========================================食品工場長の仕事とは===

   製造機械の稼働率について


読者の方からメールを頂きました。皆さんからのメールがメルマガの原動力に

なりますので、質問、ご意見 どんどん お願いします。

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おはようございます。

ある自動機ライン7ラインを3人の作業者で見ております。

各ラインともサイクルタイムは20秒で加工しております。

今現在、私が行っている稼働率と、可動率の計算式を以下に説明致します。

(例)

実績加工数・・・590本

実績加工時間・・・260分

総稼働時間・・・300分

1本当たりサイクル・・・20秒

※総稼働時間は機械の電源をオンからオフの時間

 

稼働率は・・・

実績加工時間/総稼働時間

260/300=0.866・・・・・   約86.7(%)

可動率は・・・

{(実績加工数×1本当たりサイクル)/60}/実績加工時間

{(590×20)/60}/260=0.7564・・・・   約75.6(%)

 

以上が私が現在行っている計算方法ですが、何か指摘、アドバイス等が

あればよろしくお願い申しあげます。

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前に次の質問を受けた事があります。

併せて考えていきたいと思います。

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機械の稼動状況の報告について、質問させてください。

 

基本条件を下記のように設定。

1 一ヶ月の出勤日数が20日。(月間で160時間が営業時間)

2 一日の終業時間が8時から17時まで8時間。

3 機械の標準能力=10000本/時間。

4 一日当り実質稼働時間=6時間。→60000本/日

とした場合。

一例として、このラインが一ヶ月に15日間稼動したとすると、

一日当り、実質稼働時間が6時間。(準備、後始末は除く)

従って、6時間 X 15日 =90時間 機械が実質稼動。

上記に加えて、残業の場合とか、機械の故障、型替え時間、

不良手直し時間、チョコ停、包材供給 等々を

考慮しなければならないと思いますが・・・・・・、

また、ライン総合効率、ライン設備総合効率、稼働率、可動率など、

本にはいろいろかかれていますけど、

こういった場合、どういう風に設備の稼働状況の報告をすればよいのか、

基本的なことのご指導をお願いします。

 

ラインのイメージは、クリーンルーム内で、フィラーにある液体を、

順次、容器に詰め、クリーンルーム外で、30本づつダンボールに入れ、

コンベアーで流し、パレッタイズしていく

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機械稼働率の考え方は、質問の方が言われるように色々な考え方があります。

私は現場の理解度にもよりますが、まずこの数字の目的を考えてみたいと思います。

機械稼働率を上げるとどんないいことが、あるのか。

 

1 同じ時間でたくさん物が造れる。すなわち工場の製造能力が上がる。

2 製造能力が上がるので当然人件費が下がる。一人当たりの製造量が上がる。

 

この二つを目的として数字を上げようと思うところに、稼働率の数字を毎日出す

目的があると思います。

 

●ステップ1 全体の数字を把握する

        この場合であれば8時間×10、000本=80、000本が稼働率

        100%になります。しかし、出来高は6、000本ですから 

        60、000÷80、000=75%が稼働率です。

        ここで初めの読者の方の質問の稼働率と可動率を考えてみます。

        大きな意味では同じなのですが、稼動率は全ての機械稼働を指し

        ています。読者の方の言われる可動率は、20秒のサイクルタイムを

        早くすると上がる数字になっていますので、自動的に動く機械の場合は

        あまり意味の無い数字になります。しかし、チョコ停など人間の関与する

        事が多いようでしたら、ラインに寄って人の動きが異なると思いますので

        意味がある数字になると思います。

 

●ステップ2 目標を決めます

        何時までに稼働率を何パーセントにするのか、リーダー、メンバーはだれか

        報告会は何時行うか、これを決めないといけません。

        理想的には毎週同じ曜日、同じ時間に工場長に対して報告会を行うと

        いいですね、このように仕事をすると、一週間はあっという間に過ぎます。

 

●ステップ3 タイムテーブルを引いてみます。

          現状のタイムテーブルを細かく引いてみます。

          現状の仕事を細かく時間毎に、計って見ます。この時点では口を出さずに

          ただ、紙に落とすことに専念します。現状把握を細かくすることが大切です。

       

●ステップ4 改善案の策定

         ステップ3のタイムテーブルを見て、ここからが智恵の出し所です。あなた

         工場長を含めて智恵を出すところです。切り口としては、次のような点が考えら

         れます。

 

            1 立ち上げから製品が流れるまでの時間を短くする。

               当然機械が暖まるまでの時間を短くする。

            2 チョコ停、不良品を少なくする、直行率を上げるとも言います。

            3 サニテーションを効率よくする 

                        → ここで手を抜くと言うことではありません。

 

●ステップ5 理想のタイムテーブル造り

        改善案に基づいて机上で理想のタイムテーブルを引いてみます。

 

●ステップ6 実践と検証

        理想のタイムテーブルに基づいて実践してみます、このときメンバー全員が

        立ち会うと現場に対して、思いは伝わると思います。

 

●ステップ7 歯止め

        毎日の日報でこうすれば出来るはずだというタイムテーブルを事前に引いて

        それに対して実績のタイムテーブルを引く、そしてうまくいったときうまくいか

        なかった時それぞれ反省して、それを日報に書いていくと、どんどん現場の

        効率は良くなっていきます。

 

 

 但し、この数字だけですとある矛盾が出てきます。この数字ですと3人でいいところを4人かけ

ても数字が上がってしまいますので、人件費、工場の収益を考えると、一人あたりの生産性を

考えないといけません。

 工場の能力を超して注文が多いときは、いいと思いますが、普段は人件費を、考えなくては

いけませんから機械稼働率と一人一時間、何個良品を造ったか、この数字を合わせて管理する

ことを、お勧めします。

 

すなわち

機械能力が一時間10000本

一日の就業時間が8時間

出来た良品が60000本

働いた人が5人で8時間とすると

60000本÷(5人×8時間)=1500本/人時間になります。

この数字は、上がれば上がるほどいい数字になります。

 

一番大切なのは意味のある数字で、

毎日現場の人がやる気の上がる数字がベストになります。

 

 

 

私のお話が皆さんの工場管理を、耕し続けるヒントになれば幸いです。

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