========================================食品工場長の仕事とは===

■■    牛肉コロッケの原料偽装について

■■■                            2007年6月23日発行 

□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□

おはようございます。河岸です。私が産まれてから大学を卒業するまで過ごし

た北海道でまた、「食」を考えさせられる事件が発生しました。

http://homepage3.nifty.com/ja8mrx/nisekorokke4.htm

 北海道では2002年にスーパーの西友で輸入肉を国産肉と称して販売し、

5000万円近くお客様に返金を行い北海道で大混乱させた事件、雪印グル

ープの事件が思い出されます。大手のこの二社には、本社の品質管理部門

があったはずです。内部監査機能がしっかりしていればこのような問題は起

こらなかったと思います。「有る組織の倫理観はその組織の責任者の倫理観

を超えることは無い。」と言う言葉があります。ミートホープ社の社長がワンマ

ンで社長に意見を言えるのは息子しかいなかった。そんな記者会見を見ること

ができました。ここ二、三日の事件の報道を聞いて、再度私の著書「ビジュア

ル図解」食品工場の品質管理」

http://homepage3.nifty.com/ja8mrx/honnhinnsitu.htm を読むと非常にいい

ことが初めから書いてあります。書いた本人が感心するくらいですから是非こ

のメールを読まれた方は、10ページから読み直してみてください。

御意見 ご質問は mailto:ja8mrx@jarl.comに是非お願いします。

=============================================================

★☆ ======================

牛肉コロッケの原料偽装について

===========================

倫理観は監視しないと産まれないかもしれません。

 ルールは守るもの モラルは低いか高いかということ このように言われます。

今回の牛肉偽装事件はモラルが無い状態です。まだ起訴されていない状況で

事件と呼ぶのは問題があるかも知れませんが牛肉に色が似ているからと言っ

て豚肉の心臓を入れるのは、事件と言わないでなんて呼べばいいか他には呼

び方が無いと思います。コンプライアンス、エッシックス、倫理感など企業が本来

守らなくてはならないことは数多くありますが、人間が本来持っているモラルが

まったく感じられない事件です。元工場の幹部という方がテレビのインタビューで、

ワンマン社長の基では社長に対して物を言うことはできないと発言していました

が、中小の食品工場では、工場のオーナー=工場長=品質管理の責任者の場

合もあります。そういった場合は、人間本来が持っているモラル感が企業の理論

でつぶされてしまうのです。社長に正直に物を言うとクビになり働くことができなく

なると言うことで、自分の倫理観に背いて単純に豚の心臓を牛肉に混ぜてしまい

ます。「ばれるはずはない。」社長が語ったといわれています。戦後のある時期は

畜産業界、食肉業界では内蔵肉を精肉(本来の肉、筋肉と呼ばれているところ)

に混ぜこむことは普通に行われていました。しかし、産地の特定、JAS法、原料

肉のトレーサビリティーが言われているここ数年でいまだこのようなことが行われ

ていることは本当に驚いてしまいます。夜、良く眠ることができないと言って一度

睡眠薬に手を出してしまうと手放すことができなくなるように、豚の心臓を牛肉に

混ぜることで牛肉と豚の心臓の単価の差額を一度でも手に入れてしまうと、元の

仕入れ先との約束通りの配合には戻れなくなってしまったような気がします。たっ

た一つの報道が業界全体のことであるように思われることが非常に残念な事件

です。

 

仕入れ先の管理は自分の目で確認が必要です。

 加ト吉、生協、紀文様々な会社の名前が出てきます。食の安全を脅かす大きな

事件が起きると、事件を起こした企業がすべて悪者になってしまいます。雪印グル

ープの本社の品質管理、西友の本社の品質管理の管理はどうなっていたのか非

常に疑問が残ります。同じように、牛肉をミートホープ社から仕入れていた各社の

仕入れ業者の管理がどのようになっていたかおおいに反省を行ってほしい物です。

通常は仕入れ確認には、工場点検の時に予告を行って監査に行きます。各社の

工場点検表はISO等の様式に基づいて行っていますが、今回の様に恒常的に何

年も不正が行われていた工場の不正が何故監査で見抜けなかったか非常に疑問

が残ります。その答えは、私の著書「ビジュアル図解」食品工場の品質管理」の11

ページの図にあります。監査されている方が、自分の頭の中で監査するところの範

囲を決めてしまうのです。ホープ社の冷凍庫、冷蔵庫の中に豚の心臓があっても、

自分の仕入れ商品と違うので問題視しない、このように工場全体の品質管理の状

況を監査するのでは無く、工場の一部を監査してしまうのです。仕入れ先の工場の

中に賞味期限の日付の切れた原料があれば例え「この原料は廃棄の予定です。」

と工場から回答があっても大きく監査項目で減点を行い取引中止に持って行くよう

な事が必要です。ホープ社の冷凍庫に豚の心臓があったらおかしいと思う感性が

必要なのです。

 

あなたの工場の仕入れ先は本当に安全ですか。

 

 

私のお話が皆さんの工場管理を、耕し続けるヒントになれば幸いです。

ご意見はこちらから

工場長の仕事TOPへ

JA8MRXのHP TOPへ

表紙イメージ 河岸宏和への質問



ご質問はこちらに

「食品販売の衛生と危機管理がよ~くわかる本 」

「図解入門ビジネス 最新食品工場の衛生と危機管理がよ〜くわかる本」

『“食の安全”はどこまで信用できるのか 現場から見た品質管理の真実』 

『ビジュアル図解 食品工場の点検と監査 』

『ビジュアル図解 食品工場の品質管理』 

『ビジュアル図解 食品工場のしくみ』