========================================食品工場長の仕事とは===
従業員の健康管理について
読者の方から質問を受けました。皆さんのメールがメルマガ継続の力になりま
すのでどんどん質問を お願いします。
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はじめてお便りします。
私は中小の食品会社で品質管理を担当しているものです。先般ユーザーより
入室管理が不明確であると指摘を受けて入室チェック表を整備すべく工場に
打診しました。現行の健康状態という入室チェック項目を、指摘もあり下痢、化
膿という具体的な項目への変更という案を提起したわけです。工場のその返
答は、恥ずかしながら下痢でラインを外されては生産が滞りそれを理由で欠勤
される可能性もある等というものでした。
今まであいまいで有名無実であったものが、具体性を持った時に出来ないと
いうパターンです。おそらく確かに日常の少しの下痢でも作業ができないという
と、工場の稼動に支障をきたしますので、具体的なガイドラインを提示するとい
うことになりました。しかし、捜した中ではいずれも抽象的で判断基準になるよ
うなものはありませんでした。素朴な疑問としてどのように一般にこの点は管理
しているかもしアドバイスいただければお願い致します。
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ガイドラインを決めることが大切です。
本質を得ている質問になります。総論では理解しているが、具体論になって
現場にかかって来ると「もっときちんと決めてもらわないと出来ないよ。」と発言
するのはよくある話です。ここで現場と、品質管理の双方の責任者が理解の有
る方ならいいのですが、双方の意見を聞いてお互いで判断してほしいなどと話
す方なら説得材料をそろえなくてはなりません。外部に対して自分の力を使うの
であればそれなりに疲れませんが、内部調整に力を使うと非常に疲れてしまい
ます。工場内作業でも様々な仕事が有るのでその現場毎にガイドラインを作りま
す。例えば、泥の付いた原材料を取り扱うところであれば化膿している怪我を負
った方でも、手袋をしていれば問題ないと言った事です。もちろん手を怪我をした
かたが事務作業をしていても問題は無いと思います。
工場内の仕事を区分してみます
1 包装作業工程
この工程以降に加熱殺菌工程が無く、作業者からの交差汚染が最終製品に
影響がある工程。
2 処理工程
この工程以降に加熱殺菌工程があって、通常の作業者からの交差汚染は
加熱殺菌によって取り除けると考えられる工程。
3 原料処理工程
多少の作業者の汚染は、泥の付いたジャガイモの様に、土壌の中に入って
いると考えられるので作業者からの交差汚染はあまり考えないでいい工程。
4 事務作業
工場の作業に全く触れない工程
それぞれの工程で可能な範囲を考えてみます。
工場の取り扱っている原材料、最終商品によって考えられますが、最終の包装
作業工程以外は有る程度基準を和らげないと本当に働く方がいなくなってしまう
かもしれません。各工場で基準を策定する必要があります。下痢の有無、発熱の
有無、手指のチェックは、入室前に点検を行う必要があります。点検専任の方で
無くても相互点検でいいので行う必要があります。点検結果は記録を残し、最低
最終商品の賞味期間まで保管する必要があります。
1 包装作業工程
手指に怪我、あかぎれがあり、十分な手洗いが出来ない場合
発熱(37度以上)がある下痢をしている場合
2 処理工程
手指に怪我、あかぎれがあり、手袋をすれば作業が出来る場合
発熱(37度以上)がある下痢をしている場合
3 原料処理工程
手指に怪我、あかぎれがあり、手袋をすれば作業が出来る場合
発熱(37度以上)がない下痢をしている場合
4 事務作業
熱のある下痢、膿を伴う怪我でも作業は可能
海外旅行、自宅の状況も押さえておく必要があります。
先日も海外旅行でコレラに罹った方が、日本国内で発見されています。
同じようにSARS、赤痢など海外で罹る伝染病も有りますから、2週間以内に
海外に行かれた方は、渡航先も含めて調査の必要があります。海外旅行に
行かれて、下痢をしている場合は、出勤を停止した方が無難になります。また、
鳥インフルエンザの発生国、口蹄疫の発生国などに行かれて、養鶏業、養豚
業に関する工場の方も十分な注意が必要になります。
働く方の健康状態がそのまま最終商品に影響を及ぼします。
私のお話が皆さんの工場管理を、耕し続けるヒントになれば幸いです。