========================================食品工場長の仕事とは===
品質管理とは??
読者の方からメールを頂きました。最近、公私とも忙しく、長いメールはお返事
に時間がかかりますが、必ずメルマガにして回答しますのでどんな内容でもい
いので皆さんからの質問、ご意見をお待ちしています。
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いつもホームページを拝見しております。
早速ですが、今の会社に入社して10年、その内品質管理を6年ほどしています。
しかし、今ひとつ品質管理の日常業務が確立していない状況です。時には本当
に品質管理とは必要なのかと思うこともあります。今の悩みは、製造は一日の
製造量が出来れば評価できますが、品質管理の日常業務では評価されるもの
がないということも原因かもしれません。これについては、会社内部の事情など
様々なものが交錯しているため、メールでは書ききれないものがほとんどです。
その中で、品質管理は何をしなければならないのか。
私は今、下記のようなことが大事なのかと考えていますが、いかがでしょうか?
1.クレーム発生をいかに抑えるか?
2.クレーム発生時の再発防止。
3.作業者からの改善依頼があればそのフォロー
4.作業者に新しい情報の提供(消費者の考え、法律など)
5.得意先からの依頼事項に対する返答
6.外部品質保証室来社時に同行し、工場説明等
品質管理をしながら楽しい職場をと目指していますが、なかなか人の心はつかむ
事が出来ません。
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今回の質問は非常に難しい質問になります。極論で言えば、工場経費の削減
のために、品質管理部門をゼロにしても、細菌検査を全く行わなくても、直ぐには
問題は出てこないのが通常だからです。品質管理部門が無くても素晴らしい商
品を造り続けている、小さな食品工場は実際には存在しています。そういった工
場を見ると、工場長なり経営者が品質管理を自然に行っている場合があります。
ドイツのマイスター制度、日本の職人制度はこの典型と言えるかもしれません。
職人は自分の名前にかけて、自分自身が満足しない商品を市場に出すことは
決して無いのです。それ自身が品質管理と言えるかもしれません。
今までに品質管理について書いてきました。
「品質管理部門とその誤解について」
http://homepage3.nifty.com/ja8mrx/gokai8.htm
「品質管理の仕事について」
http://homepage3.nifty.com/ja8mrx/hinnsitu2.htm
その中で特に下記の部分は今後とも求められてくると思います。
SCMの業界全体の品質管理に変化している部門です。
「お客さまに喜ばれる商品作り」を目指す部門です。お客さまは、規格通りの
商品を届けても喜んでくれなくなってきました。品質管理の仕事も自分工場だけ
でなくSCM(supply chain management)と言って、原料の生産している農場
からお客さままでの全ての工程についての品質管理が要求されるようになりまし
た。農産物であれば農場から、水産物であれば水域の管理から始まって、農薬、
抗生物質などの使用も含めて、最終商品がお客様に渡るまでの流通過程も含
めて、全ての工程を管理することを考える必要があります。一方で最近の品質
管理は、品質管理による経営と行って、TQC、QCサークル型のボトムアップ型
の品質管理から、ISOのトップダウン型の品質管理に変化してきています。品質
管理の仕事についても従来型の品質管理の仕事よりも、方針管理、ISOの事務
局的な仕事に変化してきました。帳票管理、品質マニュアルのアップデート、常
に情報の最新化が必要な部門です。法律についても様々な法律が工場管理に
は関係しており、法律の変更、改訂から施行までの情報を常に最新にしておく
必要があります。品質の良い物を製造するためには、従業員教育が大切にな
ります。新入社員のOJT教育、offJT教育、階層別の教育が品質管理部門の
仕事になります。
全ての事に興味を持つことがまず大切になります。
私のお話が皆さんの工場管理を、耕し続けるヒントになれば幸いです。