========================================食品工場長の仕事とは===

■■   火事が発生したとしましょう

■■■                            2007年10月27日発行 

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おはようございます。河岸です。せっかくの週末は関東は雨になってしまいま

した。行楽の秋でどこかに出かけようと考えていた人には残念な雨です。せっ

かくの雨ですから、図書館に行って本でも借りてきますか。

今週のお薦めの本です。

 

失敗は予測できる (光文社新書 313) (新書)  中尾 政之 (著)

700円が本当に生きた本です。

 

 久しぶりに新書を読んで安いと感じました。700円出して30分位で私は読ん

でしまいますが、ここ数年の中で一番中身が良かった新書です。

著者は失敗学を通じて失敗アナリストの会社を立ち上げたいと考えているよう

ですが、食品部門は私が担当したいと思わせるほど良くできている本だと思い

ます。是非一読ください。

失敗から何かを学ばなければならない

 失敗は必ず経験します。昼ごはんを食べに行って美味しくなかった。飲みに

行ってゆっくり話そうと思ったらうるさくてゆっくり話すことが出来なかった。充電

しなくてもパソコンの電池が持つと思って充電器を持って歩かなかったら電池

が切れてしまった。皆さんも様々な失敗を経験していると思います。

 昼ごはんが美味しくなかったというような個人で失敗を繰り返しているうちはい

いのですが、工場が火事で燃えてしまった。等と言った失敗は繰り返すことは

出来ない失敗です。家事で大切な従業員の命を失ってしまった場合などはなお

さら火事を繰り返すことは出来ません。

 私の経験でも、火事の多い会社は本当に色々な工場でボヤ騒ぎや大きな火

事が起きています。中尾政之さんが書かれた「失敗は予想できる」の中で、組

織の失敗の中でコミュニケーションが不足して発生する失敗が多いと分析して

います。

 さらにコミュニケーション不足からくる失敗は大きく5つのシナリオに分析して

います。

 1.「誰かがやると思っていた」他人依存

 2.「自分はその道のプロと過信していた」自信過剰

 3.「現状が分からずに遠隔操作していた」情報遅延

 4.「伝えなければならない人が多かった」齟齬多発

 5.「効率的に仕事したつもりが干渉していた」干渉発生

 コミュニケーションが不足して発生する失敗は、常に顔を突き合わせて作業して

いる組織では起きないのですが、食品工場のように事務所と製造現場、本社機

能などがあればまさしくコミュニケーション不足からの失敗が発生してしまいます。

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死体は悩む―多発する猟奇殺人事件の真実 (角川oneテーマ21 C 137) (新書)

上野 正彦 (著)

 元監察医の上野さんが書かれた本です。上野さんの読者の方は

物足りない内容かもしれませんが、初めての方にはお薦めの本です。

 死体が「自分はこうやって死んだんだよ」と真実を語ってくれています。

必ず事実は死体が語ってくれると伝えてくれます。死体を異物、クレームと

読み替えると必ず食品工場の異物なども真実は解析できるはずです。

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誰が日本の医療を殺すのか―「医療崩壊」の知られざる真実 (新書y 180) (新書)

本田 宏 (著)

 ミスに悩む現場はたくさんあると思います。医者、航空管制官、

等がミスが許されない現場だと思います。36時間連続勤務された方に

自分の体を手術されることを考えて見てください。一日8時間以上

寝ていないかた、体を休めていない方に適切な判断は出来ないような

気がしませんか。

 自分の体の手術は100円ショップではなく、きちんとした専門店で

バーバリーのスーツを買うように、きちんとした病院で手術を受けたく

なる一冊です。

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 火事が発生したとしましょう

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日常の訓練が必要です。

 工場内で火事が発生したとします。顔が見える組織であれば、誰かが119番

に電話したかどうか分かりますし、電話を誰もしていなければ誰かが「119番電

話します」と発言が出ると思います。大きな組織になればなるほど、誰かが電話

をするだろうということで「他人依存」になり誰も電話をしなく場合が出てきます。

沖縄で起きた中華航空の飛行機事故の通報も誰も行わなかったと報道されてい

ます。

 「齟齬多発」もよく見られます。現場でボヤが発生しました。フライヤーから出て

[くる揚げかすを溜めている箇所が過熱して炎がでています。しかし、消火器を撒

いてしまうと、フライヤーに消火器の粉がかかってしまい、当日の作業が中断す

るので、必ず責任者の許可が無いと使ってはいけないと言われていたとします。

目の前で炎が出ているのに、消火器を使うのには事務所に電話をして責任者の

許可が必要なのです。火事の発見者が電話をしているうちに炎は大きくなり天井

に燃え移り、消火器では消化できなくなってしまいます。現場で判断し、積極的に

動くことが必要なのです。

 サッカーのフォワードが監督の許可が無いとシュートを打ってはいけないと教

育されているようなものです。目の前のボールを蹴るのに、監督の顔色を見ていて

はせっかくのシュートチャンスが無くなってしまいます。芝生の上に選手を送り出し

たら、選手を信じて任せるしか無いのです。

 コミュニケーションが普段から悪いと、フライヤーのかすからボヤが出ていても

「どうせ、課長に報告しても」と思ってしまい、火事を未然に防ぐことが非常に難

しくなります。火事になって天井まで燃えてしまい、事務所が燃えてから課長が

気がつくことになります。このような組織は意外と多い物です。誰かがやるだろう、

この仕事は自分の仕事では無い。どうせ自分がいたって変わらないよ。そう思っ

て何も行動しない社員が集まってしまうのです。

 

火事を未然に防ぐためには、現場でのコミュニケーションと普段からの自主性を

持った安全教育が非常に大切になるのです。

 

 

 

 

私のお話が皆さんの工場管理を、耕し続けるヒントになれば幸いです。

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