========================================食品工場長の仕事とは===
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マンション耐震強度偽造■■■ 2005年11月20日発行
おはようございます。
河岸です。三菱自動車、雪印食品、温泉問題といろいろな問題が有りましたが、
今度は人生の半分以上の時間を過ごす家の事で偽造問題が発覚しました。
どうしてこんな事が起きるか考えてみたいと思います。
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『ビジュアル図解 食品工場のしくみ』近くの本屋さんで是非、ご予約お願い
します。アマゾン等はまだ予約できません。できるようになりましたらお知らせ
致します。
http://homepage3.nifty.com/ja8mrx/honn9.htm
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マンション耐震強度偽造
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先日、「鳥インフルエンザで虚偽報告容疑」のお話をしました。
http://homepage3.nifty.com/ja8mrx/torigisou2.htm
そのお話の中で次の表がありました。
企業行動の組織倫理性の評価項目とチェック例の表
1 従業員に書類のごまかしをさせる
2 何よりも会社の利益を優先させる
3 望む結果を得るためには手段を選ばない
4 利益のためには社内の不正を見逃す
5 不正を組織末端の責任にする
6 企業の社会的責任を果たさない
7 社員に不正を黙認、教唆、奨励する
8 利益を上げるために消費者にウソをつく
9 利益を上げるために取引先にウソをつく
10 利益をあげるため国その他関係公共機関にウソをつく
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企業倫理を無くした企業の行く末は、どうなっていくかは、雪印食品の事例を見ても
明確だと思います。それでも尚、今回の「マンション耐震強度偽造」
http://www.asahi.com/special/051118/
が起きてしまうのは信じられない気持ちです。
新聞のお詫びの社告を読んだときに、「他山の石」として読むか、「対岸の火事」で
読むかでは、大きな違いになります。クレームを出してしまったときは、「身からでた
錆」と自分をさらに磨くことに傾注します。
「他山の石」(たざんのいし)、元々は中国最古の詩集である「詩経」の中の「他山
之石、可以攻玉。」という言葉です。「他の山にあるどんなつまらない石でも、自分の
宝石を磨くのには役に立つ」ということから「他人のどんな行いや言葉でも、自分を向上
させるのに役に立つ」という意味です。「人の振り見て我が振り直せ」と同じような意味
になります。この「他山の石」ですが、「他人の良いところをお手本にして、自分の向上
に役立てる」と、勘違いしている場合が結構多いようです。しかし、「人の振り見て我が
振り直せ」と同じように、あくまでも「あの人のようにはならないでおこう」というように、
他人の悪い例を見て自分を正すという戒めの言葉ですので、例えば尊敬する人などに、
結婚式で「あなたを他山の石として、僕も精一杯がんばります。」なんて言ってしまうと
凄くまずいことになってしまいます。
社告は一般的に「対岸の火事」で考えます
「対岸の火事」(たいがんのかじ)「川の向こう岸の火事はこちらまで燃え移らないから、
安心していられる。自分に関係がない事は、痛くもかゆくもないことの例えです。「高見の
見物」と同じ意味になります。「牛肉偽装事件で捕まるなんてだらしないな、今回は、
対岸の火事だからゆっくり見学とさせて頂こう。」と言うように使います。
当事者の場合は「身から出た錆」で考えます
「身から出た錆」(みからでたさび)自分の冒した悪行の結果として自分が苦しむこと。
自分の行為の報いとして災いに遭うこと。「今回のクレーム処理のまずさは、身から出た
錆です。今回の事を糧として、さらに、がんばらさせて頂きます。」と言うように使います。
クレームが連発する企業は、「身から出た錆」と心の底から思って、工場を磨き直す
必要があります。
では、今回の千葉県の建築士の例は何で起きてしまったのでしょうか?
当事者の設計士は、コストを削減するときに一番安易な、材料費を落とすことでコストを
下げる事に走ってしまったと思います。知恵を絞ってコストを下げることは非常に困難
になります。材料費を下げるためには、材料の計算の根拠となる強度の設計値を
半分の値にすれば、自ずと使用する材料の強度は下がることになります。
私も昔、ハム(無線のハムではなくて食べる方のハムです)の配合を設計していたと
きに、最終商品の触感、保水性、スライスしたときの割れなどを、少し甘くすれば
莫大なコストダウンが出来ました。しかし、その代償として、クレームが多発したもの
です。会社はそのコストダウン額と、クレームの天秤では、コストダウン額を取って
しまいました。
確かに会社の存続のためには、利益は必要です。その利益を上げるときに、知恵を
絞って絞って、その絞り方は、さくらと一郎が歌っていた「昭和枯れすすき」のように
力の限り 生きたから未練などないわと言えるくらい知恵を絞らないといけないのに
一番安易な方法でコストを下げる方向に走ってしまうのです。
設計者の暴走を何故周りは止めることが出来なかったのか。朝日新聞の中で「着工
後の2度の検査機会でも不正を見抜けなかった理由について、同社は「設計図は建築
確認で審査済みなので、検査では工事が設計図通りかどうかを確認した。現場の鉄筋
の数などを見ただけで、欠陥と見抜くのは相当な専門家でないと無理」としている。」との
記載がありますが、本来の検査を担当する人間は、設計者のミスを発見できて、尚且つ、
施工でのミスも発見できる相当の専門家でなくてはならないはずです。たとえ設計が
あっていても、その施工段階で間違えていれば同じように耐震強度が下がってしまうから
です。現実、建て売り住宅では、釘代が請け負いの大工さんの経費になるので、本来
より少ない釘しか使用していない、等といった話がもっともらしく伝わっています。
もっと重要な事は、施工していた人たちが、うすうすこのマンションは大丈夫かなと
施工しながら気が付いていたと思います。施工していた人たちが、自分の家族をこの
マンションに住まわすことが出来たかどうかです。どうせ自分たちは住まないからと
いう考え方が、心のどこかに有って、いいやという気持ちがあった思います。
一つの仕事に関わる全ての人が常に未練の無いようにフルスイングする必要が
あると思いませんか
私のお話が皆さんの工場管理を、耕し続けるヒントになれば幸いです。