========================================食品工場長の仕事とは===
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事故米について■■■ 2008年9月12日発行
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おはようございます。河岸です。
関東はずいぶん涼しくなってきました。私はまだ半袖を着ていますが、私の
体感ではこのくらいの気候が一番過ごしやすいですね。
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講演の案内です。
『安全』と『環境』への挑戦 ― 市場・消費者視点から見た危機管理
食品産業は『食の安全』で消費者の期待に応えるとともに、『食料自給率向
上』や『CO2削減と環境配慮』など、社会から要請される高いハードルを乗り越
えていかなければなりません。本会議では、これら山積する問題の解決に向け、
第一線で活躍されている講師をお招きし、現状把握のうえ具体的解決策をご
提示します。
会 場 東京ビッグサイト会議棟。
開催日時 2008年11月12日(水) 9:50〜16:50 一日で5000円です。
会 場 東京ビッグサイト会議棟
講師 河岸宏和 15:10〜16:20
「何故、食品偽装は繰り返されるのか?」
・市場からみた食品偽装の本質とは?何故、産地偽装、賞味期限の偽装が
無ならないのか、どうすれば安心、安全な食品を手に入れることが出来るのか。
富士火災海上保険株式会社 リスクマネジメントサービス部 企画グループ
(担当:齋藤・菅沼・茂木)
104-8122 東京都中央区銀座2-12-18
TEL 03-5550-5174 FAX 03-5550-5284
パンフレットと申し込み用紙です。
↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓
http://homepage3.nifty.com/ja8mrx/h4152asa581.htm
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今週のお勧めの本です。
凶悪 ある死刑囚の告発 (単行本) 著 「新潮45」編集部 (著)
実際にあった事実なのですね
死刑囚が新たな殺人を告白しているドキュメンタリーです。新潮45に一部が
報道されてから、一年たった今を書いています。
書かれていることが事実であるのであれば、殺人犯人が、世間に離された
まま生活をしていることになります。
世の中に解らなければ人を殺しても、人の土地を勝手に転売して、大きな
お金を手にしても何の処罰も受けない人がいるのが事実なら、事実を公に
出して、決して闇に葬る事の無いようにしてもらいたい物です。
もし、一人暮らしの人が突然いなくなってしまっても、世間とつながりの無い
人であれば、そのままになってしまい、赤の他人が家と土地を売ってしまうこ
とが本当に有りそうな気になって来る本です。
読んでいて殺伐としてくる本ですが、犯罪は許せないと思う本です。
http://astore.amazon.co.jp/koujyou-22/detail/4103540214/250-9410607-9921013
ビジュアル図解食品工場の点検と監査 (DO BOOKS) (単行本)
河岸 宏和 (著)
食品業界は、とかく海外の権威に頼りがちです。不二家では賞味期限切れ
の原料使用問題などが報道されると直ぐ、AIBの衛生管理手法を導入してい
ます。
しかし、不二家は不祥事が有ったときでもISOを取得していました。雪印の
食中毒事件はHACCP認可工場で発生しています。監査員は何故大きな偽
装を見抜くことは出来なかったのでしょうか。HACCP、ISO、AIBどの手法を
使用して原料の仕入れ先を監査しても、実際は監査するのも、監査されるの
も人間になります。
過去にISOの審査員に昼食にステーキを出して審査の成績を良くしてもらお
うと疑われた事件がありました。人間が人間を監査・点検をするという難しさが
ここで理解できます。
「いい食材からいい製品ができる。悪い食材を使用していい商品を作ること
はできない。」私がよく使う言葉です。「悪い食材でいい商品を作るのが腕だ。」
とうそぶく人もいます。
いい食材からいい製品ができる、いい食材を仕入れるためには自分たちの
目で食材を吟味できなければいけません。高級料亭の主人が毎日築地行って
自分の目で見て食材を毎日買い付けに行くようなものです。
