========================================食品工場長の仕事とは===

   品質のレベルを上げるために 


読者の方からメールを頂きました。最近は難しい課題が多いのですがその方

が考えようがあって嬉しいですね。是非、皆さんからのメールをお待ちしていま

す。

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毎日、曇り空が続いていますが、私の頭の中も品質管理のことで曇っている今

日です。私は、今の会社へ入る希望として品質管理課を募集している企業を選

びました。入社3年目に製造から品質管理課へ移動が決まり嬉しかったことを覚

えています。しかし、徐々に年数が経つにつれ役職をまかされるようになった頃

から品質管理というものを教えてくれる人(上司)がいないことに気がつきました。

これから日常業務をこなしながら自分で見つけなければならないという焦りもあり

ますし、会社自体も今までにもう少し品質管理に力を入れてくれていればと思う

日々です。しかし、悩んでいても仕方が無いのでお聞きします。品質管理とはど

のように教わればいいのでしょうか?自分で本を読んで勉強しろ!といわれても

仕方ないですがよろしくお願いします。

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最終的には先が見えているかどうかと言うことです。

 品質管理を希望されて就職している方は、非常に希のような気がします。私の

経験でも開発部門の募集をすると非常に多くの優秀な方が集まりますが、品質

管理部門ですとなかなかやる気の有る方が会社に入って来るのが少ない気がし

ました。そういった中で今回の読者の方のやる気は非常に大切だと思います。ま

ず、品質管理の誤解を解いていただきたいと思います。品質管理を強化したいと

思う経営者は、とかく検査を強化します。検査を強化して品質管理が良くなるので

あれば、検査部門を強化すれば良いのですが、食品の場合は最終商品を検査し

てしまうと、破壊検査に繋がりますので出荷する物がなくなってしまいます。液クロ

の設備を購入したり、検査会社の責任者を入れても品質管理の部門は良くならな

いのです。

「品質管理部門とその誤解について」

http://homepage3.nifty.com/ja8mrx/gokai8.htm

 

あなたが毎年毎年会社のレベルを上げたいと思うことです。

 毎年毎年品質レベルを上げて行きたい。何かのチャンスで品質レベルを上げたい。

チャンスは、クレームだったり、新しい得意先との取引の開始だったりします。皆さん

の工場も品質レベルを上げるために苦労されていることと思います。品質管理の基

本は品質管理を行っているあなたが品質レベルを上げたいと思うことです。では、品

質のレベルをあげるとは、具体的にどういう事でしょうか?おけのたとえ話でお話しし

たいと思います。おけとは、昔銭湯で石鹸を、からんからんと音をたてながら歩いた

桶です。その、おけを考えてみてください。昔のおけは、木の板を組み合わせて、たが

で纏めていたのを思い出してください。一枚、一枚の板の高さを同じ高さに、あわさな

ければ、いくら一枚だけ高くしても水はたまりません。一つのおけは8枚の板で出来

ていると考えてください。8枚の板の高さが全てあわなければ、水は、板の高さまで

貯まらないのです。どこかの一枚が節が抜けてしまって、穴があいている木だとする

とその高さで、上から水を注いでも、水は節の有るところの高さ以上は、たまらなくな

ってしまいます。8枚の板が一枚一枚高くなって、節穴がない板にしなければ、全体

の品質は、あがらないのです。また、板の高さが、高くなっても、隣の板との隙間が

あっては、水は漏れてしまいます。一枚一枚の板が密接になっていることが必要で

す。これは営業から始まって製造部門、管理部門、検査部門等の各部門が一体に

ならなければ、水がたまるいいおけはできません。そしてそのおけに更に水をため

るためには、どの部門を強化すればいいかを、データー数字を持って説明し数字を

明確にして、行動をすることが品質管理の基本だと思います。

 

 

ドベネックの要素樽という理論に基づいています。

http://homepage3.nifty.com/ja8mrx/dobenekku.htm

 

その最小養分律とは、作物が健全に生育するためには、作物に必要な各種の養分

が完全に供給されなければならなく、また、作物に共通して必要な成分は、16種類

程度ですが、これらが等しく、欠乏して作物生育を悪くするわけではなくそれらの養分

のうち植物の必要量に対してもっとも供給の少ない養分が、生育を制限します。この

養分を、最小養分と言います。この法則は、養分だけでなく、たとえば水が少なけれ

ば、その少ない水に合わせて植物は育つと言うことです。一番低いレベルに合わせ

て植物は育ちます。工場の品質も同じように、一番低いレベルに合わせて、その低い

所からどんどん水は漏れて行ってしまうのです。 

 

自分で学ぶしか無いのです。

 質問の答えになっていない答えです。私も現状どなたに品質管理を学んでいるとか

と言われると、メルマガの読者の方に学んでいると答えるのが正解な気がします。初

歩的なこと、基本的な事はISO、SQF等を学べば学ぶことが出来ますが、このISO等は

手法であって本質的な事を学ぶことは出来ません。本質的なことは、「どうすればこちら

を振り向いてもらえるか」と言うことです。こちらを振り向いてもらうと言うことは、品質管

理に興味を持ってもらえるかと言うことです。検査部門を強化したり、QCサークルを行

ったりすることではありません。品質管理、おけに水を多くためることに興味をもってもら

うと言うことです。どこの部門の胴板が低く、その胴板の部分を高くしなければ、工場全

体の品質が良くならないことを認識してもらうことです。品質管理を学ぶには人と話すこ

とが大切かもしれません。悩んで悩んでいるときふっとした一言がきっかけで前が見え

ることがあります。悩むことがまず大切です。同じ本を読んでも悩んでいるときに読むと

体の中に入るのと同じだと思います。

 

悩んで悩んで自分で解決するしかありません。

 

私のお話が皆さんの工場管理を、耕し続けるヒントになれば幸いです。

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表紙イメージ 河岸宏和への質問



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