==================================食品工場の工場長の仕事とは==
■
■■ 原材料仕入れ先管理のポイント 1
■■■ 2011年9月11日発行
□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
おはようございます。河岸です。今日は9月11日、911から十年目の
日曜日です。そして3月11日に6月を足すと9月11日になります。
自分に何が出来るのか考える一日にしたいものですね。
ツイッターをしています。食について是非合智しませんか。
https://twitter.com/ja8mrx
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
10月28日金曜日 埼玉県さいたま市 ソニックシティーで無料講演
を予定しています。講師は私、河岸宏和です。
「安全でおいしい食品を選ぶために」もちろんセシウム牛肉、o-157カルビ
についても触れます。
埼玉で働いている方、住んでいる方が対象です。検索してみてください。
12月8日木曜日 東京でサイエンスフォーラム主催の講演会で私、
河岸宏和が話します。テーマは「風評被害を抑える情報の伝え方」です。
毎日新聞社の方、そのた豪華な講師陣です。是非、手帳に印を。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
・食品工場の参考になる本
http://astore.amazon.co.jp/koujyou-22/249-0151581-1769102
・中食・外食で参考になる本
http://astore.amazon.co.jp/innsyokutenn-22
==========================================================
★☆ =============================
原材料仕入れ先管理のポイント 1
==================================
信用と監査は別の物
長年原材料を仕入れている仕入先に監査を行い、原料の仕入れ
伝票まで確認をすると、「私の工場を信じていないのですか」と
言った事を言われかもしれません。
日本人の中には、「まあーーそこまで言わないでも」、「長い付
き合いじゃないか」と言った考え方があると思います。
しかし、お互いを尊重し、信頼したいからこそ監査があると私は
思うのです。
食品偽装、産地偽装が発覚すると、「仕入先を信じていた」、
「騙された」と発言する企業の責任者の方がいます。
私は、産地偽装などで騙された方も悪いと思っています。
北海道で発生した、牛肉偽装事件も、パンなどを混ぜた肉を使用
していて、気がつかなかった工場の方も悪いと思っています。
仕入先を信用するからこそ仕入れ先の監査が必要なのです。
仕入先の監査を行うためには、監査の基準が必要になります。
一般的には関連法を守っているかの監査になりますが、食品関連
の法律だけでなく、従業員の労働環境に関する法律、動物福祉に関
する事、廃棄物管理に関する事を監査する場合もあります。特に輸
出を行って居る工場は必要な項目になって来ています。
作業現場を監査する時に、消火栓の前に棚が置いたままだったり、
非常口に施錠してあかない状態を見た場合は監査項目に無くても注意
すべきだと思っています。
工場の増設工事を行い、保健所の許可が出ないような作業現場で作
業している工場の場合は取引を行わなうべきではありません。
食品関連の法律以外でも、法律違反があり、直ぐに改善できない状況
の時は仕入先を変更すべきだと思います。
規格基準を明確にする
原材料を決める時に、規格基準を明確にした書類を提出させるように
します。
購買契約を結ぶ場合もあると思いますが、支払いサイトなどを謳って
いるだけの契約書がほとんどだと思います。購買契約の中に品質基準に
ついては別途原料規格書によると但し書きを書いて、仕入れ原料毎に規
格書を提出させるようにします。
規格書には、最低次の項目が必要です。
1.原料配合
2.製造工程表
3.最終表示
4.荷姿
5.安全証明
6.価格
7.注文からのリードタイム
1.原料配合
原料配合は使用している原料の産地、配合量などを詳しく表してある
