========================================食品工場長の仕事とは===

■■    品質管理部門とその誤解について

■■■                            2006年4月23日発行 

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おはようございます。

河岸です。月刊HACCPに掲載 http://www.keiran-niku.co.jp/haccp.html

している原稿です。図表も有りますので、是非、雑誌を手にとって みてみて

ください。

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●中小食品工場における品質・安全性管理のポイント 第四回

品質管理部門の考え方

      --品質管理部門とその誤解について--

 食品工場の工場管理を進めていくと品質管理部門の問題にぶつかります。

ドネベックの樽のお話をしましたが、品質管理部門のみ胴板を高くしても安全性

は向上しません。樽の全体を見渡して、樽に溜まる水の量を増やす必要がある

のです。ISO、HACCPとも専門の品質管理担当、品質管理責任者がいないと進

まないと言って検査関係の専門家、保健所のOBを雇用し、経営からみると単純

にコストアップになってしまい。その上、「品質管理の人がいるから仕事が増えて

しまう。」、「ISOためにとにかく判子だらけになってしまった。」などという声も聞こ

えてきます。

 品質をさらによくしよう、品質を向上しよう、業界で一番いい品質にしようと考え

たときに、品質管理に対する次のような誤解が発生してきます。次に上げる点は、

品質管理を進めるに、あたり大きな誤解になります。

 

1 品質を向上するとコストアップする

2 品質管理とは検査を厳重に行うことである

3 品質管理とは標準化を行う事である

4 品質管理とは統計的手法を用いてデーターを解析することである

5 品質管理とは品質管理部門がやることである

6 品質管理は生産部門にやらせておけばよい

7 品質管理とはQCサークルの事である

  以上誤解の7項目について考えていきたいと思います。

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1 品質を向上するとコストアップする

 品質を向上させると言う事は、規格値をあげることではなく、ばらつきを少なくする

事であって、ばらつきを少なくすると図1のように、今まで基準からはずれるものが、

10%(5%+5%)あったものを、5%(2.5%+2.5%)

以下にするということです。すなわち品質を向上してばらつきが少なくなればなるほ

ど不良品は減りコストは、さがり続けるのです。リンゴの品質を向上させるには、木

になっている段階、収穫の段階で、傷、汚れ等の不良品を造らない管理を進めれ

ばいいのです。 

 

2 品質管理とは検査を厳重に行うことである

 悪いものを造って検査で検査選別する。と言う発想ではなくて、最終商品の検査、

中間品の検査を強化するのではなく、現場でものを造り込むためには、どうすればい

いか現場の管理を強めることを言うのです。りんごの汚れ、傷を検査強化するのでは

なく、りんごの汚れはどうしてつくのか、その汚れを見て、現場で考えて、汚れが付く

原因を取り除く事が必要なのです。傷についても、収穫から輸送、選別、検査の各

工程で傷が付く要因を考え、その原因を現場とリンゴの傷を見ながら考えて管理する

事が品質管理になります。リンゴの選別場で検査を強化しよい品質のリンゴを出荷す

ることではありません。

 

3 品質管理とは標準化を行う事である

 標準化、この言葉は、いろいろな意味を持っています。標準化してものを造るのでは

なく、リンゴにたとえると、大きさ、味を標準化し、この基準のリンゴをつくりだすために、

肥料のやり方、水のやり方、防虫の仕方等を考え実践する仕組みを作り出すことを、

品質管理と言うのです。最終商品を標準化するためには、各工程の作業の管理点を

標準化する必要があります。この管理項目がHACCPのCCP(重要管理点)になります。

ハードルの高さ、ハードルの種類を明確にすることになります。この管理項目を定期的

に確実に管理して、管理値に異常がでていないかを管理図などで、管理をしていくこと

になります。異常値にはコメントを入れておく必要があります。

 

4 品質管理とは統計的手法を用いてデーターを解析することである

 「統計的手法でデーターを解析する」、これも素敵な言葉です。平均値の差の検定、

数量化理論、分散分析等々の手法を用いてデーターを解析して、要因を見つけだし、

その要因のばらつきを押さえる仕事が品質管理です。データーを統計的手法で分析し

て、そのばらつく要因をどう管理していけばいいかを、考える事が品質管理です。毎日

リンゴの重さ、サイズ、糖度を測定して、統計的手法で解析しても、おいしいリンゴは

できません。最終商品の規格のばらつきを押さえるために、どの要因を押さえることが

一番効いているか、次の要因は何が効いているかを押さえることが品質管理になりま

す。リンゴの美味しさ、最終商品をyとすると、その要因を、x1、x2….として最終的な

数式を作り上げることをいいます。ここに式が入ります の数式で表せるようにします。

 

5 品質管理とは品質管理部門がやることである

 これもよく陥る勘違いです。品質管理部門は、データーを出してその問題点を指摘す

るだけであって、造り込む、行為、改善していく行為は、あくまでも現場が造り込むもの

です。品質管理を強化します。当社はISOをとりました。当社はTQCを実践しています。

と言って、品質保証室部門を、強化するのは世の中のよく陥る間違いです。おいしい

リンゴはリンゴの味を検査する農協の人が、一生懸命、検査、管理を、おこなってもリン

ゴの味はよくなりません。農協の検査部門がISOをとっても、TQCを進めても同じ事が

言えます。リンゴをつくる農家の方が、おいしいリンゴを造るからこそおいしいリンゴが、

できるのです。ドベネックの樽の品質管理部門の胴板を高くしても美味しいリンゴは生

まれないのです。

 

6 品質管理は生産部門にやらせておけばよい

 会社の責任者がよく陥る誤解です。工場部門、生産部門だけが、ISO、TQCを行うの

であれば、本社はいったいなにを、行えばいいのでしょうか?管理部門、総務、経理等は、

なにを行えばいいのでしょうか?ドネベックの要素樽を思い出してください。本部、本社も

最終商品の品質を上げることを一番に考えていないと品質の水は樽に溜まることなく、

どんどん流れ出てしまいます。具体的には、本社本部の担当は、電話などで情報を求め

るのでは無く、現場に出かけて、自分の目で確認するようにするとか、現場から求められて

事は、求められたその日のうちに解決する等と言った事が考えられます。利益を産み出し

ているネタがあるのは、常に現場になります。検査担当者が不足しているのに、検査を行

った事にした、飛行機会社の責任は本社にあると言えます。こういった事を管理することが

本社本部の仕事だと思います。 

 

7 品質管理とはQCサークルの事である

 もっともうかつな誤解です。当社は品質管理を強化しますと発表し、○○対策委員会を造

りました。そして現場では、QCサークルを行い、全社で品質管理を強化します。そして、QC

サークルを時間外で行い、発表会をして、当社も一流の品質管理が進んだと、お話している

会社が私の目に浮かびます。QCサークルの目的は、現場の意識の向上であり、確かに教

育活動の一環ではあるかもしれませんが、決して品質管理イコール、QCサークルではあり

ません。農家の人がQCサークルをいくら行ってもリンゴの味は、よくなりません。地域の農協

が最終商品の品質に関する考え方を明確にして、最終商品の品質を左右する要因を明確に

して、その要因の管理を具体的にどうしたら簡単に標準値どおりに作業を行うかを、現場単位、

農家単位で話しあうサークルは必要です。誤解をしている会社は、最終商品のりんごを美味し

くするためにどうしたらいいかを、この農家単位、現場単位のQCサークルに丸投げをしてしま

うのです。

参考文献 「品質による経営」久米均著 日科技連出版社

 

 

私のお話が皆さんの工場管理を、耕し続けるヒントになれば幸いです。

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