==================================食品工場の工場長の仕事とは==

■■    公共の手洗いに洗剤が付いているか

■■■                            2009年5月4日発行 

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おはようございます。河岸です。

 夕方のニュースなどは新型インフルエンザの報道一色になってきました。

 どのニュースをみても、インフルエンザ対策の基本は手洗いと伝えていま

す。建前とホンネが違う事の代表的な事柄かもしれません。

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今週のお勧めの本です。

私の書いた本です。

読者の方からの感想です。

『スーパーの裏側 安全でおいしい食品を選ぶために』東洋経済新報社

http://astore.amazon.co.jp/koujyou-22/detail/4492222979

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●「何だか変だなカード」で消費者意識を取り入れよう

 前号で紹介した「スーパーの裏側 安全でおいしい食品を選ぶために」

河岸宏和著を読んでみました。最初に10の事件ファイルとして「昨日のマ

グロを堂々と再利用」「朝どれ偽装」「ネズミ」「ゴキブリ」「小バエ」

「スライスハムの再パック」「巻きなおし」「異物混入」「賞味期限切れ」

について書いています。

 これを読んで映画「スーパーの女」出演: 宮本信子, 津川雅彦 監督:

伊丹十三を思いだしました。同じような話しは映画の材題になる位、よく

あることだったのでしょう。私も保健所にいて、スーパーのバックヤード

を見てきましたが、同じような事例は直接見ないないまでも「ありうる話」

でそんなに驚きませんでした。そのあたりをどういう風に変えていけば良

いのか考えてみましょう。

 私は終戦の前の年昭和19年生まれで戦後の食料難を子供時代に過ごし、ギ

ブミーチョコレートと米軍ジープを追いかけヤミ市を知っていますし、米

軍放出のガムやチョコレートを食べてきました。

食べ物に対するニーズは当然時代によって変わってきています。食料難の

終戦後の食べ物に対するニーズは、なによりも量の確保を優先しました。

次に、食の安全で美味しさ、見た目、価格、ブランドといった質の問題は

最後になっていました。食品業者の信頼関係を含む「食の安心」といった

テーマはほとんど省みられませんでした。

 やがて、日本が復興して経済が好調になり、食料難が過ぎると、食べ物

に対する要求は、高くなり、美味しさ、見た目、価格、ブランドといった

質の問題が重要となりますが、食の安全はあんまり意識されていませんで

した。家庭では、前日の残り物は臭覚、味覚といった5感で判断し再加熱

する等の知恵で自主的に安全を確保していました。自分で守る知恵を持っ

ていたので厳しく「食の安心」まで求めていなかったのかもしれません。

魚屋は前日の売れ残りは焼き魚や味噌漬けに、野菜屋は漬物して売ってい

ました。

 2007年の一連の食品偽装事件以降、表示や産地のごまかしが大きく取り

上げられ、食品営業者と消費者との信頼関係がくずれ、食に対する不安が

広がってきました。「食の安全・安心」と一括して語られますが、安全と

安心は違います。

 食の安全は科学的な概念でその食べ物を食べても病気にならないこと。

つまり食中毒に罹らないことです。食中毒は90%は病原微生物によるもの

で、洗ったり、加熱することで病原菌を排除できますのでかなり食の安全

を確保できます。では、化学物質の食品添加物や農薬はリスクが高いので

しょうか。もちろん現物はリスクが高い物もありますが、逆にリスクを含

むため、日本では、食品安全委員会、厚生労働省、農林水産省、保健所と

規制を厳しくしています。この仕組みで、食品添加物や農薬の安全は十分

に確保されています。しかし、健康食品は安全を守る仕組みが十分であり

ませんので、リスクがある食品群だと思います。

  食品添加物・農薬=イメージ悪 But 健康被害無し

  健康食品=イメージ良But 健康被害有り

 イメージや名前だけで判断すると間違います。

 食の安心は、心理的、感覚的な面が強く、感情に左右され映像や言葉の

イメージにより大きく影響されます。テレビや新聞で繰り返し、悪いイメ

ージで流されるとその食品はとっても危険な食品と思われてしまいます。

しかし、現実には食品の偽装等1連の事件では、作為的に農薬を入れた中

国のギョウザ事件以外健康被害はありませんでした。これは犯罪です。

 そうは言っても、消費者の意識が大きく変化しているのに、安全だから

と言って賞味期限や産地の偽装や、巻き直しや使い回しが許されるはずも

ありません。業界内部の安心に対する意識と消費者の意識が乖離してきて

いますので、消費者の意識を汲み取る努力が必要です。

消費者意識を取り入れるには、一番身近な消費者であるパートさんや納品

業者がお店の商品をどう見ているかを観察することです。自社の商品を購

