==================================食品工場の工場長の仕事とは==

■■    JAS法の大きな欠点

■■■                            2011年4月9日発行 

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おはようございます。河岸です。

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 JAS法の大きな欠点

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法律さえ守ればいいのか

 法律さえ守れば安全な商品を食べることが出来るのか。

 決してそんなことはありません。

 実はJAS法などの生鮮品の管理で重要な点が抜け落ちているのです。

 皆さんも次の様な経験をしたことがあると思います。

 「田舎の実家から送ってきた野菜を食べるとなぜか美味しい」

 「高速道路などの道の駅で買ってきた野菜はなぜか美味しい」

 「自分の家で育てた枝豆は不揃いだけどなぜか美味しい」

 「なぜスーパーで買うよりも美味しいのですか」と美味しい理由を尋ねる

と、「農家の方が自分で食べるように美味しく作っているんだから」と答え

る方が多いと思います

 しかし、美味しい理由は実は非常に簡単なことなのです。

 収穫して直ぐに一番美味しい時に食べられるからなのです。

 カボチャ、サツマイモなどは収穫してしばらく置いておいた方が美味しく

食べることが出来る物もあります。

 しかし、枝豆、レタスなどは、収穫した時が一番美味しく、徐々に美味し

さが落ちて行きます。

 即ち収穫してから食べるまでの時間が短いほうが美味しいのです。

 レタスなどは収穫する時間帯によっても美味しさが変わります。

 日の出前に収穫すると一番美味しく食べることが出来ます。

 スーパーにいくと朝どれレタスと表記してあるのが一番美味レタスにな

ります。

 しかし、スーパーによっては収穫したのが朝で、今日の朝では無いと言

うかもしれません。

 枝豆、スナップエンドウなどをスーパーで販売する場合は、袋に包装して

販売されます。農家の方が畑から収穫して市場に出荷され、包装する業

者に運ばれ包装されてから売り場に並びます。

 スーパーの週末の特売用に準備される場合は、火曜日くらいから包装さ

れ準備されているのです。月曜日に農家の方が収穫したスナップエンドウ

が、週末の特売で販売されるのです。それまで温度管理された場所で保

管されますが、収穫されたときのおいしさを維持することはできません。

 何時収穫したか、この美味しさに関する一番大切な点が法律上明確に

しなくてもいいと言っているのです。

 原発事故が起きる前の日に収穫した野菜は、原発のすぐ隣の畑の物で

あっても全く問題は無いのです。

 みなさんがスーパーで買い物をする時に、牛乳を買う時は手を販売ケー

スの奥に入れて一日でも製造日が新しものを買おうとしていませんか。

 コンビニでオニギリを買う時に手を奥に入れて奥のオニギリから買おうと

していませんか。

 牛乳などの加工品の日付にうるさいみなさんは、なぜ、野菜を買う時に

は収穫日に無関心なのですか。

 

魚で考えてみます。

 隣のおじさんが、釣りから帰ってきました。今日釣ってきたからと渡され

た魚は、今日は刺身で食べて、残ったら、明日焼き魚で食べようと思うは

ずです。

 隣のおじさんが、今日釣った新鮮な魚は刺身で食べる。しかし、魚屋さ

んで販売している魚は何時釣った物か明記してないと思います。

 「この魚は何時釣ったの」安全上、必要な情報だと思いませんか魚売

場で確認が必要なことは、目の前の魚がいつ、どこで釣れたのかという

ことです。日本の 法律では、どこで釣れたかを表示する義務があります

が、いつ釣れたかを表示する義務はありません。

 どこで釣ったかは、釣った海域を表示します。太平洋、日本海、瀬戸内

海などと表示してあるかどうか確認します。マグロなどの表示では、「台

湾・太平洋」「三崎・太平洋」などと表示してあります。

 「台湾」と表示してあるのは、釣った船の国籍が台湾ということなのです。

日本国籍の船が太平洋で釣って、三崎漁港に水揚げをすると、「三崎産」

と表示されることになります。

 

鶏肉で考えてみます

 鶏肉は屠殺してすぐに食べても美味しくは無いのです。

 屠殺してから、筋肉の中の蛋白が美味しさに変化するまでに時間が必要

なのです

 朝に処理(と殺)した骨付きの鶏を、骨から外して調理してくれる焼き鳥屋

さんがあります。「鶏肉ってこんなにおいしかったの?」と大きな声で叫びた

くなるくらいおいしい焼き鳥が食べられます。

 昔から鶏肉は“足が早い”と言われています。腐りやすいという意味もあり

ますが、豚肉、牛肉より熟成期間が早く、処理してからすぐに食べたほうがお

いしいという意味もあります。

 「朝締め鶏はおいしい」と言われるように、鶏肉は処理してからの時間が

重要なポイントです。一般的には絞めてから12時間後くらいが一番おいし

いとされています。

 処理後の鶏肉は、筋肉中のATPが分解されて、おいしさの基であるイノシ

ン酸などへ変化していきます。それとともに死後硬直が緩み、肉が軟らかく

なってきます。

 理想は、鶏肉を処理後摂氏0〜1度の冷蔵庫で保管し、ほぼ12時間で熟

成が完了、その後24時間程度まではおいしく食べられます。

 美味しい鶏肉を食べるためには何時屠殺 したかを知る必要があるので

す。

 野菜は収穫日、魚は釣った日、肉は処理日美味しさのための一番大切

な情報がJAS法上は求められていないのです。

 JAS法上求められていない以上販売者、生産者は情報を出さないことに

なります。

 しかし、安全で美味しい食材を得るためには、野菜は収穫日、魚は釣った

日、肉は処理日が必要な情報なのです。

 

私のお話が皆さんの工場管理を、耕し続けるヒントになれば幸いです。

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