========================================食品工場長の仕事とは===
鶏インフルエンザの広がりについて
寒くなり、世の中の湿度が落ちてくるとインフルエンザのウイルスの活躍する
季節になってきます。朝日新聞によると、茨城県の高病原性鳥インフルエンザ
問題で、県内の養鶏場の従業員らが過去に感染している可能性が高いことが
分かった。厚生労働省によると毒性の弱いH5N2型で、すでに体内にウイルス
がないため二次感染の恐れはないという。同省は従業員ら約400人に対し血
液検査などを実施、分析しており、近く調査結果をまとめる。
http://www.asahi.com/special/051102/TKY200601080156.html
これから、人間のインフルエンザに罹った人が、鶏舎で鶏インフルエンザの
ウイルスに触れると、突然変異する可能性が無くは無いと言われています。
これからの季節は充分注意する必要があると思います。
鶏インフルエンザは、野鳥などによって初めの鶏舎に感染が始まります。
一つの鶏舎の中で感染が始まると、鶏舎の中は密室ですから、その一つの
鶏舎の中はあっという間に広がってしまいます。そして、同じ敷地の中の
他の鶏舎の中にもウイルスは広がってしまいます。
では、近くの鶏舎に感染が広がる経路を考えてみたいと思います。
このたまごの流れ、感染の広がりを知ることで、その範囲から離れた
原料卵を手配しておく必要があると思います。
次のような場合に感染が広がることが考えられます。
1 人による場合
2 野鳥による場合
3 たまごの流れで交差汚染が起きる場合
4 餌の配送車で汚染が広がる場合
5 廃鶏処理で感染が広がる場合
では、具体的に考えてみたいと思います。
1 人による場合
同じ会社で、いろいろな場所に鶏舎を持っている場合は、その全体をみる方の
注意で感染が広がる場合があります。車から、人から、そして鞄などから感染が
広がります。制服、車の置き場所、殺菌がどのように行われているかが注意
点になります。鶏舎で作業した方の作業着のまま通勤すると感染が広がる可能性
があります。
2 野鳥による場合
空を飛ぶ野鳥の行動範囲を制限することはできません。野鳥が鶏舎の中に
簡単に入ってこれるような構造の鶏舎は、感染を待っているような鶏舎になります。
鶏糞のそば、餌のサイロのそばに、野鳥がいる鶏舎は多く見ることが出来ます。
3 たまごの流れで交差汚染が起きる場合
たまごはいろいろな流れをします。鶏舎と洗卵してパックする工場が繋がって居る
工場は別ですが、今回の茨城の鶏舎についても、産まれた卵は別の洗卵工場に
運ばれ他の農場の卵と共に洗われパックされていきます。注意が必要なのは
卵を運ぶためのトレイ、ラック、パレット、かごなどが農場ごとの専用になっているか
どうかになります。その卵を運ぶための道具が、洗われているかも大切な点です。
大手の鶏卵業者では、様々な土地の卵を一カ所に集めて、洗卵しパックしています。
そういう工場では、様々な土地の卵が入荷してきますから、配送車の管理、運ぶための
道具の洗浄を含めて感染が広がらないための交差汚染をどのように防止しているかが
点検のポイントです。
農場では、同じように、液卵を製造している工場に、卵を出荷しています。液卵の
工場も洗卵工場と同じように、いろいろな土地、いろいろな農場から卵が入荷してきます。
その運ばれてきた卵を運ぶ道具の洗浄がどのようにされているかが大切な点です。
特に今回の茨城の出荷停止された卵は、この30℃を超える鶏舎の中に保管されてい
ます。卵は、高温で保管していると、鮮度が急激に落ちてしまいます。
http://homepage3.nifty.com/ja8mrx/tamasyoumi9.htm
今回の卵も、業務用の液卵に使用されると思いますが、使う立場の工場では、産地に
十分注意する必要があります。
4 餌の配送車で汚染が広がる場合
鶏は餌を毎日食べています。その餌は、茨城の場合は、鹿島港の餌コンビナートから
毎日運ばれてきます。餌の配送車は、特定の農場専用車では無く、餌会社の配送車
ですから、いろいろな農場を回ることになります。運転者も同じです。餌の配送車の洗浄、
運転手の着替えがどのように行われているかが大切な点になります。
5 廃鶏処理で感染が広がる場合
二年程度たった鶏は処理場に回り加工用の肉になります。廃鶏を集める業者は、
様々な鶏舎を回りますので、インフルエンザが広がる可能性があります。
茨城で、最大限の注意を行わないと、鶏インフルエンザは感染が日本中に広がってしまいます。
日本の生卵を食べる文化を守るためにも、関係者の最大限の努力を期待します。
私のお話が皆さんの工場管理を、耕し続けるヒントになれば幸いです。