========================================食品工場長の仕事とは===

■■   化学的危害の防止について

■■■                            2008年1月31日発行 

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おはようございます。河岸です。中国の餃子で食中毒事故が発生してしまいま

した。化学的危害の典型的な事故になります。化学的危害で食中毒が発生

した場合は、被害が大きくなりますので、再度管理を見直す必要があります。

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 化学的危害の防止について

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「食品衛生の基本について」↓↓↓先日お話ししました。

http://homepage3.nifty.com/ja8mrx/hinnsitu6.htm

 

その中で、化学的危害についてお話しします。

化学的危害は、危険な順に次のような物が考えられます。

1 洗剤等の食品で無い物が混入してしまう

2 添加物、特に保存料等が多く混入してしまう

3 機械油、グリス等が混入してしまう

4 ペンキ、ワックス等の臭いが製品についてしまう

5 防虫・防鼠で使用した薬剤が製品に混入してしまう

 

 化学的危害を防ぐには、一般の皆さんの家庭でも同じですが、最近便利な

お茶等のペットボトルに食品以外の物を入れないことが、基本です。ペット

ボトル以外でもビール瓶等に農薬を入れてしまって間違えて飲んでしまう

事故は、毎年新聞に載っています。

 化学薬品については、専用の鍵のかかる場所に保管する必要があります。

基本的には詰め替えは行わないもし詰め替えるときには、元と同じラベルの

貼ってある、専用の小分け容器を使用する必要があります。何でも使用でき

る、小分け容器を使用する場合は必ずラベルを使用して、字が読めない人で

も間違わないようにしておく事が必要です。

 

では、化学的危害で考えられることを危害の大きい順に考えてみます。

 

1 洗剤等の食品で無い物が混入してしまう

  洗剤を間違えて混入するのは、容器を間違えた等の問題が一番多いです。

  洗剤、その他の化学的な物質は専用の置き場所に置いて、決して原材料と

  同じところに保管してはいけません。

 

2 添加物、特に保存料等が多く混入してしまう

  ハムに使用する亜硝酸塩、食品で一般に使用する保存料は、摂取量に

  依っては命に関わる場合があります。その亜硝酸塩、保存料に関する

  添加物については、毎日の受払、使用量について日報を作成し、理論値と

  実際の量が合っているかを確認する必要があります。

  

3 機械油、グリス等が混入してしまう

  食品製造機械に使用する、グリス、機械油については、食べられるものを

  使用する必要があります。万が一グリスが漏れて食品に入ってしまっても

  人の体に危害を加えるような物は使用してはいけないのです。万が一混入

  しても、人の危害にならないか、再度確認が必要です。

 

4 ペンキ、ワックス等の臭いが製品についてしまう

  この事故もよく聞く事故です。臭いだけですので、危害に結びつくことは

  少ないのですが、工場内だけでなく物流中も確認する必要があります。

  「輸送中の化学物質も管理していますか?」

  http://homepage3.nifty.com/ja8mrx/yusoutyuu7.htm

  あなたの工場の製品が食品以外の物と共配していると、化学物質に汚染

  されてしまう可能性があります。

 

5 防虫・防鼠で使用した薬剤が製品に混入してしまう

  

  食品工場内で防虫・防鼠に使用する殺虫剤などを使用することは避けるべ

  きです。ネズミ、ゴキブリなどが生息しないように工場内を管理することが

  大切です。

    排水升などに大量発生してしまい、どうしても薬剤を使用する場合は

  使用した薬剤と、使用量を記録しておくことが必要になります。

 

最後に、万が一の事を考えて、化学薬品の安全性を確認しておく必要があります。

「化学薬品の安全性は確認できていますか」

http://homepage3.nifty.com/ja8mrx/kagaku9.htm

 

朝日新聞の特集

http://www.asahi.com/special/080130/

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「農薬、相当な高濃度」専門家指摘 ギョーザ中毒問題

2008年01月31日04時16分

 中国製冷凍ギョーザによる毒物中毒問題は、今後は農薬の混入経緯の解明

が焦点となる。千葉県警と兵庫県警は輸入元などから事情を聴き、業務上過失

傷害や食品衛生法違反容疑で調べる方針だ。両県警によると開封前に袋が破

られたり、注射針で刺されたりした跡はなかったという。

 厚生労働省の藤崎清道食品安全部長は30日夜、「通常の残留農薬では考え

にくい急性症状が出ている」と述べ、発生件数が限られていることなどから、野菜

などの生産段階で使用された農薬が中毒の原因となった可能性は低いとの見方

を示した。

 東京聖栄大食品学科の真木俊夫准教授(毒物学)によると、食品を通した有機

リン系毒物による健康被害はきわめてまれ。「ギョーザであれば加熱により有害

物質はある程度、分解されたはず。それでも重体者が出たことから、相当高濃度

だったことが考えられる」と指摘する。

 農林水産省農薬対策室によると、農薬の国際的な安全性評価では、メタミドホ

スを一度に摂取した場合に健康に大きな影響を与えないとされる上限は体重1キ

ロ当たり0.01ミリグラム。体重60キロの人間だと0.6ミリグラムとなる。

 真木准教授は混入の経緯について「ギョーザの具や皮の原材料に残留農薬が

あったとしても、ここまでの影響は考えにくい」といい、兵庫県警などの調査でメタ

ミドホスが包装物からも出ていることを挙げ「工場での製造の過程で混入した可能

性が高いのではないか」と話す。

 中国内で日本向け加工肉食品を製造している会社経営者によると、メタミドホス

は工場内に侵入してくる虫を除去するための殺虫剤で使われることがあり、ギョー

ザ工場で過って原料に混入した可能性もあるという。

 

 製造元の天洋食品廠公司の職員は朝日新聞の電話取材に「責任者がいないの

で、詳しいことはわからない」と述べた。

 

私のお話が皆さんの工場管理を、耕し続けるヒントになれば幸いです。

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表紙イメージ 河岸宏和への質問



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