========================================食品工場長の仕事とは===

■■    廃棄日報の確認について

■■■                            2007年2月23日発行 

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おはようございます。

河岸です。不二家の事故は再開までに非常に時間がかかっています。いろい

ろな食品安全の管理手法がありますが、あくまでも手法ですので大事なのは、

決めたことを原理原則通りに行っているかどうかです。「そんな事をいったって

7まじめにやったら儲からないよ。」「昔からこうやっているんだからいまさら出

来ないよ。」なんていう今までの倫理観を大きく変化させるためには、いままで

どおりは工場で仕事が出来ないことを監査、点検する事が必要だと思います。

先日のガイヤの夜明けの中で不二家の件が紹介されていましたが、工場に

品質管理を置くことと、外部の監査機関を入れるという改善策になりそうです。

今日のお話しはここだけ押さえれば最悪の結果をさけることの出来る点検方

法です。一度是自分の工場を試してみてください。 

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廃棄日報の確認について

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点検に時間が無いときは廃棄日報が全てを表します。

 問題が発生して工場に確認に行かなくてはならなくなったとき、時間が無くて

一つしか帳票が確認できないとしたら、私は「廃棄日報」を確認します。廃棄日

報と単独で作成している工場は少ないと思いますが、その場合でもまず、工場

視察の時に廃棄物置き場を確認に行きます。この廃棄物置き場はいろいろな事

を話しかけてくれます。廃棄物置き場に入ったとたんに気がつくのは、廃棄物の

分別方法になります。全てがまとまって廃棄してある所、生もの、プラスティック、

段ボール、廃油など細かく分類してあるところ、クーラーが設置してあるところ、

捕虫機が設置してあるところ、綺麗に清掃してあるところ、汚いところ、外に野積

みになっているところ色々あります。確認するところは、廃棄物収集業者は何時、

どういう頻度でゴミを回収に来ているか確認をします。今日は何時取りに来るか

確認をします。もしゴミの回収がまだでしたら、時間を確認してから日報を確認し

ます。時間が無いようでしたらざーーと廃棄物を確認することになります。

 

本来有るべき廃棄物の日報と内容について

 工場に本来有るべき廃棄物日報は次の廃棄物が確認できる物になります。当

然いろいろな工程がありますので、全てがまとまって一枚になっていることは無い

と思いますので各工程の日報で確認をすることになります。

1 下処理工程

2 調理、加熱工程

3 包装工程

4 返品など

 

 

1 下処理工程

 原料の仕入れはお金が絡みますので、仕入れ台帳などを見れば判ります。下処

理工程から次工程に渡った量も製造日報などで確認ができます。そしてこの廃棄

物を確認します。レタスサラダの鮮度不良が市場で多く発生したトラブルが有った

場合などは、本来廃棄すべき箇所の外葉を商品に使用していたかどうかは毎日の

廃棄日報と、廃棄物置き場の廃棄物、レタスの外葉を本当に廃棄しているかどうかを

確認することによって明確になります。

 

2 調理、加熱工程

 調理ミス、加熱ミスなどをしたら、どのような日報を使用しているか確認をします。そ

して過去数ヶ月間の帳票の確認を行います。「私の工場では失敗などありえません。」

と言う工場であっても、新商品などの試作が有るはずですから、その場合はどのような

処理をしているかを確認します。新商品で配合が違うきんぴらゴボウを、現状のきんぴ

らゴボウとして出荷していて、味のクレームが起きていたかもしれません。

 

3 包装工程

 材料の日報と包装材料の日報の双方を確認します。調理された物を全て包装して出

荷出来るわけではありませんから、必ず原料としての廃棄物が出るはずです。プリンの

半製品加熱済みの商品を蓋をして日付を貼る工程であれば、出荷数が1000pk必要で

あれば、1000pk以上プリンを製造して加熱調理してあるはずです。そして包装工程で、

不良品を見つけて、不良品の数と正常品だけど余った物の二種類があり、その正常品

の使用限度を決めて使用限度を過ぎた物は廃棄に回るはずです。その数を確認します。

包装工程でこの造りすぎの廃棄が確認できない場合は毎日の製造数と包装出荷した

数の一覧表を確認して包装に使用している製品が規定に整合しているかを理論的に

確認をします。

 

4 返品などの完成品の処理

 工場に返品が帰ってきました。髪の毛混入などのクレーム以外でも、配送ミスなどの

返品が帰って来ると思います。受注生産ではなく、見込み生産の場合は造りすぎの製品

もあります。工場で最終工程まで行ったものの出荷出来なかったもの、出荷を行ったが

返品があったものの処理がどうなっているか確認をします。返品などは経理場の処理が

あるので、返品があったかどうかを経理上の伝票で確認をします。経理上で確認をして、

現物が最終どのように処分されているかを確認をします。廃棄物置き場には正常品の廃

棄物が確認できるはずです。工場に戻って来た製品を原料として使用している場合も有

りますが、その場合は開発段階からの製品の確認が出来ているかどうかを確認します。

製造現場の判断で行っているのか、工場全体の判断で行っているのかが大切な点にな

ります。

 

○廃棄物置き場で確認する事

 廃棄物置き場で段ボール等を確認します。仕入れた加工品、添加物等は段ボールで

入荷してきますから、加工日、賞味期限が記載されています。段ボールを全て確認する

ことで使用限度、賞味期限を過ぎた原料を使用しているかどうか確認をすることができ

ます。

 

 

現場が両目を開けて作業するように監査が必要です。

 

 

 

 

私のお話が皆さんの工場管理を、耕し続けるヒントになれば幸いです。

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表紙イメージ 河岸宏和への質問



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