========================================食品工場長の仕事とは===

   配合トラブルを防ぐために


読者の方からメールを頂きました。

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「食品工場長の仕事」 ご掲載者 様

いつもメールを拝見し、勉強させて頂いております。

最近工場でトラブルが発生しており、ご相談させて頂きたくメール致しました。

トラブル発生前後の状況を詳しくご説明致します。

 

私の工場では、下記工程で製品を製造しております。

 1.レシピに基づき原料を調合

 2.攪拌

 3.容器充填して製品化

※レシピには、原料名と調合量が1行に記載され、異なる原料とその調合量は次の行

に記載されています。

 レシピは、1製品/枚 で記載しています。

  例

     砂糖   10 kg

      塩     5 kg

      酢     8 kg 

・・・ですが、1の工程で「原料調合量ミス」・「調合忘れ」が発生しました。

調合したものはレシピにチェックする(1人)ようにしていたのですが「原料調合量

ミス」「調合忘れ」は発生しました。

原料調合ミスも「調合量」の間違いだけでなく、「原料」そのものを間違えるミスも

発生しました(例  酢8kg調合するところを間違えて醤油8kg調合する)。ち

なみに調合している人は、調理師免許を持っています。

そのためチェックを2人でするようにし、「原料調合量ミス」はなくなりましたが、

「調合忘れ」がなくなりません。

今までは私が調合していたのですが、人が交代してミスが発生するようになりまし

た。交代した人は、調合の仕事をして1年経ちます(調合を始めて10ヶ月間は私も

一緒に調合して教えました)が上記ミスが発生します。もう一人のチェックする人は

入社して半年の人(チェックを始めて4ヶ月は私も一緒にチェックして教えました)

です。

私は他の仕事があり、毎日工場でチェックすることができないために、工場の人だけ

でチェックしてミスがなくなるようにしなければなりません。

2の工程で濃度検査・味覚検査も実施していますが、少量の調合ミス・忘れでは濃度

異常がなく、味の異常も発見しにくいです。攪拌釜には重量計がついていないので重

量確認することができません。

3の工程が終了した段階で歩留まりを計算するので、その時始めて「調合に異常があ

る」ことに気づきます。

ですが、製品ができてから異常が分かったのでは遅いので、1の工程段階でミスを防

ぐようにしたいです。

 

何か良い方法があったら教えてください。宜しくお願い致します。

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工場の工程の中で一番重要な工程です。

簡単におはなしすると、性格がむかないので人を交換してください。

そう言ってしまうと、このおはなしは終わってしまいますので、工程を分析してみます。

1 添加物、調味料を計量するところと

2 添加物、調味料を配合するところを別にします

 

同じ部屋でも、同じ人がするときでも、1と2は一度工程を分けて考えます。

 

1 添加物、調味料を計量するところ

 配合表のとおり、添加物、調味料を配合して、配合ロットごとに、大きな容器に入れて

 準備します。そのときに投入順に計量して、小分けした物に番号を振っておきます。

 砂糖などは、袋にマジックで書きます。醤油の液体の様な物は、フタの閉まる容器に

 番号を振って準備します。毎日同じ配合ロットで配合する場合などは、容器に印を

 しておけば、測定する手間が省けます。

 チェック表も、番号と品名と、量を書くようにします。

 間違いやすい調味料は、小分けする容器の色を変えて、色で識別できるようにすれば

 中身の間違いは減ってきます。例えば、ガソリンでもレギュラーガソリンは赤いノズル、

 軽油は黄色、ハイオクは緑と色分けているように、間違いやすい物は色分けが、

 有効です。

 

2 添加物、調味料を配合するところを別にします

 配合する人は、番号順に配合していきます。配合して投入するときに、チェック表で

 チェックして行きます。このときは、配合中に既に計量してある物を投入して行くだけ

 ですから、作業としては、非常に単純で、間違いが発生しづらくなります。

  

3 配合のチェックをします。

 ロットごとの定量の配合であれば、配合釜の配合後の容積で、重量を測定することが

 出来なくてもチェックできます。簡単には深さを計量棒でチェックすれば、容積は確認

 できます。

 配合後の物によって、塩分計、糖度計、ph計など最近は精度のいい物が、安価に

 なってきました。この簡単な測定器でも、毎日の校正をきちんとすれば使い物に

 なるはずです。

 

4 添加物の在庫確認をします。

 1の添加物、調味料を配合するところでは、毎日在庫量の理論値と実測値を確認

 します。朝の添加物の在庫がどれだけあって、使用量は何キロだから在庫は何キロ

 のはずだ、実際計量してみたら、合っていた。この繰り返しが大切です。

 

皆さんからの質問がhp継続の力になります。これからもよろしく お願いします。

 

 

 

私のお話が皆さんの工場管理を、耕し続けるヒントになれば幸いです。

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