==================================食品工場の工場長の仕事とは==
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■■ 鶏卵の表示について
■■■ 2010年3月21日発行
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おはようございます。河岸です。
ツイッターをしています。是非一流と二流の違いなどいい例があれば
教えてください。
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「食品期限設定試験における科学的根拠構築/実証手法 」の通信講座を
開講します。
http://www.gijutu.co.jp/doc/t_00504.htm
著者割引もありますので、是非受けて見てください。
http://ja8mrx.la.coocan.jp/syouhi.pdf
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今週のお勧めの本です。
ニワトリ 愛を独り占めにした鳥 (光文社新書) (新書) 遠藤秀紀 (著)
日本でいちばんお世話になっている
日本人が食べる食肉の40%をニワトリが占めています。卵は毎日一
個は食べている事になります。
これだけお世話になっているニワトリについて、起源、ルーツから詳し
く書かれています。
ニワトリの家畜化がどこでいつから始まったのか。
これからの日本の地鶏がどうあるべきか。
少し専門的な内容が多いのですが、食の関係者の方にお勧めです。
http://astore.amazon.co.jp/koujyou-22/detail/4334035493
★4個です。
・食品工場の参考になる本
http://astore.amazon.co.jp/koujyou-22/249-0151581-1769102
・中食・外食で参考になる本
http://astore.amazon.co.jp/innsyokutenn-22
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鶏卵の表示について
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お客様の事を考えているのか
今年の3月27日より卵の表示の自主規制が始まります。業界内の自主
的な規制ルールである「鶏卵の表示に関する公正競争規約」が全面施行
されます。
但し、特定用語の使用については1年後の施行になります。
特定用語とは、「平飼い」「放飼い」「地卵」「有精卵」「特選」「最高級」「天然」
「自然」などの言葉が該当します。
栄養に関する表示も施行になります。栄養に関する表示とは、
「栄養強化卵」、実際に含まれている栄養成分よりも過大な表示、餌が特殊
であるような表示、飼育環境が特別優れているような表示、「病気が治る」な
どの表示がこれにあたります。
今回の公正競争規約の施行は業界内の自主的な規制になります。
しかし、いままで何も規制が無かった鶏卵の表示に関して明確なルールが
できた事は非常にいいことだと思います。
http://www.jftc.go.jp/pressrelease/09.march/090326.pdf
「鶏卵の表示に関する公正競争規約」の認定について
http://ja8mrx.la.coocan.jp/2010maryomiuri.pdf
ショック食 2010 鶏卵業界 自主的に規制 読売新聞3月11日
しかし、今回のルールは本当に消費者の事を考えているのでしょうか。
食品の基本は安全で有ることです。安全である上で美味しく、食品を食
べることで体を作り上げる機能が生まれてくるのだと思います。
日本人は鶏卵を生の状態で食べます。生卵ご飯、すき焼きなどは日本
の食文化の代表的な物だと思います。
鶏卵の安全性を考えるときに、何時、どこで生まれたのかが一番大切な
事だと思います。
「何時どこの農場で生まれたのか」この一番大切な情報を表示する必要
が、法律上、自主規制上記載する必要が無いのです。
鶏卵の表示の重要性を理解しているスーパーでは、農場名と産卵日を
表示しています。しかし、この表示はスーパーの独自の基準になるのです。
販売するスーパーが異なれば、同じヨード卵と言う卵でも、産卵日を記載
して販売しているスーパーと産卵日を記載しないで販売しているスーパー
があるのです。
なぜ、卵には産卵日が必要なのでしょうか。
安全に卵を食べるためには、サルモネラ菌のリスクを回避しなければな
りません。サルモネラ菌は75℃×1分加熱することで死滅します。
しかし、生卵の状態では、サルモネラ菌のリスクがついて回るのです。
サルモネラ菌のリスクを少なくするためには、生まれた直後からの温度
管理が重要になります。
サルモネラ菌が卵の中にいたとしても10℃以下のチルド管理を行う事で
60日間はリスクを回避することができます。
しかし、サルモネラ菌が潜在している卵を36℃の状態で保存すると1日
で食中毒レベルまで菌は増殖してしまいます。
この36℃と言う温度は夏の鶏舎の中の温度に該当します。
夏の鶏舎の中にサルモネラ菌に汚染された卵が集卵されないままに置
かれたら食中毒を起こしてしまうのです。
卵は産まれたら直ぐに集卵し、冷蔵庫で保管することがサルモネラ菌の
リスクを回避する大切な点になります。
日本のスーパーではまだまだ、卵の販売は室温販売されています。
卵の産卵日を表示しているスーパーでは、冷蔵庫の中で温度管理を行っ
て販売しています。
アメリカのスーパーでは、法律上冷蔵販売を行わなければならなくなって
います。アメリカではすべてのスーパーで卵は冷蔵販売されています。
もちろんEU等でも冷蔵販売されています。
生卵文化の日本で、産卵後直ぐ冷蔵し売り場まで温度管理を行う事がな
ぜできないのか疑問に思います。
参考 第3回 卵は偽装の集大成
http://www.nikkeibp.co.jp/article/column/20090430/150115/
動物福祉を考える
安全な卵を食べる基本として、卵を産んでいる鶏の福祉を考える必要が
あります。
日本の鶏舎では60cm×40cmのケージに7羽飼っています。一羽あた
りの面積は342cm平米になります。
EU(欧州連合)では、2003年より従来のケージを使用する養鶏場の新設
は禁止されており、2012年までに、採卵種の鶏を従来のケージで飼うこと
が全面禁止されます(ただし、経費などの面から実現できるかどうか分か
りません)。
EUで推奨されている新しい飼い方は、1羽あたり750平方センチ以上の
大きさが必要となり、止まり木などが必要になります。最低でも、日本の標
準的サイズの倍の大きさが必要になります。
日本でも止まる木のある鶏舎で自由に餌を食べる事ができるような鶏舎
で鶏を飼っている方も出てきています。
参考 第19回 アニマルウェルフェアについて
http://www.nikkeibp.co.jp/article/column/20090831/177700/
業界の自主基準の中で動物の福祉についてもっと考えてもらいたい物
です。
皆さんのご意見 お待ちしています。
http://form.mag2.com/rouvoviami
私のお話が皆さんの工場管理を、耕し続けるヒントになれば幸いです。