今回のお話は私が三十年近く畜産原料の屠場の管理から、さまざまな食
品工場で経験したことを基本にISO、HACCP、AIBの考え方も入れて仕入れる
食材を監査・点検するポイントを説明します。
事故米をつかまないためにも是非読んでみてください。
http://astore.amazon.co.jp/koujyou-22/detail/4495579916/250-9410607-9921013
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事故米について
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やっては行けないことがいくつかあります。
原材料が上がって来ても、企業は利益を上げる必要があります。企業の最終
目的は利益になります。利益を上げるためにはあらゆるコストダウンを実施しま
す。人件費ももちろんコストダウンしますが、てっとり早いのは、賃金のカットで
す。人件費を10%カット、20%カットすればその分コストダウンすることが出来
ます。
賃金カットを行わないでも、残業を付けない方法があります。毎日2時間以上
残業していても、「2時間を超えないと残業を付けません。」と宣言をすると残業
代がコストダウンすることが出来ます。
しかし、単純に賃金カットしてしまうと、再就職できる優秀な方は転職を考えて
結果として転職してしまいます。
残業を付けないと、労働基準監督署に訴えられると過去に遡って残業を付け
なくてはならなくなります。
人件費をコストダウンするためには、作業の効率化を考え無くてはならないの
です。しかし、作業の効率化を行っても、工全体の仕事量が増えなければ、余
剰人員が出てしまい、結果として従業員を解雇しなくては人件費のコストダウン
は実施出来なくなります。
利益を上げ続け、生産量を増やし続けるような経営を行う事が、従業員の幸
せに繋がります。
原料もいじってはいけない事があります。
餃子を作るときにキャベツを使います。キャベツを畑で収穫するときにキャベツ
の外葉(鬼葉)は数枚付けて出荷します。餃子を作るときはこの、外葉を取り除い
て餃子を製造していたのですが、コストダウンと称して、外葉を使用することとし
ました。外葉を使った時の問題点は、しっかり茹でないと食感が固くなるのと、
農薬が染みこんでいる可能性が有ることです。皆さんはキャベツの外葉を自分
の子供に食べさせますか。
たまごを割って液卵を作るときに、鶏舎ですでに割れてしまっているたまご、
鶏糞がべっちゃりついて洗浄しても落ちそうも無いたまごは、通常液卵に使用
しません。鶏舎の中で割れてしまったたまご、鶏糞が洗浄しても落ちないたま
ごは、サルモネラ菌が付いていて、サルモネラ菌中毒の可能性があるからで
す。しかも、割れている卵は、鶏糞などの異物混入の可能性もあります。
コストダウンと称して、割れている卵は使用してはいけないのです。
2005年に発覚したマンションなどの耐震偽装事件も、やってはいけない事を
やってしまいました。
消費期限を2008年と記載するところを単純に2009年と記載してしまったと
敷島製パン株式会社はイングリッシュマフィンを回収しています。
食品偽装、食品事故では、同じように取り扱われていますが、事故米と期限
表示ミスの問題の本質は全く違います。
期限表示ミスはあくまでも、起こしてはいけない単純ミスです。
しかし、マンションの耐震偽装事件、事故米、割れている卵の利用などは、安
全という家でいう土台を無視して家を建てるようなものです。
家を建てるときに、基礎、土台をしっかり施工しないと、地震が起きたときにあ
っという間に家は倒壊してしまいます。土台の施工に手を抜いてはいけないの
です。
利益を上げるためにやってはいけない事。
企業は利益を求め続けます。利益を出し続けて、企業が存続することは非常
に大切な事です。しかし、やってはいけない事があるのです。
しかし。日本の法律は、「人間は悪いことをしないものだ」という考え方がある
ので、もちろん事故米、耐震偽装のように法律に触れることは行ってはいけない
のですが、法律に書いて無いからやっていいんだと言う考えで行っていることは、
まだまだ多いと思います。
今すぐ、「本来やってはいけない事」をやめると企業が赤字になってしまうので、
やめられないかもしれません。
しかし、いい物を作り続ける事を大切にして、時代は変わった事を認識して、
「本来やってはいけない事」をやめる時になったと思いませんか。
私のお話が皆さんの工場管理を、耕し続けるヒントになれば幸いです。