========================================食品工場長の仕事とは===
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カビの制御について■■■ 2007年6月17日発行
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おはようございます。河岸です。関東もつゆに入りましたが、なんかつゆの一
休みになってしまいました。この晴れ間を普段は出来ない事に当てるといいで
すね。普段ふとんが干せない方は是非、この晴れ間を活かしてください。今日
のお薦めの本です。
「吉野家安部修仁逆境の経営学」By 戸田 顕司
「早い、うまい、安い」この言葉は言わずとしれた、牛丼チェーンの吉野家の
キャッチフレーズになります。この良く知られたフレーズをアメリカ牛肉が輸入
できないときに「うまい、やすい、はやい」に変えて、なによりお客さまのことを
考えお店の牛丼に変わる商品を考えたかを紹介しています。資金についても
充分な蓄えがあり、何があっても働いている方の給料が2,3年は払えるくらい
あったそうです。そんな吉野家の経営の考え方が伝わってくる本です。ただし、
日経ビジネスに連載されていたものが基本になっています。
http://astore.amazon.co.jp/koujyou-22/detail/4822201619/249-0151581-1769102
もう一冊です。
「コピー用紙の裏は使うな!―コスト削減の真実」 By 村井 哲之
コスト削減、経費削減は工場の永遠のテーマです。経費削減を進めると工場
の中が暗くなると思ってしまいますが、経費削減を行いその経費を人件費に回
すことで前向きの仕事でかえって工場が明るくなる。そんな経費削減が解説し
てある本です。
「コピー用紙の裏は使うな!―コスト削減の真実」著者;村井 哲之
http://astore.amazon.co.jp/koujyou-22/detail/4022731370/249-0151581-1769102
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カビの制御について
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読者の方から質問を受けました。大人の相談室はどんな相談でも受けますの
で遠慮無くメールをお願いします。質問を公開されることが出来ない場合はそ
の旨を書いていただければ答えだけを送付しますので本当に遠慮無く送付く
ださい。
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昨今、洗剤メーカーからは洗浄殺菌剤というふれ込みで 様々な殺菌効果を
謳った洗剤 が出ているようです。カビに対する殺(真)菌効果についても様々
な議論があるようですが、洗剤の技術者に問い合わせたところ、「カビについ
ては菌株、菌種の幅が広いので洗浄殺菌剤の範疇で全てのカビについて制
御可能な訳ではありません」といったコメントが出てきました。
事実上、これが真実だと私は考えています。科学的根拠に基ついて考えて
も技術者のコメントは「的を得たコメント」だと考えます。実際に製品サンプルに
生えるカビは色々なカビがありますし、かといって製造場に生えるカビは黒い
カビ(ココではあえて科学的なカビの名称については触れません)又は、白っぽ
いカビが大半です。
洗浄の基本は洗剤をつけて「こする」です。こすらなければ汚れは取れません。
そして「すすぎ洗い」を行います。法令の中では「洗浄殺菌剤は製造ラインに
残ってはダメです。洗浄剤は【危害】の範疇に入ります」となっています。当該
の危害については水酸化Naのような劇物が本来 適用になると認識しており
ます。
でも、本社の品管からは「カビに対する効果を有する洗浄殺菌剤は、コレ、と
コレと、コレです」と洗浄殺菌剤名を指定して「冷却機内の洗浄にはコレを使い
なさい!」といった押し付け技術者然といったコメントで攻めてきます(半ばアキ
レテいるのですが)。
本社の品管の意向はそれで良いのですが、困っているのは現場です。現場は
7洗浄殺菌剤の知識については「洗剤をつけて、こすってすすぎ洗いをするのが
洗浄の基本なんだ」と認識しています。
「こすってからすすぎ洗い」の基本のためにCIP洗浄設備を有する冷却機につい
ても本社では「こすり洗い」を実施している」そうです。「基本」は「基本」です。私も
それで良いと思います。
洗浄殺菌剤の「殺カビ効果」については私も「?」です。私の今までの検証の中
では 圧倒的な殺カビ効果を有する薬剤は次亜塩素酸Naだけです。でもデリケート
な製造機器には この薬剤を嫌うものが少なくありません(アルミや銅などの金属)。
本社の生産技術部のトップからは「出来れば使って欲しくない」といったコメントが
出てきます。
私の教育方法が間違っているのかも知れませんが、基本は基本です。私は基本
は貫くつもりです。
ただカビの制御についてはどう考えれば良いのでしょうか?
他の洗剤メーカーの技術者に私の部下が問い合わせたところ「今年は暖かい、暑
い日が早いうちから多いのでカビに関してはリスクの高い年です。とにかく洗浄、
洗浄で対処するしかありません!」とのコメントが寄せられたとの事です。カビクレ
ームゼロ(過去8年間 カビクレームは無かったのですが)を目指したいと考えてお
ります。
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床、天井、壁を清掃します。
カビは非常に困った存在です。賞味期間の短い商品はカビのクレームが発生
しづらいのですが、賞味期限が長い商品はカビが生えてしまうと商品価値が無く
なりますので非常に困った存在です。カビを防ぐためには当たり前の事ですが
読者の方が言われるように清掃するしかありません。そして次に大切なことは、
清掃するところは、壁、天井、床が有ると言うことです。床は良く洗っている工場
は有りますが、天井、床面は清掃が不十分な工場が見られます。そして次に大
切な点は、空調を入れたままにしておくことです。カビは湿気があると発生します。
また、天井、配管などに水滴が付くとそこからカビが生えてしまいます。昼夜で
温度差が出ないように空調は入れたママにすることが大切になります。 床は毎
日、壁、天井は毎週などといった頻度を決めて清掃をすることが大切です。
空調も清掃します。
設備を清掃する事、すなわち洗浄には2種類の洗浄があります。物理的、化学
的な洗浄方法になります。読者の方はこの物理的洗浄、擦って擦ってはしっかり
行っているようですが、化学的洗浄は実体験としてまだ体験をされていないようで
す。化学的洗浄の代表例は、泡洗浄です。洗剤を溶かして、フォームガンに入れて
泡を作成し、その泡を壁面に吹き付けます。泡洗浄のいいところは、洗剤が付いて
いるところと付いていないところが明確に判るところです。家庭用洗剤で言えばカビ
キラーの様な物で、このカビキラーは壁に泡を吹き付けてその後しばらく放置し、
水で洗剤を洗い流すとカビが落ちます。物理的にゴシゴシ洗うよりも作業者は疲れ
ることなく洗浄をすることが出来ます。この楽に掃除が出来るところが化学的洗浄
のいいところです。カビ対策で大切な点は空調のフィンの中を綺麗に洗浄すること
です。日本の食品工場で空調の室内機のフィンを定期的に洗浄しているところは少
ないのですが、この空調のフィンを適切な方法で洗浄することは非常に大切です。
家庭用の食器洗い機は食器洗い用洗剤と組み合わせることで綺麗になっていま
す。ご飯を洗浄しやすくする酵素が含まれている洗剤を使用することで、お茶碗が
ぴかぴかに仕上がってきます。化学的な洗浄もしっかり試してみることは非常に大
切です。
洗剤の技術も進んでいます。
あなたの工場で使用している洗剤は適切ですか?
私のお話が皆さんの工場管理を、耕し続けるヒントになれば幸いです。