========================================食品工場長の仕事とは===

■■    不二家報道について 2007年

■■■                            2007年1月21日発行 

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おはようございます。

河岸です。センター試験の二日目です。受験生の気持ちを考えると、もし、前

の日食べたもので試験当日下痢などが続いてしまったらどんな気持ちになる

でしょうか、その食べたものが、大切な人が買ってきたケーキで食中毒になっ

てしまったとしたら、怒るに怒れないし、謝っても済まないですね。

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不二家報道について 2007年

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期限切れの商品の使用について。

 不二家事件の最中に東京デズニーリゾートでも賞味期限切れのチーズをレス

トランで使用したとの報道がありました。

http://www.olc.co.jp/important/20070119_01.pdf 食材の賞味期限はメーカー

での期限の設定時にそれなりに安全率を考えているので、一日過ぎたからと

言ってそれが直ぐに食中毒に結びつくことは考えられませんが、管理体制のま

ずさを表した事には間違いが無いと思います。ここでレストラン、食品工場を通じ

て賞味期限について考えてみたいと思います。賞味期限、消費期限とも言葉は

定義が有りますが、今回のマスコミの報道も言葉が混じってしまっているので、

今回のお話も言葉は混じって使用します。基本的には製造メーカーが保証した

使用できる期間と考えていいと思います。ここで間違えていけないのは、賞味

期限は開封前と言うことです。家庭用マヨネーズを考えてください。マヨネーズ

には外装フイルムがかけられて、チューブには赤い蓋の下に銀紙が貼ってあって、

その上で賞味期限が記載されています。この外装フイルムは、光線を通さないよう

に考えられていますので、外装フイルムを外した段階で賞味期限は変化してしま

います。次に赤いキャップを外して、チューブの先に着いている銀紙を外します、

ここで中身のマヨネーズは外気に触れますので、賞味期限が変化します。マヨネ

ーズを使用します。使用するときにマヨネーズの先が食材に触れてそのままキャッ

プをしたり、残り少なくなって、チューブの先から空気を入れるために口を付けて

空気を吹き込んだりすると更に保存状態が悪くなり賞味期限が変化します。調理

中を考えてみてください。お好み焼きをやっていると考えて下さい。お好み焼きの

最中にテーブルの上にマヨネーズを置きっぱなしにしておくと温度が上がってしま

います。そのまま放置すると保存条件が悪くなりますので賞味期限は更に短くな

ります。デズニーリゾートのチーズも一度開封した商品が、メーカー設定の賞味期

限までは使用できるとは考えられません。マヨネーズの賞味期限が製造から一年

後が設定されているからと言って、マヨネーズに口で空気を入れた物が、印刷され

ている賞味期限まで使えるとは思えないことで理解ができると思います。

 

 

使用期限を設定する必要があります。

 

 工場、レストラン独自で使用期限を設定する必要があります。賞味期限はあくま

でも開封前の品質を保証する物ですから、開封後の保管状況を考えて開封後何

日は使用してもいいと工場、レストラン独自で使用期限を設定する必要があります。

ここで砂糖、塩などのように賞味期限そのものが無い食材もあります。このような原

料の場合も包装材料から開封した段階で、虫、異物混入などの可能性があるので、

砂糖なども使用期限を設定した方がいいと思います。チョコレートなども期限表示が

無い場合がありますが、昨年残ったバレンタインデーのトッピング用のチョコレートを

今年使用するために一年前の物を使用するのは、どうかと思います。レストランの

方でメルマガを読まれている方の中で一年に一回しか使用しない、材料が一年も

二年も前の物を使用していないか、使用している場合には、たとえ細菌的に問題

が無くても、お客様に説明ができるか考えた方がいいと思います。ワイン、梅干し、

ウイスキーの様に年数がたてば経つほど美味しい物も有りますが、それは、保存

状態が、保存して、美味しさの天使に分け前を与えるように保存しているので美味

しくなるのです。ただ、今年は余ったから来年使用しようと保管しているのでは無

いのです。そこの所の理解が必要になります。プリンの賞味期限も設定の段階より

一日延ばして記載したのが、工場の生産性のためで延ばしているのであれば、お

客様の事を考えていないと言うことになるのでいい訳はできなくなります。ケーキを

保管している、スポンジケーキを冷蔵庫に保管している、その保管することによって

美味しさの天使に分け前を与えることで美味しくなりお客様に喜んでもらうために保

管しているかどうかを考えてみてください。工場の生産性のために何かを犠牲にし

ているのならいい訳はできないと思います。工場の、レストランの使用期限は、本来、

メーカー設定の賞味期限より短く設定されるはずですので、賞味期限切れの食材を

使用してしまう事はあり得ないことになります。

 

 

使用期限切れは作業場に有ってはいけません。

 使用期限切れの食材を注意すると、現場の方は「今、廃棄する予定です。」と答え

ます。使用期限切れの食材は、現場には有ってはいけないのです。そう考えると、

期限切れの食材は、期限の切れる日に使用できなければその日に廃棄しなければ

なりません。そして重要なのは、廃棄日報が必要になります。捨てたと言って廃棄せ

ずに使用することがこの日報で防げます。廃棄日報があれば、入荷量と廃棄量、使用

量で後日検証ができます。もし無ければ証明をすることは難しくなります。前日に廃棄

すれば、再度当日の朝に再確認することによって使用期限切れの食材を使用するミス

は防げると思います。

 

 

 

今の保存状態は美味しくするためですか?

生産効率を考えたためですか?

 

私のお話が皆さんの工場管理を、耕し続けるヒントになれば幸いです。

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