========================================食品工場長の仕事とは===
標準原価の定義について
読者の方からメールを頂きました。メルマガ、ホームページを続ける原動力に
なりますので、どんな質問でも是非質問をお願いします。
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はじめてメールを出させていただきます。
食品業界の標準原価の定義について、教えていただきたいと思います。以前は、
電子部品組立業の仕事に携っていましたが、国内から海外へ工場が移転してし
まいました。工場で生産するものは、違いますが 基本的な工場の流れは同じだ
と考えております。現在標準原価の業務を引き継ぎ 仕事をこなさなければなりま
せんが、現在の会社の標準原価の定義がはっきりしません。本来の食品業界に
おける標準原価の定義 及び 作成手順について御教授願いたいと思います。
よろしくお願いいたします。
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配合原価のみを計算することなく工場全体の経営も考えます
工場は利益を出すことが基本です。慈善事業だから利益はいらない等と聞くこ
とも有りますが、その事業自体が存続しないと、働いていた人、その事業を頼って
いた人が路頭に迷ってしまいます。新商品を出すことに依って、売上、利益も増や
すことが、非常に大切です。開発チームでは良く配合と包材原価を持って開発を進
める場合が有りますが、新商品を造ることに依って工場自体の収益体制が変化す
ることがあります。工場全体の売上の変化を常に考える必要があります。一番いい
例が開発費用です。一般的には2%程度で考えますが、新商品で工場の売上が
倍になれば、開発経費は1%になります。営業を使わずに売ることが出来れば、
固定経費のうち営業経費がそのまま利益に繋がります。
損益分岐点を越えた段階で計算します
製造経費の考え方です。新商品を造る工場が損益分岐点を越えていることが条
件です。損益分岐点を越えていなければ、どんな新商品を計算しても工場は赤字
になります。その場合は、該当工場の設計時の想定製造数量で計算をします。
300t/月の想定製造数量の工場で、現在200t/月の背増量で新商品の原価
計算を行うと、市場にはなじまない、価格になってしまいます。食品の場合は、人
件費、包材費にかかる割合より、原材料にかかる割合が多い物です。お客さまも
正直な物で、原材料の比率が売上に対して高い商品ほど、売上が良かったりします。
製品歩留を上げることが原価を下げます
原材料原価を計算する上で忘れてはならないのが、歩留です。原材料仕込みから
考えて、良品が何パーセント出来たかという考え方です。本来1000個出来る配合
で実際の良品が950個であれば95.0%の歩留になります。1000個製造したのなら
全て1000個出来ればコストは自然に下がります。工場の利益で売上の2%も出れ
ば優秀な工場になりますから、開発の段階から、どうすれば良品歩留が上がるかが
大切な点になります。
では標準原価の考え方はどうなるのか
http://homepage3.nifty.com/ja8mrx/sonneki17.htm の損益分岐点の考え方で損
益分岐点を超えたところで、標準歩留を設定して、標準仕入れ価格を設定して決めた
製造原価が標準原価と考えます。すなわち次の原価を設定して決めた原価が標準
原価になります。
・損益分岐点の製造量
・原材料の標準仕入れ価格
・製造工程の標準歩留まり
同じような考え方で原価計算の考え方もあります。
http://homepage3.nifty.com/ja8mrx/gennkakeisann3.htm
あくまでも損益分岐点を考えた標準原価を設定します。
私のお話が皆さんの工場管理を、耕し続けるヒントになれば幸いです。