========================================食品工場長の仕事とは===

   ハインリッヒの法則


この法則はアメリカの技師ハインリッヒが、発表した法則で、労働災害の事例の

統計を分析した結果、導き出されたものです。数字の意味は、重大災害を1とす

ると、軽傷の事故が29、そして無傷災害は300になるというもので、これをもとに

「1件の重大災害(死亡・重傷)が発生する背景に、29件の軽傷事故と300件の

ヒヤリ・ハットがある。」

このように言われている法則です。

 

事実六本木ヒルズで3月26日に発生した、回転ドアの事故でも、テレビ報道に

よると、いままで救急車に乗るような事故が起きていたと伝えられています。

きっと大人が挟まれたとか、ちょっとした怪我で済んだとかの事故が数え切れない

くらい発生していたと思います。

 

同じように三菱のトレーラーの事故についても、死亡事故は確かに一件しか報道

されていませんが、タイヤの脱輪事故、検査で見つかった異常はいままでに数多く

発生していたと想像がつきます。初めての事故が死亡事故で有ったのならまだ救い

があります。今回の回転ドアの事故もあり得ない事故ではじめて発生したのなら

しかた有りませんが、いままでに救急車に乗るような事故が発生していたのなら

ビルの管理者の責任が問われても仕方ない事故だと思います。

 

 

では、私たちの工場で考えてみましょう。

同じようにクレームに関してもハインリッヒの法則が考えられます。製品の回収まで

伴うようなクレームの陰には、29件のお客様までお詫びに行かなければ成らない

ようなクレームがあり、その陰には、300件の社内でおかしいなと思う、内部クレームが

あるのです。 

 

私の経験でも日付が、ちょっと違うという商品を3000パック出荷しても、お客様から

実際クレームが上がってくるのは、1件という事がありました。

この300件のちょっとおかしいなという、内部クレーム、不良品を注意深く対処しないで

放っておくと、失敗、クレームは成長して手が付けられなくなってしまいます。

小さな事故の内にきちんと対処して、大きな事故を起こさないようにするのは、例えれば

水をためるダムを考えてみてください、小さな亀裂の内に対処していれば大雨でも

耐えることが出来ますが。日常の点検で小さな亀裂を見逃していて、また気がついて

いても修理費がもったいないと言うことでほっておくと、大雨が降ったときにダムは

崩壊してしまいますね。

タイヤがとれた事故が発生している。三菱の例でも新聞報道によると、技術者の一人が

社内研修会で「ハブ破損は整備不良による摩耗との関係は少なく、三菱は重要部品の

耐久強度評価をおざなりにした」と発言、リポートにまとめていたことが明らかになって

います。

 

デカプリオが出演して話題になった映画タイタニックの中でも人命より船長の名誉を

優先するシーン、部下の氷山があってぶつかりますよという、忠告を無視して

結局海の藻屑になってしまったのを思い出します。

 http://homepage3.nifty.com/ja8mrx/mokuzu7.htm

海の藻屑に企業、工場がなってしまうのはある意味で勝手な行動ですが、私たちの

製造している食品は、最悪の場合人の命を奪ってしまうことが出来るのです。年間

数万人の食中毒になられる方がいて、そのうち何人かは、事実亡くなっているのです。

 

では、私たちはどうしたらいいのでしょうか、どんな小さなトラブル、事故、クレームも

みなさん工場長に発生した事実と、改善した結果を報告するような、癖を付けなくては

いけませんね。そのとき、いやな話しを聞いたとき、報告してきた人を怒鳴っていません

か?怒られるとつい報告したくなくなる物です。

初航海の時に、慣らし運転が必要ですとか、先に氷山がありますとか報告を受けると

つい無視したくなりますね。

 

六本木ヒルズもせっかく東京の新名所になって、空調を保つための回転ドアに不良が

あって、救急車に何人も乗っているなんて、報告は上がっていなかったような気がします。

もし、最悪の事態として、この何人も救急車に乗っていると報告が上がっていて、

誰かが無視していたとすると重大な事故と考えられますね。

 

 

さーーみなさんの工場は風通しがいい工場になっていますか??

 

 

私のお話が皆さんの工場管理を、耕し続けるヒントになれば幸いです。

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