========================================食品工場長の仕事とは===

  計量器の校正の必要性


 読者の方から質問を頂きました。本当にメルマガの原動力になります。どんな

質問でも「生協の白石さん」のようにお答えいたします。

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 これまで、量り売りされているところでは計量器の校正は重要でるとされてい

ました。最近では食品工場の100g×50枚入り(5kg)という冷凍食品まで計量器

の校正を毎日行なうことが必要とされています。社内では1kg秤、3kg秤、10kg

秤、60kg秤と様々なものがあります。基準分銅は購入したのですが、作業者は

この校正の必要性があまり理解できていないようで、また私もうまく作業者に説

明が出来ないため何か説得できるものはないでしょうか?

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校正を行っていない測定器は測定器のではありません。

 一度測定器の校正についてお話ししています。「測定器の校正について」

http://homepage3.nifty.com/ja8mrx/kousei2.htm 身近な測定器は時計です。

家庭でも職場でも時計は数多くあると思います。いま打っているパソコンも常に

時計が手元にでるように設定をしています。私の部屋もざーーと見渡すとデジタ

ルの時刻の表示が10近くみることが出来ます。読者の皆さんは、「そんなに時計

があるわけが無いじゃ無いか」なんて言うかもしれませんが、携帯電話二台、DV

D二台ビデオ1台、パソコン二台、デジタル表示の時計二台、時計が3個これだけ

で12個の時計があります。ざーーとみても一分か2分は時計がずれています。一

番正確な時計は、ビデオの時計になります。ビデオの時計は毎日NHKの時報で

自動制御するように設定しているので一番正確な時計になります。ビデオは録画

をするときに時計がずれていては録画が出来ませんので、時刻を正確に合わせて

おく必要があります。日本の鉄道も正確な時刻で運行されています。もし、5分以

上ずれている時計で生活していると、時刻通りの運行をしている鉄道に乗ることは

出来ないと思います。

 

 

人間の体は非常に精巧に出来ています。

 5分程度ずれても私には関係が無いと言う方もいます。人間の体は非常に精巧に

出来ています。最近のお風呂は自動で温度が制御出来るようになっています。私の

家のお風呂も自動制御出来るお風呂ですが、その温度を試しに2度ずらしてみてくだ

さい。熱いと感じたり、ぬるいと感じたりするはずです。冷蔵庫の温度も同じです。あ

なたの家庭の冷蔵庫の温度を試しに2度下げてみてください。今まで飲んでいた牛乳

が冷たすぎて飲めなくなってしまいます。

 

温度が1度ずれても殺菌が不十分になってしまいます。

 温度が一度ずれた温度計を設定して自動殺菌を行ってしまうと、加熱の絶対量が

たりなくなってしまい、殺菌が不十分になったりします。同じように重量がいつもより

重い物を殺菌すると熱の絶対量がたりなくなってしまい、これも殺菌が出来なくなって

しまって、不良品を製造してしまうことになります。この熱の重要性、重量の重要性が

納得できないのであれば、お金に治してみることも必要です。千円札は千円の価値が

あります。これは絶対的な価値があります。但し今度1000円分の金と換えれることが

出来るとすれば、この金重量は厳密に量ること思います。工場で製造している物は、

工場にとって「金」と同じ物なのです。毎日同じ物を大量にみていると、感覚がずれて

しまいますが、工場の製品をお金に換えているのです。この製品の重さがお金に替わ

っていると思えば、一グラムでも無駄に出来ないと思います。また、お客様も自分お金

と、工場の製品が交換されていると思うと自分の約束した製品の重さが不足すると、

一瞬で信用がなくなってしまいます。そこで、入れ目(少し大目に重量を入れること)を

入れるのですが、この入れ目を年間の金額に直すと非常に大きな金額になってしま

います。

 

 

校正を重要な仕事と位置づけます。

 読者の方の質問への答えです。工場全体で校正を重要な仕事と位置づけます。金

属探知機であればテストピースを流して確認するまで、作業を始めてはいけない規則

をつくりチェック表を作り上げる事。重量の校正なら、計量器を基準分銅で校正するまで

作業を開始してはいけないことと決めることです。工場でありがちなことは、この基準分

銅を大切に扱っていないと言うことがあります。大リーグのイチロー選手は自分のバットを

試合会場から試合会場へ移動するときはバット専用の鞄に乾燥剤を入れて持ち運ぶそう

です。基準分銅も工場にとって非常に大切な物ですから、毎日、乾燥して、錆の出ないと

ころに保管する必要があります。そして基準分銅が正確で有ることも校正が必要です。こ

のように工場を上げて、校正が非常に大切であると伝えることは、基準分銅の取扱、その

校正の証拠となる帳票の取扱で、自然に従業員に伝わって行くと思います。

 

基準分銅は大切に保管されていますか。

 

 

私のお話が皆さんの工場管理を、耕し続けるヒントになれば幸いです。

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表紙イメージ 河岸宏和への質問



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