金属異物混入を防ぐために


食品工場を運営していて一番心配なのは、食品事故です。食品事故のうち

食中毒を心配するのが一番ですが、そのほかでも金属異物は、歯を欠けてしまっ

たり、子供が食べてしまって、飲み込んでしまい、もっと危ないときは、口の中を

切ってしまったりと、食中毒と同じくらい、大きな事故になるときがあります。

食品工場の中に割れるガラス、鏡が有ってはいけないように、蛍光灯も万が一

割れても、異物混入にならない工夫がいりますね。

では物理的危害の中で一番多い、金属異物混入を防ぐためにどうしたらいいので

しょうか。

考えなければいけないことは、大きく分けますと次の二つになります。

 

1 金属異物を混入させないためにどうするか

2 混入した金属異物を発見する方法

 

では簡単に、お話したいと思います。

 

 

1 金属異物を混入させないためにどうするか

 これができれば、苦労はいらないのです。工場の大きな意識改革が必要です。

 金属異物の入る可能性を全て工場から排除する必要があります。

  ホチキス

  ゼムクリップ

  画鋲 等の異物になるもの。

    とにかく小さくはずれて、金属異物になる可能性のあるものは、工場の

    事務所、現場を含めて取り除く事、その姿勢が大事です。

    現場に対しては、細かく言うのに、事務所が、現場に渡す書類に、ホチキスを

    使用したり、ゼムクリップを使用したりしているのは、工場の姿勢として、問題が 

    あります。また、ホチキスの使用で、気をつけなくてはいけないのは、仕入れ

    業者の伝票等についてくるホチキスです。何故、ホチキスがいけないかは、言う

    までもなく、ホチキスの針がおれて商品に混入したときに、金属探知器では、

    はねない可能性が有るからです。とにかく、金属異物の可能性のある、備品、

    消耗品は使用しないことです。

 設備に使用しているビス類

    製造設備は機械です。当たり前のことですが機械は使用しているとビスが、

    ゆるんできます。そのゆるんだビスが抜け落ちて、商品に入ったりします。

    皆さんの工場の設備をじっくり、見てみてください。ゆるんだビスは有りませんか。

    本来ビスが使用されているところに、ビスが抜け落ちたままになっていませんか。

    ビスが一本抜けていると、ビス、ナット、ワッシャーと異物混入になる可能性の

    ある物は増えるのです。

    

    ビスに注意すると言うことは、工務、設備管理でビスを現場に出庫するときも、

    在庫、受け払いに注意すると言うことです。ビスが設備から抜け落ちても、部品室

    から出庫して設備を直してしまうと、無くなったビスを探さなくなってしまいます。

    部品を出庫するときは、現物交換が基本です。 

 

2 混入した金属異物を 発見する方法

ハードル理論で考えてみましょう。

http://homepage3.nifty.com/ja8mrx/ha-doru35.htm

金属異物が最終商品として、お客様の口にいかに入らないように、チェックするかが

大切です。

大きく3つのチェックが考えられます。

 ●原材料のチェック

 ●半製品状態でのチェック

 ●最終商品でのチェック

 

●原材料のチェック

  私がハムやさんにいたときは、原料肉で金属チェックが大切な項目でした。

  馬肉を使用するときは、銃弾のチェック、豚肉等は注射針のチェックと

  畜産系の肉は金属異物が入っているのが常識でした。

  皆さんが使用している、原材料は金属チェックはされていますか?

  仕入れの基本として、仕入れ先のチェック管理体制がどうなっているか、

  金属探知器は、どのように操作しているか、含めて確認することが大切です。

 

●半製品状態でのチェック

  最終商品になってから、極端な話しでは段ボール詰めされてからは、金属

  探知器を通してもなかなか金属異物のチェックは難しい物です。半製品の

  状態でどのようにチェックするかが大切です。液体の物なら磁石を通すのも 

  いいと思います。パイプラインの中に強力な磁石をつけておくと結構色々な

  ものが磁石に着いています。粒状の物ならパイプラインに金属探知器をつけて

  チェックできます。

  あなたの工場は、半製品での金属チェックはされていますか。

  加熱前にチェックできれば、いろいろな意味でベストです。

 

●最終商品でのチェック

  このチェックのハードルを超えてしまえば、お客様の口に食品は入って

  しまいます。この最終ハードルをいかに高くするかが、工場としての

  姿勢になります。

  簡単な例で言えば、クレームが発生してお客様への説明を考えてみます。

   いままでは、金属探知器を使用していました。その探知器は精度として

    FE 0.6mm、SUS1.5mmの精度が一番いい物でした。

   私の工場は、金属探知器の一番精度がいい物を入れていますので

   今回の異物については、現状の設備での発見は無理です。と。

   上記のように、あなた、工場長がクレーム先で答えたとしましょう。

   納入先の担当者から次の質問が出ました。  

   「いまは、エックス線探知機があって、その探知機ならSUSも0.3mmは

    検出できると聞いていますが」

   「私の工場は、利益が出なくて、投資ができないので金探しかありません」

   「・・・・・・・・・」

 結果は見えています。

最新の設備に常にそろえていては、お金がいくらあっても足りませんが、食品工場の

宿命として、異物検出器だけでも最新の物がほしいです。

その考え方が工場の企業姿勢になると思います。

私のお話が皆さんの工場管理を、耕し続けるヒントになれば幸いです。

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