事が必要です。
メーカーによっては、原料配合が企業秘密のため公開出来ないとして
いる場合がありますが、配合比率は、公開してもらわなくても、使用し
ている原材料の公開は必要です。
添加物配合については、使用している物質名、生産国、配合量まで詳
しく記載させます。添加物の配合量がわからなければ、最終商品の添加
物表示を作り上げる事は出来ません。
2.工程表
原材料の入荷から簡単な製造工程を記載させます。
工程表の中には、物理的危害を取り除く為のフイルター、メッシュ、
金属検出器、などのサイズを記載させます。
生物的危害を取り除く為の加熱温度、冷却温度、保管温度についても明
確に記載させます。
3.最終表示
原材料の個包装のある場合は個包装毎の表示、ダンボールなどの外箱
表示、ダンボールに印刷されている表示を記載させます。
ダンボールに「日本一」などと強調表示に当たる物が書かれているばあ
いは強調表示の証明書を添付させます。
4.荷姿
最終の荷姿を明確にさせた写真を添付させます。
5.安全証明
賞味期限の設定の根拠が必要です。
抗生剤、農薬の安全証明をどういった頻度で行うかも含めて提出させ
ます。
頻度は、配合ロット毎、生産日毎、年に一回などと言った頻度になりま
す。
輸入品については、輸入コンテナ単位毎がお勧めになります。
コンテナで殺虫剤が混入する可能性もあるのでコンテナ毎の証明を提出
させるようにします。
6.価格
この項目は説明が不要だと思います。
返品の処理、不良品の処理は明記すべきです。
7.注文からのリードタイム
発注からのリードタイムは明確にすべきです。
受注生産の原材料の場合は受注の締め切り時間を明確にしておきます。
品質管理上の条件を明確にする
原料規格書上出てこない品質管理上の条件を明確にします。
日本の食品衛生法などに記載されている事であれば、問題は無いので
すが、法律などに書かれていない内容については、監査する方の知識、
経験によって監査内容がばらつかないように文書化し、取引前に確認し
ておくことが必要です。
品質管理上の条件は細かく指摘すると幾らでもありますが、代表的な
事項は次の様になります。
1.従業員の検便
2.使用水の検査
3.ペストコントロール
4.帳票の保管期間
5.金属検出器の精度
6.出荷判定の項目
7.保存検体
各項目を具体的に説明します。
1.従業員の検便
作業している従業員の方の検便の検査項目と頻度を明確にします。
生食(直接食べられる物)を製造しているばあいは毎月行うことが必
要です。
検便を一ヶ月以内に行っていない方は作業を行わないことと明記が必
要です
2.使用水の検査
上水を使用している工場であっても、給水タンク、工場内の配管内で
問題が無いかの検査が必要です。
検査項目について内容と検査頻度を明確にすることが必要です。
井戸水を使用して、原料として水を使用しているばあいは、年に二回
以上の検査が必要だと思います。
3.ペストコントロール
防虫防鼠の頻度と内容を定めます。
毎月、飛翔昆虫は虫の種類と捕獲数を記録し、対策を明記させます。
捕獲数が多い場合に、作業室内に殺虫剤を撒いていいかどうかを定め
ます。
4.帳票の保管期間
製造工程に関する帳票、品質管理に関する帳票の保管期間を定めます。
最低でも、仕入れた原料を使用して出来る最終商品の賞味期限以上の
保管が必要になります。
5.金属検出器の精度
金属検出器の精度は法律などには書かれていません。この項目は充分
に打ち合わせる必要があります。
テストピースのサイズ、検出した物の取り扱いを事前に明確にするこ
とが必要です。最低でも、Fe1.5φ以下、SUS3.0φ以下、金属検出器で
反応した場合は一回でも検出された物は良品としない旨の明記が必要です。
基本はエックス線検出器が標準装備の時代になっていると思います。
6.出荷判定の項目
出荷判定の項目を明確にします。
色、味、大きさなどの官能検査の項目、最近検査の項目、各項目の出
荷基準、検査するロットの区分を明確にします。
出荷判定を行ってから出荷するのか、検査中でも出荷するのか、出荷
判定で不合格になった場合の欠品についてどうするのかを明確にします。
7.保存検体
ロット毎に保存検体を保管するのかどうか、保管期間をどうするのかを
明記します。
|