==================================食品安全教育研究所発行=
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■■ 食品偽装は何故なくならないのかケーキ編
■■■ 2014年6月15日発行
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おはようございます。河岸です。
缶詰の大きな回収事故が続いています。あなたの工場の製品が、
何故、日持ちするか理論、理屈を理解していますか。
是非、再点検してみてください。
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食品偽装は何故なくならないのかケーキ編
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食品工場は毎年毎年利益を出し続ける必要がある
利益を出し続けるためには、毎年毎年売り上げを伸ばすこと、
すなわち製造量を伸ばす必要があります。
同じ利益を出し続けるためには、同じ売り上げでいいような
気がしますが、働いている方の給料を上げても利益を出し続け
るには、売り上げを増やし続ける必要が有るのです。
「工場の目的は利益です」とお話しすると、利益だけを上げ
ればいいと思ってしまい、手を付けてはいけないところまで手
を付けてしまいます。
手を付けてはいけないところに手を付けてしまう。このこと
が偽装の温床になってしまいます。
製造日に手を付けてしまうこと
街角の小さなケーキ屋さんに行くとたくさんのケーキがショ
ウウインドウに並んでいます。ケーキを作っている厨房を見て
みるとお店のオーナーと見られる職人の方が一人でケーキを焼
いています。
たった一人で毎日これだけの種類のケーキを作るのは事実上
不可能に見えますが、本当はどのように作っているのでしょう
か。
同じような規模の近くにある和菓子屋さんに行くと職人の方
が3人以上いる様に見られます。
和菓子も、洋菓子も分解すれば同じような物ですが、何故、
このケーキ屋さんは少ない人数でたくさんの種類のケーキを作
る事が出来るのでしょうか。
ケーキはスポンジが共通です。スポンジケーキはおもしろい
物で、焼いた当日よりも冷蔵庫で保管して次の日に食べた方が
しっとりしておいしくなります。スポンジのぱさぱさ感が無く
なりおいしく感じるようになるのです。
スポンジ以外の物は、ゼリー、ムースなどの固まる物は、固
まった状態になった時点が食べたときに一番おいしい時になり
ます。
ケーキも食品ですから、完成した時点から、冷蔵庫の中でも
細菌が増えていきます。細菌が増えてケーキが腐るまでの時間
が賞味期限の基本になります。
ケーキを作るときに10個作るのも30個作るのも手間はほ
とんど一緒です。
使用する道具を洗う時間、ムースなどを加熱して冷やす時間
などは、10個作るのも、30個作るのも全く同じになります。
しかし、同じ物ばかり作ってしまうのでは、お店に並んでい
るケーキの種類が少ないので、お客さんには評判が悪くなって
しまいます。
製造効率と、品揃えの両方を満足させる物を考えた人がいま
した。
イチゴのショートケーキであれば、生フルーツのイチゴを載
せる前まで作ったケーキを瞬間的に凍結させる機械を作ったの
でした。
ケーキなどを凍結させるときに、一般的な冷凍庫でゆっくり
凍結させると、ケーキの中にある水分がゆっくり凍結していく
ので、氷結晶が出来てしまいます。
氷結晶は、水の状態の時よりも氷の状態の方が、体積が大き
くなるので、いざ、解凍してケーキとして食べたときに、スポ
ンジのようにすかすかしておいしくなくなってしまいます。
瞬間凍結する設備は、氷結晶が大きくなってしまう問題を解
決したのです。一気に凍結させることで、体積が大きくなるこ
とを防ぐ事が出来ました。
凍結機を使用すれば、毎日毎日ケーキの全種類を作ることな
く、凍結庫の中に瞬間凍結させた商品を凍結させておけば、売
り上げに応じてケーキを解凍すればいいので、欠品による売り
上げも不足も、陳列を多くしたことによる売れ残りの心配も無
くなります。
お客さんから見ても、小さなケーキ屋さんは毎日毎日まじめ
にケーキを作っている物だとおもい売り上げもしばらくは変化
しませんでした。
しばらくすると、近くに新しいケーキ屋さんが出来ました。
新しいケーキ屋んは、ケーキ職人の方が3人いて、いつもガラ
ス越しにケーキを作っている姿を見ることが出来たのです。
お客さんは新しいケーキ屋さんのケーキと食べ比べることで、
いつものケーキの舌触りが違うことに気がついたのです。
だんだんお客の数は減っていきました。昔からのケーキ屋さ
んの店主は、職人を雇って毎日ケーキを作ろうとしましたが、
厨房の中には大きな瞬間凍結機があるので、今更厨房を改造す
ることも出来ません。もう後戻りは出来ないところまで来てし
まったのです。
私のお話が皆さんの工場管理を、耕し続けるヒントになれば幸いです。
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