しなさいと決めてしまいます。

そうすると、「ロシア式交渉術」になってしまい。いつかは妹と母親を悼み漬けて

やろうと虎視眈々とお姉さんは力をためてしまいます。ではどうしたらいいのか、

色々な考え方があります。お母さんが6対4の大きさに切って、今日はお姉ちゃんが

6をとりなさい、でも今度は妹が6をとりなさい、これからもめるたびに交代交代に

しなさいと、話します。そうすることによってとりあえずは解決します。しかし、

当事者は満足していない可能性があります。

 

 では、同じ物をほしがっているときに満足させる解決方法は有るのでしょうか。

解決策を自分たちに考えさせることです。交渉人に頼ることなく姉妹が自分たちで

解決することが一番のお互いの満足感に繋がるはずです。ではどのような解決策が

ベストなんでしょうか。

 

 例えば姉が妹にこのように交渉します。あなたが好きな大きさに切りなさい。

でも、私は好きな方をとりますよ。このように提案して、妹が受け入れたとすると

妹は、丁度半分の大きさに切ろうと真剣に成るはづです。そしてお互い満足して

オレンジを食べることになります。

 

 コンフリクトの解決を図る場合に、電車をホームで待っているときに一番前が

怖くならないように、またいつもが月明かりが無くても夜道が歩けるようにする

ためには納得して前に進む必要があります。コンフリクトが発生した場合に

「ロシア式交渉術」ではなく、必ず交渉相手を納得させることが大切です。

人間は生きてきた文化がそれぞれ違います。三歳の子供でしたら、人格形成の

前の文化を変えることが出来ても、大人に成ってしまっては、ロシア式では

いつかは「覚えてろ」になってしまいます。

 

 では、私たちは日常どのような事に気をつけて行動していけばいいのでしょうか。

特に子育て真っ最中の方には次の事をお勧めします。アメリカでレストランに

入った事の有る方は経験したと思いますが、5、6ドル程度の食事でも色々決める

事があります。サラダのドレッシングをどうするか、付け合わせのポテトをどうするか

ステーキの焼き方をどうするか一つ一つを決めないと食べることは出来ません。

日本の母親ならキット、これにしなさいと決めつけてしまいそうなくらい色々決めないと

食事にありつけないのです。そして、そのドレッシングは何が有ってどんな味をして

いるか聞いていると色々と交渉術が身に付いてくると思うのです。

 

 自分で判断する。そして判断する材料は自分で集めてくる。

 コンフリクトが発生したときはwin-winの関係でいかに解決する事ができるか。

大きな声で、机をたたく時代は終わったと思いませんか。

 

私のお話が皆さんの工場管理を、耕し続けるヒントになれば幸いです。

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