========================================食品工場長の仕事とは===
開放鶏舎と無窓鶏舎について
鶏インフルエンザに罹った鶏の処分について、開放鶏舎と無窓鶏舎では、
行政の処理の指示に大きな差がありました。開放鶏舎では、即刻処分の指示
がでましたが、大型無窓鶏舎の場合では、鶏の処分の指示がしばらく保留され
結果として鶏インフルエンザの蔓延を広げてしまったような気がします。 鶏舎の
種類を学ぶためには、養鶏業がたどって来た流れをたどるのが一番理解しや
すいと思います。
歴史的には次の様に進んで行きます。年代としては、第二次世界大戦終了
まではまだまだ、庭先養鶏が多かった様に聞いています。現状でも、大手
以外では、庭先養鶏で鶏の体力を付けて、その元気な鶏から、いい卵を産んで
いることを売りにしている養鶏家はたくさんあります。
・庭先養鶏
・ケージ飼育方式
・開放型鶏舎
・ウィンドウレス型鶏舎
では、それぞれを簡単に説明していきたいと思います。
・庭先養鶏
農家の庭先に鶏が生活している風景を思い出してください。その庭先で
鶏を飼育しているのが庭先養鶏です。太陽の光を浴びて元気に育っている
鶏の姿は本当に美味しそうな卵を産みそうです。卵をどこで産むか判らない
ので何時産んだか判らないという話も有りますが、鶏は毎日同じ所で産む
習性があります。小さな箱のような巣を作ってあげれば、そこで産むように
なります。食べているものも、小さな虫から草まで本当の雑食をするように
なります。鶏糞は自然に帰ることになります。
・ケージ飼育方式
庭先養鶏の平飼いは、コクシジュウム原虫の蔓延を広げるという説があり
鶏糞と鶏を隔離するためにケージ飼いが戦後生まれてきました。このケージ
飼いは確かに同じ敷地の中で飼うには非常に多くの鶏を飼うことが出来ます。
ケージ飼いを考えるときに必要なのは、1羽あたりの面積をいくらにするかと
いうことです。鶏は、採卵鶏舎に入るとそこで一生を終わることになります。
すなわち朝起きてから、食事をして死ぬまでの生活をすることになります。庭先
養鶏では、歩き回ったり、止まり木に止まったりしますが、ケージの中では
1羽あたりの面積に寄って活動の範囲が決まってしまいます。理想的な
面積は一坪あたり10羽が限度という説もあります。動物の愛護が進んでいる
EUでは、現在は550cm二乗が必要で今後は750cmでなおかつ止まり木が
必要になるといわれています。現状の日本では、60cm×40cmのケージに
7羽を入れて飼育しているのが通常になります。
そのケージを何段積むかに寄って、坪あたりの効率が変わります。鶏舎は
建築コストを1羽あたりいくらにするかで、建築コストが決まって来ます。同じ
面積であれば屋根の下にたくさんの鶏を飼うことができれば、屋根の値段を
羽数で割ることによって1羽あたりの建築コストが下がることになります。
日本では、ケージを6段、7段、8段と積み重ねて飼育しています。
・開放型鶏舎
開放型鶏舎は窓の外から鶏を見ることが出来る鶏舎で、鶏舎の内外を壁と
窓、あるいはカーテンで仕切った鶏舎になります。この鶏舎は、風が吹き込んだり、
太陽が当たったりと自然条件の影響を強く受けるので、飼養管理が難しくなります。
鶏は、春になると卵を産みますので、常に日照時間を長くしていく必要があります。
また、夏は鶏舎の中の温度が上がってしまうと鶏の食欲が落ちて、小さな卵しか
産まなくなってしまうので、風通しを考える必要があります。この風通しを変化させ
るのは、開放鶏舎の窓に付いているカーテンの操作になります。風通しが非常に
いい鶏舎になりますので、鶏インフルエンザが感染しやすいといわれた、所以です。
・ウィンドウレス型鶏舎
鶏インフルエンザの感染が防げる、衛生管理の進んだ鶏舎と言われています。
しかし、鶏インフルエンザのウイルスの侵入を防ぐような、空気のフイルターが
付いているような感じがしますが、ウインドレス鶏舎はネズミの侵入を防ぐ大きさの
網がついているまでになっています。何故、ウインドレス鶏舎が建てられるように
なったかは、飼養管理が簡単になるからです。カーテン操作に頼っていた、換気
については、鶏舎温度を見ながら、換気扇の回す台数を決めればスイッチ一つで
換気を行うことが出来ます。日照時間の調整も、窓が無いので、電球の点灯時間
を操作するだけで飼養管理をすることが出来ます。無窓鶏舎と聞くと、衛生的に
細菌、ウイルス等が入らないような構造になっていると考えがちですが、鶏舎の
周りの空気を、金網だけを通して、換気扇で換気していますからウイルス等が
侵入するのは非常に簡単になります。
私のお話が皆さんの工場管理を、耕し続けるヒントになれば幸いです。