入していますか。自社商品をどう見ていますか。

ある食品メーカーは「何だか変だなカード」を使って、問題箇所を探して

います。“いつもと違うよ!! 急いで連絡”と書いた用紙に誰でも何か

おかしいと思うことを自由に書いて提出すると、リーダーが問題点を検討

し、対応策を考えていくという方式で、昔ながらの独善的常識を一般的な

常識に変えていくことができますし、パートさんから見た問題点を汲み上

げ改善することで、業務に対する責任ややる気を増進させるきっかけとな

ります。一連の偽装事件の殆どは内部告発で発覚しました。マスコミ等の

外部に出すと内部告発で、同じ事を提案制度で汲み取り、改善につなげて

いけばやる気が生まれ、職場が活性化します。 

「何だか変だなカード」が有効に機能するには、パートさんを含む社員全

員のモチベーションを上げていくことが大事で、食品衛生関係では、整理・

整頓・清掃から始まる食品衛生7S活動が有効です。整理・整頓が良くなる

と見た目と作業性が良くなりますし、整頓・清掃・洗浄・殺菌はルールが

重要でこのルールつくりとルールの改訂に職場単位で全員を参加させるこ

とで、業務を改善する動機になります。「うちの職場ではできない」と思

っているリーダーがいると思います。根気良く続けて社風を変えて行き、

職場の半数が意識が前向きになると職場が綺麗になり良い循環が始まりま

す。綺麗好きが集まりますと、それについて来れない人は自然にいなくな

ります。

 映画「スーパーの女」を研修に使ってみるのもいいですよ。レンタル屋に

あります。    (食品衛生コンサルタント 西村雅宏)

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 公共の手洗いに洗剤が付いているか

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手を洗いたいときに手が洗えるか

 GWで電車に乗って旅をして、食事の時間になりました。食事の前には

手を洗うように私たちは習慣が付いています。幼稚園、小学校では、ご飯を

食べる前には必ず手を洗うように教育されてきました。

 新型インフルエンザを予防するためにも、外出して家に帰って来たときに

は、手洗い洗剤をつけて必ず手を洗うように報道されています。

 ただ、洗剤を付けて洗うのでは無く、洗剤を付けて最低30秒以上こする

ことが大切なのです。手をこするときには、手首まで必ず洗うことが大切な

のです。

 ただ、日本の手洗い場には手洗い洗剤がついていない場合が多いので

す。

 新幹線の洗面所には、手洗い洗剤が付いています。特急電車にも洗剤が

ついています。

 しかし、普通電車のグリーン車両のトイレにも洗剤はついていません。もち

ろん普通電車のトイレには洗剤はついていません。

 車で移動して、サービスエリアに入った時も洗剤が付いていない場合が多

いのです。

 

手を何で拭くか

 洗剤が付いていない洗面所も多いのですが、濡れた手を拭く装置が付い

ていない場合もあります。

 濡れた手を乾燥させるためには、持って歩いているハンカチを使用する、

ペーパータオルを使用する、ジェットタオルを使用する等いろいろな方法が

あります。

 自分専用のハンカチを持って歩くのが基本ですが、インフルエンザの感染

を防ぐためには、ポケットに入れて歩いているハンカチを何度も使用するの

はどうかと思います。

 外から、事務所などに入った時は、手を洗うだけでなく、顔を洗うといいの

ですが、濡れた顔をハンカチで拭いてしまうと一回でハンカチは濡れてしま

います。

 ジェットタオルでは、顔を拭くことはできません。

 出来れば、ペーパータオルがどこの洗面所にも整備されると、いつでも顔

を洗うことができます。

 

 

トイレットペーパーも付いていないトイレがあるって

 さすがに関東の電車では、トイレットペーパーが備えているようになりまし

た。

 しかし、関東を少しでも離れると、トイレットペーパーが付いていないトイレ

があまりにも多いのでびっくりしてしまいます。

 高速料金が休日乗り放題になっています。JRでも週末は安い料金体制に

なってきているようです。

 衛生先進国の日本にしては、手洗い洗剤、お湯が出る、ペーパータオルは

整備してもらいたいとおもいませんか。

 

 

 

私のお話が皆さんの工場管理を、耕し続けるヒントになれば幸いです。

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表紙イメージ

河岸宏和への質問



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「スーパーの裏側」

「食品販売の衛生と危機管理がよ~くわかる本 」

「食品工場の衛生と危機管理がよ〜くわかる本」

『“食の安全”はどこまで信用できるのか 現場から見た品質管理の真実』 

『ビジュアル図解 食品工場の点検と監査 』

『ビジュアル図解 食品工場の品質管理』 

『ビジュアル図解 食品工場のしくみ』

 

河岸宏和(かわぎしひろかず)