===========================================工場長の仕事とは===

■■   半年前の卵5万個出荷の背景について

■■■                            2004年1月16日発行            

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おはようございます

関東は小春日和のホット出来る いい天気です

今週末 大学受験のセンター試験が実施されますが 例年センター試験の

時には天気が大荒れになりますが 今年も雪の予報になっていますね

交通が乱れなければ いいのですが 受験生の皆さんのご検討をお祈り

します

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半年前の卵5万個出荷の背景について

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本日のテレビ朝日のJチャンネルのテレビ欄を見ると 「賞味期限なんてあって

無いようなもんだ 卵パックづめ作業体験者が衝撃の体験を告白」とテレビ

欄に出ています 内容は想像は付きますが 先日の京都の業者の件 

↓↓↓についても 鶏卵業者 業界はコメントが出てきていません

http://homepage3.nifty.com/ja8mrx/tamago4.htm

では この冷蔵卵をパック卵として 出荷した 背景には 何が考えられるの

でしょうか

 

スーパーの買い物に来られる方の行動パターンを考えてみましょう

毎日買い物に行かれる 近所のパパママストア もしくは コンビニエンスストア

小さなスーパーは 別として ある程度 車で買い物に行く行動パターンを

考えてみましょう 皆さんは 普通何曜日に買い物に行かれますか?

通常考えるのは 土曜 日曜日 祭日に まとめ買いが 一般的だと思います

たとえば       月  火  水  木  金  土  日とすると

物が売れる量は  1   1  1  1   1   3  3   ぐらいの比率になります

そうすると スーパーの仕入れ量も 平日の月曜から金曜日は1に対して

 週末は3に なります

 

牛乳 卵 ティッシュペーパー サラダオイル 等々の特売が良く行われる物については

来店者数と同じように 売上が変化するのは 想像が出来ると 思います

では 卵の日付については どうでしょうか スーパーによって違いますが

産卵日は販売当日の物しか 販売しません、

もしくは 産卵日から二日以内の物しか販売しませんと店頭に表示してあるスーパー

さんも あります

 

では 少し 数字で考えてみましょう

毎日1000パック売れるとすると 平日は1000パックで 週末は3000パック

週の合計は 11,000パックになります

1パック10個入りとすると 110、000個の卵が 必要ですね 毎日15、715個

産卵すれば 数的に足ります

でも これでは 産卵日当日の物を 正直に並べることは 不可能です

では ピークに併せて毎日産卵すると 

210,000個の卵が必要になります では この差の100,000個の卵は

どこに行ってしまうのでしょうか?

約半分の卵の行き先が 無くなってしまいます

通常関係者の方にこのことを質問すると 加工用すなわちゆで卵用に回ります

と 答えますが ここからが 偽装のポイントになります

通常加工用と 生卵販売用の 卵の価格差は 100円/KGくらい有りますので

卵一個50gとしますと 上の例で 約500、000円の価格差になってしまいます

そこで 一日二日くらいなら 産卵日をずらして スーパーの販売のピークに合わせようと

考えてしまうのです

皆さんに質問です

 

半年前の卵を混ぜた → これはひどい業者だ そう言います

では 一日 二日

一週間では どうですか??

では アメリカの場合を考えてみましょう

アメリカでは 鶏卵の洗卵パック工場に日本の食肉処理場と同じで 政府の任命した

検査官が立ち会います その検査官の仕事は 卵の鮮度 殻の状態 殻のヒビについて

ランク付けして USDA規格のAAA AA と言うように パックにランクを付けます

その 時に賞味期限を打って 一日に生まれた卵は 全てパックして 処理してしまいます

スーパーさんの注文に関係なく 全て 製造してしまい パックした物から注文に応じて

配送すると いう 形を とっています

 

先日 業務用生卵の規格について お話しましたが ↓↓↓

http://homepage3.nifty.com/ja8mrx/tamagokikaku3.htm まだまだ 日本では

卵については レタス 大根と同じように 農業生産物の感覚が抜けないようです

その農業生産物の感覚と 豆腐 プリン ヨーグルトのような加工食品の感覚

日付が対応できて お客様の要望する量がいつでも 供給できる生産物という感覚の

両方が 混じってしまって そこに 日本人特有の考え方 ばれなきゃいいや

判らなきゃいいや という 神に背信的な考えで 日付を打ってしまう

そうしなければ 利益が出ないよという 企業の論理が重なって 今回の

京都の事件が 起きたと 思えるのです

 

みなさん 毎日家族の数と同じ 鶏を飼っていたと思ってください

毎日 生まれた卵を 食べて 生まなきゃ 今日は食べれないで 一羽が二つ生んだ

日は 二つ食べる この卵は 余ったから 冷蔵庫に保管して お客さまが来たときに

とっておこう なんて 考えませんね もし お客さまが 来たときは 自分たちの

卵を お客様に回すと 思うのです

今回 ワイドショー ニュースで騒いでいるときに 毎日生まれてくる 卵を 毎日

買わなくてはいけない 毎日消費しなければ ならないと 考え直すことが

生産者も 消費者も 必要と考えます

 

みなさんの ご意見 お待ちしています

 

私のお話が皆さんの工場管理を、耕し続けるヒントになれば幸いです。

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